ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
誰にも邪魔をされない場所。
それと共に、俺達は採掘場に来ていた。
採掘場の空気は乾いていて、砕けた石が靴底に噛みつくたび、細い音が跳ねた。風は冷たいのに、胸の奥だけが熱い。目の前に立つ二人は、いつもの調子で笑ったり、ふざけたりはしない。互いの願いを知っているからだ。ここで勝ち負けを決めることは、相手の“祈り”や“夢”に土足で踏み込むことと同じになる。だから、逃げない。軽く扱わない。真剣勝負にするしかない――そういう沈黙が、二人の間に張りつめていた。
片方は、視線がやけに澄んでいる。遠くの岩肌の割れ目まで見通しているみたいに、焦点が合い続けているのに、顔つきは不思議と柔らかい。もう片方は、まるで祈りを捧げるみたいに背筋が伸びていた。強さを見せびらかすのではなく、何か大きなものに“自分の力を預けている”ような立ち方だ。二人とも、ここで勝つことに意味を持たせている。だからこそ、こちらの喉まで乾いてくる。
「こうして、竜てゃと最初に戦う事になるとはね」
「私もあなたが最初の対戦相手というのは、少し感傷深いですね」
それと共に、ゆっくりと。
「「エンゲージ」」
採掘場の現実に、あり得ない熱が割り込んだ。旗が翻り、腹の底に響く声が空気を押しのける。どこから現れたのかなんて考える暇もない。あの圧は、考える前に背筋を正させる。
「いざ掴め!ナンバー!ワァーーーーンッ!!」
声が落ちた瞬間、砕石が震えた気がした。周囲は誰もいないのに、ここだけは“見られている”感覚が生まれる。逃げ道が消える。逃げないと決めた者だけが立っていられる場所になる。
「ゴー!ゴー!ゴジュウジャー!!」
澄んだ目の方が、肩の力を抜いた。軽く見えるのに軽くない。むしろ、ここで肩に力が入るほどの勝負じゃない、と言われたみたいで悔しくなる。笑っているのに、目は真っ直ぐ前を射抜いている。
「今も昔も信じる者は救われる!チャララっと行こうよ、ゴジュウイーグル!自分の信じる者を信じて、進む」
その言葉は、相手を煽るためじゃない。自分を奮い立たせるためでもない。もっと静かな宣言だ。“信じる”と決めた自分を、最後まで裏切らないための誓い。だから胸に残る。
「ゴー!ゴー!ゴジュウジャー!!」
祈りの立ち方をしていた方が、ゆっくりと息を吸った。熱いのに落ち着いている。怒りでも焦りでもなく、揺るがない一本の柱みたいな気配が立つ。勝つ理由が、自分の中で完全に言葉になっている人間の強さだ。
「私の心は、全てはテガソード様!怪力伝道師、ゴジュウティラノ!この信仰心は変わらず!」
それは“相手を倒す”というより、“信じ続ける”という誓いだった。だから怖い。勝敗がついたあとも、簡単には引き返せない覚悟に見える。相手の願いを無碍にしないために真剣勝負を選ぶ――その筋の通り方が、逆に容赦を消していく。
「No.1バトル!READYGO!」
合図と同時に、二人の足が同じだけ沈んだ。砕石が鳴る。拳も、武器も、祈りも、笑いも、全部ひっくるめてぶつけ合うつもりの踏み込みだ。勝った方だけが偉いわけじゃない。でも、勝たなきゃ守れないものがある。俺は喉の奥で息を飲みながら、その“守り方”を見届ける覚悟を固めた。