ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
その鍔迫り合いの隙間に、真白の声が滑り込む。
「願いを叶える“資格”ってのはな、強さじゃねぇ。叶えたあとも、崩れずに立ってられるか――それだけだ」
角乃は歯を食いしばり、視線を外さない。拳の圧で装甲がきしむ。
「……私は、叶えても逃げない。立ったまま受け止める」
真白が鼻で笑った。オーラが濃くなる。
「甘い。誰かが泣いても――言い訳で濁すな。腹の底まで背負え」
角乃の指が装甲を掴み直す。握りが決まり、足が土に噛む。
「言い訳なんてしない。証拠を揃えて、責任を引き受ける。それで終わらせる」
一拍。真白の声から余計な飾りが落ちる。
「……いい返しだ。言っとく。お前の願いは“正しい”」
角乃は瞬きもせず返す。
「あなたのも、正しいわ」
真白が拳を引いた。引いただけで空気が吸い込まれ、粉じんが中心へ寄る。
「正しさを二本並べりゃ、どっちも折れる。一本にするには――勝った方が握るしかねぇ」
角乃が一歩、前に出る。逃げるのではなく、近づく。
「なら、ここで一本にする。勝って、握る」
真白が拳を構え直す。
「次で決める。叶えたあとも立ってられる方が――世界を握れ」
角乃は腕の角度を変え、受け止めではなく押し返す形にした。
「握るなら、責任ごと離さない」
二つの巨体が同時に踏み込む。山肌が沈み、風が裂けた。決着の一撃へ、距離が消える。
粉じんが渦を巻き、尾根の風が裂けた。踏み込みのたび山肌が沈み、割れ目から小石が転げ落ちる。
テガソードブラックの胸部が鼓動のように明滅し、リングの縁が一斉に光った。黒い刃が伸び、刃先の圧だけで枝が伏せる。
「これで、終わらせる」
「あぁ」
踏み込み。必殺の一撃が振り下ろされる。黒い斬線が空を裂き、岩肌が遅れて割れた。衝撃が斜面を走り、粉じんが壁みたいに立ち上がる。
真白は目線を刃の芯に据えたまま、短く吐く。
「退け。……グーデバーン、来い」
「はい!」
リングが重なる。
『トッキュウジャー』
足元に銀の線が走った。山肌へ敷かれる“道”が、粉じんの中に輪郭だけ残す。
『ターボレンジャー』
次の瞬間、巨体がその線上を滑る。風圧が粉じんを剥がし、黒刃の落ちる地点へ潜り込む。
角乃の声が跳ねた。
「っ、そこに――!」
真白が拳を握る。熱が濃くなり、空気が歪む。
『マスクマン』
振り下ろされる必殺が、真正面へ落ちてくる。距離はない。逃げ場もない。
「受け止めるな。逸らすな――へし折れ」
「真白さん!」
拳が前へ出た。山を叩く衝突音。地面が波打ち、粉じんが球みたいに弾ける。黒い斬線が、拳の周りで一瞬止まり、次の瞬間、横へ“滑った”。逃げた勢いが岩壁を砕き、崩れた岩が遅れて落ちていく。
角乃が踏ん張り直す。
「まだ――!」
真白はもう拳を引いていた。引いただけで空気が吸い込まれ、粉じんが中心へ寄る。足元の線路がわずかに曲がり、視界の奥が白く割れた。
『フラッシュマン』
薄い光の壁が一瞬だけ立つ。距離感が狂い、次の一手が半拍ずれる。
真白が言い切る。
「決めるぞ!」『ポーラーグーデフィニッシュ!』
グーデバーンが踏み込む。線路が消え、足が土を掴む。オーラを纏った拳が、テガソードブラックの中心へ真っ直ぐ伸びた。回り込みじゃない。逃げ道のない直線。拳の先で空気が潰れ、粉じんが弾ける。
「――っ!」
角乃が両腕を上げる。間に合わない。受け止める位置がずれる。拳が装甲を貫くより先に、重心を叩き崩す。内部で金属が噛み合う音が裂け、テガソードブラックが片膝をついた。山肌が沈み、落とした武装が転がって止まる。
リングの光が、ひとつ、ふたつ、脈を失う。黒刃がほどけ、風に散った粉じんの向こうで消えた。
角乃の手が、わずかに下がる。喉が一度鳴ってから、ようやく声になる。
「……立ってるのね」
真白は拳を下ろさない。肩で息もしない。
「ああ。倒れねぇ。叶えたあともな」
角乃は視線を逸らさず、短く頷いた。
「……負けたわ。でも、あれは置いていかない」
真白が一度だけ顎を引く。褒めも慰めも置かないまま、断定で締める。
「折る気はねぇ。勝った俺様が握る。責任もまとめてだ」