ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
ベルルムの放った圧が、砕けた採掘場の空気そのものを押し潰し、さきほどまで陸王を追い詰めていた紫の気配が、赤い炎を纏った新たな乱入者へゆっくりと向き直る。
ウルザードファイヤーの姿で立つ玲は、揺らぐことなく前へ出て、陸王の半歩前へ身を滑り込ませるように立ち位置を変え、剣先を僅かに下げたままベルルムを真っ直ぐに見据えた。
ベルルムの声音には驚きよりも、理解の届かない現実を無理やり呑み込もうとする、乾いた苛立ちのほうが強く滲んでいた。
「・・・貴様がなぜ、そちら側にいる。貴様は人間側でありながら、私と一体化していただろ」
玲は一拍だけ息を置き、否定も弁明も先に出さず、視線だけをわずかに横へ流して背後の陸王が立ち上がる気配を確かめ、それから静かに口を開いた。
「そうだね、それは否定しない。今でも、この世界を滅ぼしたい気持ちはあるさ」
その言葉が落ちた瞬間、陸王の喉がひどく乾き、胸の奥でやっと灯りかけた火が不安に揺れて、思わず名を呼ぶ声が口を衝いて出る。
「玲さんっ」
ベルルムの口元が、勝利を確信した獣のようにわずかに歪む。
「ならば」
その続きを遮るように、玲の声が今度は少しだけ低く、しかし確かな熱を帯びて響いた。
「けどね、滅ぼしたくない理由も出来たんだ」
ベルルムの眉が動く。
「何?」
玲はそこで初めて、肩越しに陸王を振り返る。
その視線は厳しくも優しくもなく、ただ眩しいものを正面から見た者だけが持つ、少しばかり困ったような、それでいてどこか誇らしい色を宿していた。
「陸王、お前がアイドルとして復活した姿、そして活躍を続ける姿を見たい」
陸王の指先が震える。
それは怯えでも怒りでもなく、自分では届かないと思っていた場所から、不意に手を伸ばされた時だけ身体に走る、どうしようもなく熱い動揺だった。
「僕の」
呟きは短い。
けれど、その二文字の中には、倒れていた間に胸へ積もった悔しさも、失った時間も、取り戻したい舞台も、全部が一緒に詰まっている。
玲は口元だけで少し笑い、剣を握る手に力を込める。
「少なくとも、俺にその気にさせたんだ。勿論、断るつもりはないだろ」
陸王は一度だけ深く息を吸い、肺の奥に残っていた痛みごと押し込みながら、レオンバスター50を握り直して立ち上がる。
膝はまだ重い。
脇腹の痛みも消えていない。
それでも、今は痛みの重さより、胸の奥で鳴っている熱のほうがずっと大きかった。
「っ勿論さ!なんだって、僕は皆のゴジュウレオンであり、百夜陸王だからね」
その言葉には、さっきまで追い詰められていた影が残っていない。
名乗りはただの肩書きではなく、ここに立ち続ける理由そのものであり、自分を支える光を自分で呼び戻すための、ひとつの儀式みたいに戦場へ響いていた。
ベルルムは二人を交互に見たあと、つまらないものを見るようにゆっくり首を振る。
「所詮、人間。我らとは相容れないか」
玲はその言葉を否定しない。
否定しないまま、一歩だけ前へ出る。
足元の砂利が鳴り、赤い炎が装甲の縁をなぞり、かつて同じ側で戦った時間と、今こうして刃を向け合う現実とが、同じ戦場の上で静かに重なり合う。
「ならば、ここで決着をつけようベルルム、かつて、お前と一緒に戦った者として、陸王と共に」
その宣言は、憎しみだけで切られたものではない。
かつて確かに共有していたものがあったからこそ、その終わりを曖昧にしないための言葉であり、同時に、未来へ進むために過去を断ち切る覚悟そのものだった。
陸王は玲の隣へ並ぶ。
肩が並ぶ距離は、ほんの僅かだ。
それなのに、その間には失った時間も、言葉にできなかった思いも、ようやく届いた願いも、全部が静かに詰まっている気がした。
ベルルムが腕を上げる。
紫の圧が再び戦場へ満ちる。
玲が剣を構える。
陸王が銃口を持ち上げる。