ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
山の稜線が、いきなり“割れた”みたいに歪んだ。
空気が重い。鼓膜の奥を、太鼓じゃなく岩で叩かれている感じがする。
『……私が、正す』
レクスが巨大化した瞬間、世界の音が一段落ちた。
見上げるはずの視界が、コックピットのモニター越しに天井へ押しつけられる。計器が一斉に揺れ、警告灯が赤く滲んだ。
「テガソード!行くぞ!」『最強!頂点!ユニバース!』
それと同時に、俺の周囲にはあいつらの武器が見える。
「リョウテガソード!」『テガソード!ナンバーワン!リョウテガソード!』
リョウテガソードが踏み出す。
足元の土が沈み、山肌の小石が跳ね上がった。頭部に据えたウルフデカリバーの重みが、機体の首を“前へ”引っ張る。
右腕のレオンバスターが唸り、左腕のティラノハンマーが、空気を裂く予備動作で低く鳴った。
レクスが腕を振る。
それだけで、見えない刃が谷を横断したみたいに、樹海の上層が一気に倒れる。砂塵が壁になって迫り、モニターが白く霞んだ。
「ふざけんな……!」
引き金に指が食い込む。
レオンバスターの一撃。光が走る。続けて、肩のユニットを動かす。ユニコーンドリルの先端が回り、地面に突き立てる。踏ん張りが効いた。
『……無駄だ』
声が、機械じゃなく“法”みたいに落ちてくる。
次の瞬間、竜巻が生まれた。山の腹から空へ、太い縄が立ち上がる。引きちぎられた木片が、矢の雨になって飛び込んでくる。
「っ、来る!」
小剣を抜いた。
刃で弾く、じゃない。機体ごと角度を変えて受け流す。金属音が連続して鳴り、腕の関節が悲鳴を上げた。
通信が割り込む。
「退け。俺様が前へ出る」
熊手真白の声だ。
その背後で、白い影が降りてきた。テガジューン――翼を広げ、右腕の銃部が光を溜める。
「合体だ、グーデバーン!」
『ゴッドネス合体——』
『テガジューン・ホワイトバーン!』
白と黒が噛み合い、姿勢制御の噴射が一瞬だけ火花を散らした。
テガジューン・ホワイトバーン――そう呼ぶしかない輪郭が、レクスの正面に立つ。銃声が山に反響し、続けてブレードが閃く。切っ先が描いた線だけ、砂塵の壁が薄く裂けた。
「2代目!合わせろ!」
「分かってる!」
ユニコーンドリルを引き抜き、機体を滑らせる。
イーグルのユニットを撃ち出すように角度をつけ、視界を抉る。レクスの巨体が一瞬、揺れた。
ここだ。
ハンマーを振り抜く。
衝撃が腕から背骨へ突き抜け、コックピットの床が“跳ねた”。その反動で小剣を交差させ、最後にレオンバスターを正面へ――
「ぶち抜けぇぇっ!」
「終わりだ、レクス!」
光が束になった。
テガジューン側の一撃と重なる。山の影が裏返り、爆ぜる。
……当たった。
確かに、砕けた。
レクスの身体に亀裂が走り、闇が漏れた。
なのに。
『再生』
言葉が落ちた途端、亀裂が“戻る”。
裂け目が縫われ、壊れた部分が、最初から無かったみたいに整っていく。
「は……?」
喉が乾く。
舌が張りつく。笑う余裕も、怒鳴る余裕も消えた。
レクスが、指を立てた。
その先から光が溢れ、まっすぐこちらへ伸びる。
「真白、避け――!」
叫びが終わる前に、衝撃が来た。
世界が横倒しになった。
リョウテガソードが宙へ投げられ、計器が一斉に暗転する。身体が浮き、シートベルトが肋を締め上げた。
遠くで、テガジューン・ホワイトバーンも同じように吹き飛ばされるのが見えた。白い翼が、山の影へ沈む。
落下。
衝突。
木々が折れる音が、何度も、何度も重なった。
最後に、土の匂い。
焦げた金属の匂い。
「……くそ……まだ、終わってねぇ」