ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
採掘場に辿り着いた瞬間、空気の密度が変わった気がした。街の匂いが薄れ、代わりに土と石の冷たさが鼻の奥に沈む。足元の砂利は乾いていて、踏むたびに硬い音が響くはずなのに、不思議と静かだった。静かすぎる。音が吸われているというより、最初から“聞かせない”ように整えられている。遠くで風が吹いているのは分かるのに、ここだけが切り離されたみたいに無風に近い。
照明も、工事用の残りがぽつぽつと点いているだけだ。影が長く伸びて、岩肌の凹凸が別の生き物の顔に見える。俺は無意識に周囲を一周見渡した。増援の気配はない。足跡の重なりもない。あるのは、地面に焼けた円の痕と、焦げた匂いが僅かに残る空気だけ。終戦のための式場。そんな言葉が頭をよぎって、喉の奥が乾いた。
ポケットの中の紙が、体温で少し柔らかくなっている気がした。俺はそれを押さえるのをやめて、代わりに拳を握った。指輪の感触が硬い。今夜はこれが、俺の背骨だ。
前方の高い岩の上、火のような赤が揺れていた。灯りじゃない。あれは――人の気配だ。俺が数歩踏み出しただけで、その影は微かに動いた。座っていたのか、しゃがんでいたのか。どっちでもいい。ここにいる。俺の目の前に、最初のライバルがいる。
影が立ち上がる。背中が起き上がるというより、炎が形を取っていくみたいに、すっと姿勢が整う。次の瞬間、笑い声が乾いた採掘場に転がった。
「キャキャキャ!待っていたぜ、ゴジュウウルフ」
呼ばれた名前が、胸の内側を叩いた。ゴジュウウルフ。俺が最初に背負った看板。ここまで運んできた重さ。ファイヤキャンドルは一人だ。周囲に誰もいない。なのに、あいつの声だけで空間が埋まる。俺は一歩、焼けた円の縁に近づきながら、息を吸った。冷たい空気が肺に刺さる。熱は、胸の奥に残しておく。
「……来たぞ」
自分の声が、思ったより低かった。怖いわけじゃない。震えでもない。決めた声だ。俺は視線を逸らさず、あいつの足元と手元を確認する。逃げ道を探しているわけじゃない。勝負の形を確かめている。ここは本当にタイマンだ。余計な火種を増やさないための、一対一だ。
ファイヤキャンドルが、肩を鳴らすように首を回す。あいつの笑みは派手なのに、その目だけが妙にまっすぐだ。ふざけてるようで、ふざけてない。仲間を守るために自分を差し出す覚悟が、あの目の底にある。だから腹が立つ。だから、目を逸らせない。
俺は焼けた円の中へ足を踏み入れた。砂利がかすかに鳴る。たったそれだけで、夜が一段深くなった気がした。ここから先は、言葉で終わらせられない。勝って終わらせる。終わらせるために勝つ。その両方を、俺の手でやる。
「さぁ、俺達の決着を付けようぜ!」
それと共に、その手にはテガジューンがあった。
だが、そのテガジューンにセットされている指輪は見た事がない物だった。
「女王から受け取った俺様の最大の力を発揮するこの指輪で、お前と決着をつける!最高に燃えるじゃないかよぉ!」
「・・・ならば、俺もてめぇの最大の力を正面から受け止めるよ」
「それでこそ!俺の好敵手だ!ゴジュウウルフ!いや、遠野吠!」
それと共に。
「「エンゲージ!!」」
『テガソードナンバーワン!』『テガジューンナンバーワン!』
鳴り響く音声と共に、俺はテガソードゴジュウウルフへ。
そして、ファイヤキャンドルは、これまでの人間とは違うノーワン達のような怪人の姿へと変わる。
「俺様のカイザーファイヤキャンドルの力!見せてやるよ!」