ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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過去の罪

モリスの軍勢を押し返した赤い二つの影は、そこで止まらなかった。

前列を弾き飛ばした反動で砂煙が立つ。吹き上がった灰がまだ落ち切る前に、デンジレッド――赤嶺瑚陽が一歩前へ出る。踏み込みは深い。つま先が土を抉り、膝が沈み、握った拳の周りで電気が小さく跳ねた。隣ではレッドワン――赤嶺陰夢が半歩後ろに位置を取り、妹の肩線と切歌たちの立ち位置、その間にできた隙間を静かに測っている。

 

切歌は刃を構えたまま、二人を見た。

呼吸がまだ熱い。肩に残る衝撃も抜け切っていない。助かった、それは間違いない。けれど、どうしてここにいるのか、その答えはまだ喉に引っかかっていた。

 

「……なんで、あんたたちがここにいるデス?」

 

問いが落ちる。

その間にも、前列のモリスが体勢を立て直していた。灰色の腕が持ち上がり、斜面の奥で別の列がじりじりと前へ出る。瑚陽はそちらを睨んだまま、短く息を吐く。

 

「借りを返しに来た。――それと、ケリをつけに」

 

電気が拳の輪郭をなぞる。

ぎり、と握りが深くなった。怒りを思い出している音ではない。押さえ込んだ熱が、指の骨の中で鳴ったような音だった。

 

「一度はクオンに使われて、あたしたちは間違った方へ行きかけた。あの時は、自分で立ってるつもりで、立たされてただけだった」

 

言葉の最後で、瑚陽は前へ半歩踏み出す。

その足に合わせて、モリスの列がわずかに揺れた。敵も、この赤い熱を警戒している。

 

陰夢が、瑚陽の横顔を見ずに続ける。

声は低い。平らだ。だからこそ、誤魔化しが効かない。

 

「負けて、ようやく分かった。私たちが進もうとしていた道が、どれだけ歪んでいたか。……だから今回は違う」

 

レッドワンの手元で、戦場に転がっていた金属片がかすかに震えた。

電子の走る微かな音。乱れた位置情報を拾い直すみたいに、周囲の残骸が静かに整えられていく。戦うための声ではない。戦う場所を正す声だ。

 

「誰かに使われるためじゃない。自分たちの意志で、ここに来た。過去の分も含めて、ちゃんと返すために」

 

切歌が、言葉を飲み込む。

調もまた、すぐには返さなかった。二人の前で、赤嶺姉妹は並んで立っている。片方は前へ出る拳。片方は、その拳が逸れないように支える影。言っていることは重い。けれど、その立ち方には迷いがなかった。

 

「……切ちゃん」

 

調の呼びかけは短い。

切歌は横目だけで応じる。そこでようやく、調の視線の意味が分かる。疑うかどうかじゃない。今、目の前の軍勢をどうするか。それだけを先に決めろ、という目だ。

 

切歌は一度だけ歯を食いしばり、それから、ふっと息を吐いた。

刃を握り直す。手の震えは、もうない。

 

「……分かったデス。だったら、今は信じるデス」

 

瑚陽の肩が、ほんの少しだけ落ちた。

陰夢は小さく頷くだけで、それ以上は言わない。

 

「うん。それで十分」

 

前方のモリスが、一斉に身を沈めた。

来る。前列だけじゃない。後列も、そのさらに奥も、まとめて押し潰すつもりで間合いを詰めている。斜面の砂が流れる。空気が重くなる。

 

切歌が刃を上げる。

調が半身ずれる。

瑚陽が拳を握る。

陰夢が一歩後ろで視線を走らせる。

 

四人が、同じ軍勢を見た。

 

「行くデス!」

「うん」

「今度は、止まらない」

「――前を、取って」

 

その声が重なった瞬間、四つの影が同時に構えた。

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