ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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集団の意味

採掘場の斜面を覆う灰色の靄は、ただの粉塵ではなく、病そのものが地面の割れ目から滲み出しているような、粘りつく重さを帯びていた。

 

疫病のペスティスは砕けた岩棚の上で腕をゆるく掲げ、その指先から腐った息みたいな瘴気を垂らしながら、眼下にいるブライダンを値踏みするように見下ろしていた。

 

「さあ、群がれ。お前たちには、それしか能がないのだから」

 

その合図と同時に、採掘場の至るところで砂利が跳ね、崩れた足場の陰や裂けた地面の奥から、戦闘員たちが濁った波のように一斉に湧き上がる。

 

押し寄せる数は目に見えて多く、ただ多いだけでなく、ペスティスの瘴気をまとったせいで、近づくだけでも喉の奥がざらつき、身体の芯へ鉛みたいな重さが沈んでいく。

 

ファイヤキャンドルとなったファイヤキャンドルは、踏み込みかけた膝を一度だけ深く沈め、そこから上体を起こす勢いで前へ出ると、押し寄せる戦闘員の頭を拳で叩き割るように殴り飛ばした。

 

「アーイーども、ここで引くな! 俺様の前で倒れるのは、まだ早ぇぞ!」

 

その叫びは、ただの号令ではなく、下へ落ちかけた火種へ油を注ぐような熱を含んでいた。

 

呼ばれたアーイーたちは、散らばっていた足を踏ん張り直し、迫る戦闘員へまともにぶつかっていく。

 

普通なら数の差はどうしようもないはずだったが、ファイヤキャンドルの背中を見たアーイーたちは、不思議なくらい押し返されず、それぞれが一歩ずつ前へ出る勢いを持ち始めていた。

 

戦闘員の群れが押し込みきれない。

 

むしろ、押しているはずの側が、じわじわと足場を奪われていく。

 

ペスティスの目が、そこで初めて細く歪んだ。

 

「なぜだっ、数ではこちらの方が上のはずなのに!」

 

その隙を逃さず、アキバレッドとなったブーケが、砕けた鉄骨の陰から身を翻しながら飛び出し、モエモエズキューーンの銃口を高く構えて連続射撃を浴びせる。

 

桃色の光弾は派手に見えて照準が鋭く、戦闘員の列と列の継ぎ目だけを正確に撃ち抜き、押し寄せる波の形を無理やり崩していく。

 

同じ瞬間、Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークとなったMr.シャイニングナイフとMrs.スイートケークが、ひとつの意志を持ったように真正面から踏み込み、サーベルの切先を一直線にペスティスへ突き込んだ。

 

足元の砂利が滑りそうになるたびに、二人の重心はぴたりと揃い、華やかな見た目とは裏腹に、その突きはまっすぐで容赦がない。

 

「我らブライダンに、確かに上司と部下というのはある」

 

突きの軌道でペスティスを押し込んだMr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークの声は、芝居がかった響きを残しながらも、台本ではなく本心の重みをきちんと通していた。

 

「だが、ここにいる皆は使い捨ての道具ではない」

 

ブーケの射撃が、今度はペスティスの足元を掠め、崩れた岩を爆ぜさせながらその逃げ道を細く絞っていく。

 

「厄災で駒のように扱うお前では私達には勝てない」

 

その言葉が戦場へ落ちた瞬間、ファイヤキャンドルはアーイーたちが押し返した戦闘員の列の中心へ、一歩で食い込むように踏み込んだ。

 

拳で道を開き、肩で押し、身体ごとぶつかって敵の厚みを崩し、そのまま腰を捻って握手カリバーを横薙ぎに振り抜く。

 

「俺達、ブライダンを舐めるなぁ!!」

 

斬撃は熱を帯びた一閃となって、戦闘員の群れをまとめて裂き、奥で指揮を執っていたペスティスの前まで一直線の裂け目を作った。

 

ペスティスはそこでようやく、自分が押し潰そうとしていた相手が、命令に従う駒ではなく、互いに繋がりを持つ厄介な集団だと理解したらしかった。

 

だが、その理解は遅い。

 

ガリュードとなったクオンが、その裂け目のちょうど奥で、まるで最初からそうなるのを待っていたように、肩をすくめながら銃口を持ち上げる。

 

「それが僕達の友情だねぇ」

 

軽い調子で放たれたその一言のあと、戦場の空気が一段だけ鋭く締まる。

 

『ジューンブラスト』

 

響いた音声と同時に、ガリュードの放った一撃が、割れた隊列の中心をまっすぐ駆け抜け、ペスティスの胸へ深く突き刺さった。

 

接触の瞬間、青白い光が内側から膨れ上がり、疫病の瘴気ごと身体を押し広げるように爆ぜ、砕けた採掘場の空へ腐った灰を撒き散らしながら、その巨体を完全に吹き飛ばした。

 

爆風で巻き上がった粉塵が、しばらく遅れてぱらぱらと地面へ落ちてくる。

 

ファイヤキャンドルは肩で息をしながら立ち続け、ブーケはまだ銃口を下ろさず、Mr.シャイニングナイフ&Mrs.スイートケークは剣先を正面へ据えたまま、そしてガリュードはいつもの調子で笑っていた。

 

戦いは終わった。

 

そう言い切るには、まだ夜の匂いが重い。

 

それでも、ここで一つ、確かに証明されたものがある。

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