ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
混乱に沈んだレース会場の中央で、百夜陸王――ゴジュウレオンは一歩前に出た。観客の悲鳴、逃げ惑う足音、そして鐘のような不快な音声を発しながら集結するアーイーの群れ。そのすべてを一瞬で視界に収め、彼は小さく息を整える。
「やれやれ……数だけは、相変わらず派手だね」
軽口とは裏腹に、陸王の目は冷えていた。アーイーのスーツに刻まれた円模様が、空間を歪ませる侵攻ゲートとして脈動しているのが見える。一体でも残せば、瞬く間に数が増える。まずは、流れを断ち切る必要があった。
「開幕は――僕がもらうよ」
ゴジュウレオンはレオンバスター50を構え、引き金を引いた。ガトリング砲が唸りを上げ、光の弾幕が扇状に広がる。銃弾は単なる直線では終わらない。彼の意思に呼応するように軌道を変え、密集したアーイーの中心へと吸い込まれていく。
「キーン!?」「コーンッ!」
鐘のような悲鳴が重なり、銀色の兵士たちが次々と吹き飛ばされた。侵攻ゲートの輝きが一瞬揺らぎ、増援の流れが鈍る。
「いい調子だ。……さて、主役の出番かな」
その言葉を待っていたかのように、地面を裂く風圧が走った。
「遅ぇッ!」
レース・ノーワンが、弾幕を縫うように突進してくる。気流を掴み、踏み込み、加速する。次の瞬間には、すでにゴジュウレオンの間合いに入っていた。タイヤを模したエネルギー弾が連続して放たれ、爆ぜる衝撃が陸王を包む。
「っ……!」
レオンバスター50で迎撃するが、ノーワンの速度は刻一刻と増していく。避け、回り込み、死角から再び迫る。その動きは、まるで順位表が更新されるたびに一段上へと引き上げられていくかのようだった。
「速さだけで押し切るつもりかい? それじゃ、観客は退屈だよ」
言葉とは裏腹に、陸王は後退を余儀なくされていた。ノーワンの加速は、もはや読み切れる限界を越えつつある。
その瞬間、赤い閃光がコースを貫いた。
「どけぇぇぇっ!」
エネルギーを纏ったゴーオンレッド――古谷靖紘が、マッハの加速で割り込む。レース・ノーワンの突進を真正面から弾き返し、アスファルトを抉りながら着地した。
「邪魔すんな! 一位は俺だ!」
「一位がそんな顔してどうすんだよ!」
靖紘は吠え、再び踏み込む。二人の速度がぶつかり合い、衝撃波が会場を揺らす。純粋な速さと速さの衝突。その隙に、陸王は距離を取り、状況を再構築した。
「……よし。役割分担、はっきりしたね」
彼は静かに指輪へと手を伸ばす。
「エンゲージ――『ブンブンジャー』」
光が弾け、陸王はブンレッドへと姿を変える。ブンブンハンドルを握り、レオンバスター50との二丁拳銃体制を完成させた。
「さあ、走るコースは――僕が決める」
ブンブンハンドルから放たれた弾丸が、レース・ノーワンの進行方向を塞ぐように展開する。レオンバスター50の弾と交差し、見えない壁となって速度を殺す。
「チッ……!」
進路を限定された瞬間、ゴーオンレッドが動いた。
「ロードサーベル――サーベルストレート!」
光のロードがアスファルトに走り、靖紘はその上を疾走する。直線の極致。迷いのない突進が、レース・ノーワンを正面から斬り裂いた。
「ぐっ……!」
体勢を崩したノーワンに、陸王が踏み込む。
「フィニッシュだ」
フィニッシュフィンガーレオン。乱舞の如き連続打撃が叩き込まれ、最後にテガソードの一撃が炸裂する。取り込まれていた人影が光の中から解放され、陸王は指先で、空中にサインを刻んだ。
「百の夜を、君と共に♪」
閃光が弾け、レース・ノーワンは崩れ落ちる。
静寂が戻り、レース会場には、確かに“勝負が成立した”余韻だけが残っていた。
陸王は息を整え、ゴーオンレッドの方を見る。
「いい走りだった。君なら、どんなレースでも――最後まで踏める」
靖紘は短く頷いた。
ナンバーワンを巡る戦いは、まだ続く。