ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
モリスの群れは、斜面を埋めるように押し寄せていた。
灰色の影が折り重なり、倒した端から別の個体がその隙間を埋める。足場の岩は見えたり消えたりを繰り返し、踏み込みのたびに砂利が流れた。
暁切歌が前へ出る。
右足を半歩滑らせ、腰を落とし、刃を振り上げる。間合いは近い。もう一歩踏み込ませれば飲まれる。だから、その前に斬る。
「来るデス!」
振り下ろした一撃が、先頭のモリスの肩口へ叩き込まれる。
接触。硬い音。遅れて衝撃が腕へ跳ね返り、手首がぶれる。切断された影が崩れるより先に、後列がその上を踏み越えてきた。切歌は反動で一度だけ引き足を作り、刃を横へ返す。二撃目。今度は胴を薙ぐ。斬れた。けれど、空いた場所がもう埋まる。
月読調は、切歌の左へ半身ずらして立つ。
視線の高さを変えず、刃先だけを滑らせる。斜めに入った切断が、モリスの腕を落とした。
接触音は小さい。だが、止める位置が正確だ。前列の押しがそこで一瞬だけ鈍る。
「切ちゃん、右」
「分かってるデス!」
切歌が体をひねる。
踏み込みを浅くして、真正面ではなく右斜めへ角度をつける。そこへ飛び込んできたモリスの首筋へ、刃が斜めに食い込んだ。火花のように灰が散る。
その脇を、別の影がすり抜けようとする。調が半歩前へ。引き足を短く使って距離を詰め、刃を下からすくい上げる。
接触。高い音。衝撃でモリスの上体が跳ね、そのまま斜面へ転がった。
二人の呼吸は合っている。
切歌が前を割り、調が隙間を埋める。
それでも、数が多い。
前列を崩しても、別の列がすぐにせり上がる。
倒れた影そのものが踏み台にされ、さらに高い位置から次の爪が振り下ろされる。切歌が刃を上げて受ける。
接触。鈍い音。肩まで衝撃が走る。足元の石が砕け、砂煙が小さく上がった。
「っ、まだ来るデスか……!」
呼吸が熱い。
装甲の内側で汗が首筋を滑る。けれど、膝は落とさない。切歌は歯を見せるように息を吐き、もう一度刃を構え直した。
調が低く言う。
「前、詰められてる。下がって」
「下がったら、後ろまで流れ込むデス!」
言い返しながらも、切歌の足は半歩だけ引く。
その引きで、二人の間に拳ひとつぶんの隙間ができた。そこへ、待っていたみたいにモリスがねじ込んでくる。
「……っ!」
切歌が迎え撃つ。
腰を沈める。踏む。振る。
刃がモリスの脇腹へ入る。だが、反動で上体が開く。そこを狙って、背後の影が腕を伸ばした。
「切ちゃん!」
調が一歩、前へ出る。
視線はぶれない。振り向きざまの一閃が、背後から迫った腕を断ち切る。
接触、音、灰の飛散。切り落とされた腕が地面を転がり、そのまま別のモリスの足元をさらう。前列がもつれた。だが、その間にも左右から新しい影が詰めてくる。
押されている。
じわじわと、確実に。
切歌の踵が岩へ触れる。
逃げ場が狭い。横へ開く余地も、もう薄い。
「……多い」
調の声は短い。
切歌は肩で息をひとつ吐き、刃を握り直す。
「だったら、もっと斬るだけデス!」
その言葉と同時に、前列がいっせいに雪崩れた。
切歌が踏み込む。調が合わせる。二人の刃が交差し、灰色の群れへ食い込む。
だが、今度の押しは深い。前列が倒れても、後列がそのまま踏み越える。切歌の一撃が通っても、次の一体がもう目の前だ。調が止めても、別の列が横へ回る。
「切ちゃん、左――」
言い終わる前に、空気が裂けた。
「あなた達は確か、赤嶺さん達デス!?」
そこにはデンジレッドとレッドワンに変身していた赤嶺姉妹であった。