ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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狩人への対策

 俺たちは、狭い部屋の中央で円を作るように立った。

 誰もが落ち着いているふりをしているが、空気は張り詰めたままだ。

 

「まず整理しよう」

 

 紅葉さんが切り出す。

 その声音は、現場を知る人間のそれだった。

 

「もう一人のガリュード……あれは、ほぼ間違いなくブライダン側からの刺客だ」

 

 俺は頷く。

 あいつの殺気は、迷いがなかった。目的が一つしかない目だ。

 

「戦い方も、クオンと似てる」

 

 俺が続ける。

 

「テガジューンを使った遠距離戦。

 弾幕を張って、相手を削るやり方……あれは、クオンと同じだった」

 

 クオンは何も言わない。ただ、壁に背を預けたまま視線を落としている。

 

「だが、決定的に違う点がある」

 

 クリスが口を挟んだ。

 

「あいつは……人間じゃねぇ」

 

 その言葉に、誰も反論しなかった。

 

「空中での軌道、体の捻り方、着地の角度。

 全部、人間の関節じゃ無理だ」

 

 俺の脳裏に、あの動きが蘇る。

 蹴りを放ちながら、同時に銃を撃つ。重心が、常識を無視していた。

 

「ロボット……あるいは、それに近い何かだな」

 

 紅葉さんが静かに言う。

 

「それだけじゃない」

 

 今度は、俺が一番嫌な点を口にした。

 

「武器だ。

 あいつ……ゴジュウジャーの武器を、瞬時に入れ替えて使ってた」

 

 ティラノハンマー50。

 イーグルシューター50。

 レオンバスター50。

 

「扱いに癖がない。

 武器そのものの特性だけを、最大効率で使ってる」

 

 クリスが、苦い顔をする。

 

「……最悪だな。

 ゴジュウジャー対策も、完全に想定済みってわけか」

 

 紅葉さんは腕を組み、短く息を吐いた。

 

「つまりだ」

 

 視線が、俺とクオンに向く。

 

「ブライダンは、“ガリュード”という存在を分析し、

 それを殺すためのガリュードを作った」

 

 胸の奥が、冷たくなる。

 

 兄を模した処刑装置。

 俺たち全員を巻き添えにしてでも、クオンを消すための存在。

 

 クオンが、ぽつりと呟いた。

 

「……処分、ってわけか」

 

 その声に、皮肉も笑いもなかった。

 

 俺は、拳を握りしめる。

 

 信じられない。

 許せない。

 それでも――

 

「だからこそだ」

 

 紅葉さんが、はっきり言った。

 

「今は、バラバラに戦うな。

 あれは、一人ずつ潰すタイプの敵だ」

 

 狭い部屋の中で、俺たちは無言で頷いた。

 

 外では、あのガリュードが待っている。

 兄を殺すために。

 俺たちを排除するために。

 

 ――選択の時間は、もう残っていない。

 

 紅葉さんは、静かに懐へ手を伸ばした。

 その動きだけで、俺は嫌な予感と、別の何かを同時に覚えた。

 

 取り出されたのは、二つのセンタイリング。

 デンジマンとバイオマン。

 

「……紅葉さん?」

 

 思わず声が漏れる。

 俺の手の中にあるリングだけでも、十分すぎるほどなのに。

 

 紅葉さんは、迷いのない目で俺を見た。

 

「吠。俺の願いは、最初から一つだけだ」

 

 そう言って、リングを差し出す。

 

「――久光を、改心させること」

 

 その名前に、胸がきゅっと締めつけられる。

 クオン……久光。兄ちゃん。

 

「この戦いはな、ただの殴り合いじゃない」

「久光を救えるかどうか、その“最初の一歩”になる戦いだ」

 

 リングの表面が、わずかに光を反射する。

 重い。

 ただの金属じゃない。

 想いが、覚悟が、詰まっている。

 

「俺が持っていてもいいのか……?」

 

 問いかける声は、少し震えていた。

 

 紅葉さんは、ふっと笑った。

 あの頃と同じ、俺たちを守ってくれていた大人の笑顔で。

 

「お前だから渡すんだ」

「久光の弟で、あいつをまだ信じようとしてるのは……吠、お前だけだからな」

 

 喉の奥が、熱くなる。

 クオンへの怒りも、嫌悪も、疑いも、全部消えたわけじゃない。

 それでも――

 

「……分かりました」

 

 俺は、ゆっくりと手を伸ばした。

 指が触れた瞬間、リングの冷たさが、逆に心を落ち着かせてくれる。

 

「この戦いで……全部、確かめます」

 

 久光は救えるのか。

 兄ちゃんは、どこまで堕ちてしまったのか。

 それとも、まだ――。

 

 紅葉さんは満足そうに頷いた。

 

「それでいい。逃げるな。目を逸らすな」

「お前が立ち向かうこと自体が、あいつへの答えになる」

 

 俺は、リングを強く握りしめる。

 

 これは力じゃない。

 武器でもない。

 

 ――兄を救うための、覚悟だ。

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