ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
――轟音。
テガソードデカクロウが大地を蹴り、赤い残光を引いて突進する。
人神一体となった俺の意志に応じ、巨大なクロウがうなりを上げた。
「押し切る……!」
右腕のクロウを振り抜く。
爪撃が弧を描き、偽物のテガジューンの装甲を引き裂いた。火花と紫の破片が宙に舞い、巨体が一歩、二歩と後退する。
続けざまに踏み込み、左のクロウで追撃。
上下から叩きつける連続攻撃に、テガジューンの動きが明らかに鈍る。
「どうしたよ……“神”なんだろ?」
優位は明白だった。
スピード、間合い、破壊力――すべてでテガソードデカクロウが上回っている。
巨大な爪が叩き込まれるたび、偽物のテガジューンは防戦一方に追い込まれていった。
――だが。
紫黒い光が、テガジューンの胸部から噴き上がる。
「……解析完了」
不気味な電子音のような声と共に、空間が裂けた。
そこから現れたのは、ダーク・ウルフカリバー50。
「なっ……!」
それは、俺が使っているウルフデカリバー50の歪んだ写し身。
闇色の刃が、偽物のテガジューンの手に吸い込まれる。
次の瞬間――
装甲が変形を始めた。
腕部と肩部が再構成され、刃を主体とした禍々しいシルエットへと変わっていく。
偽物のテガジューンは、新たな形態へ移行していた。
――テガジューン・ブライドブレイド。
巨大な闇の剣を携えたその姿は、さっきまでとは別物だった。
「くっ……!」
俺が次の攻撃に出るより早く、テガジューン・ブライドブレイドが踏み込む。
振り下ろされた闇の斬撃が、空間そのものを裂いた。
「うわぁっ!」
咄嗟にクロウで受け止めるが、衝撃が桁違いだった。
テガソードデカクロウが大きく弾き飛ばされ、地面を削りながら後退する。
さっきまでの優位が、一気にひっくり返る。
追撃。
ブライドブレイドの闇剣が横薙ぎに振るわれ、赤いクロウと激突する。
金属音と共に、衝撃波が都市を揺らした。
「チッ……コピーのくせに……!」
だが、相手は止まらない。
ダーク・ウルフカリバー50を基点に、連続斬撃。
斬るたびに紫の残像が走り、回避が間に合わない。
肩、脚部、クロウ。
テガソードデカクロウの装甲に、次々と亀裂が走る。
完全に流れを持っていかれていた。
「……くそっ……!」
さっきまで“狩る側”だった俺が、今は押し込まれている。
偽物のテガジューンは、俺の武器を、俺以上に使いこなしていた。
テガジューン・ブライドブレイドが闇剣を構え直す。
次の一撃は、確実に決定打になる――そう確信できるほどの圧だった。
――刃が振り下ろされる、その直前だった。
紫の閃光を裂いて、別の影が飛び込む。
横合いから叩きつけられた一撃に、偽物のテガジューンの巨体が大きくよろめいた。
「なっ――!?」
そこにいたのは、鋼鉄の恐竜の姿となったゼンカイジュラン。
雄叫びと共に、そのままテガジューンを吹き飛ばした。
「紅葉さん……!?」
驚く俺に、通信越しに聞こえる落ち着いた声。
「ぼさっとするな、吠。行くぞ」
その一言と同時に、ゼンカイジュランの身体が光を帯びる。
装甲が分割され、恐竜を思わせる意匠を残したまま、右側へと変形・展開していく。
「合体だ!」
ゼンカイジュランはそのままテガソードデカクロウへと滑り込むように接続された。
「あぁ!!」
赤い装甲と白銀のフレームが噛み合い、右腕はゼンカイジュランの巨大な顔がそのまま腕となる。
「「人神一体!!テガソードデカクロウ・ジュラン」」
左右非対称ながら、圧倒的な存在感。
右は重く、硬く、斬り砕く力。
左は鋭く、速く、引き裂く爪。
「二人分の力……!」
操縦席で、俺は息を呑む。
紅葉の意志が、確かに機体を通して伝わってきていた。
「一人で背負うな。前に出ろ、吠」
その声に、迷いが消える。
テガソードデカクロウ・ジュランが一歩踏み出す。
さっきまで押されていたとは思えない重さと安定感。
目の前で、偽物のテガジューンが体勢を立て直そうとする。
「今度は……こっちの番だ」
テガソードデカクロウ・ジュランが、地面を踏み砕いて前進する。
先程までの拮抗が嘘のように、動きには迷いがなかった。
「行けるぞ、紅葉さん!」
「当然だ。今は――二人だ」
右側に装着されたジュランユニットが低く咆哮し、紅のエネルギーが機体を巡る。
テガジューンブライドブレイドがダーク・ウルフカリバーを振るい反撃に出るが、クロウの爪撃とジュラン側の剣圧が噛み合い、攻撃は次々と弾き返されていく。
右からは重く鋭い斬撃。
左からは獣のようにしなる連続爪撃。
吠の直感と紅葉の経験が噛み合い、動きは完全に同期していた。
「追い詰めた……!」
「なら、締めだ」
その瞬間――
テガソードデカクロウ・ジュランの胸部が展開し、内部から巨大なチェーンが射出される。
「捕らえろ!」
チェーンは雷鳴のような音を立て、テガジューンブライドブレイドの胴体に絡みつく。
逃れようとする巨体を、狼の咆哮を思わせる蒼白のオーラが押さえつけた。
次の瞬間、右側ユニットが燃え上がる。
――ジュランソードに、灼熱の赤が宿る。
「吠!」
「分かってる!」
狼のオーラが吠の意志に応えるように収束し、
紅葉の剣技がそのまま巨大な一閃となって振り下ろされた。
獣の魂と恐竜の剣が重なる、必殺の斬撃。
チェーンで縫い止められたテガジューンブライドブレイドを、
ジュランソードが――真っ二つに切り裂く。
爆炎と共に、紫の巨影が崩れ落ち、光となって霧散していった。
静寂。
立ち尽くすテガソードデカクロウ・ジュランの中で、
吠は深く息を吐く。
「……終わったな」
「ああ。よくやった、吠」
二人の声が重なり、
戦場には、勝利の余韻だけが残っていた。