ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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神話のその先

 ペスティスの残骸が、黒い火花を散らしながら崩れていく。

 ベルムムを真っ二つに叩き斬った時よりも、こっちの方が静かだった。静かなくせに、爆散の余韻だけが長く残る。まるで、厄災そのものがまだ死にきれずに空気へへばりついているみてえな嫌な感じだった。

 

 テガソードアカツキオリジンの刀をゆっくりと下ろし、俺はそのまま視線を前へ流す。

 まだ終わっていない。

 そんなことは最初から分かっていた。

 そして、その答えはすぐに目に入った。

 

 掘削場の向こう側。

 地形がまるごと持ち上がっては沈むような、でかすぎる衝撃が連続していた。

 一発ごとに山肌が跳ねる。

 二発目で崖の端が崩れる。

 三発目でようやく、それが殴り合いだと分かる。

 

 見つめた先にいたのは、グーデバーンとビダルだった。

 

 互いに高い物量を持つ同士の殴り合い。

 軽いとか速いとか、そういう次元じゃない。純粋な質量と圧力が正面から噛み合って、その度に大地が悲鳴を上げていた。普通なら地震と間違える。いや、普通の地震よりもたちが悪い。震源が動く。怒る。殴り返してくる。

 

 ビダルの拳が振り抜かれるたび、空気が黒ずむ。

 飢餓の厄災らしく、その一撃一撃に“削る”って意思がこもっていた。喰うんじゃねえ。満たすためでもねえ。相手の中にあるもんを、空っぽへ近づけるための殴り方だ。

 それに対して、グーデバーンも真正面から殴り返している。受けているんじゃない。相手の圧へ、自分の圧をぶつけて潰しにいっている。

 

「ふっ、厄介なのは変わりないようだな」

 

 横で真白が鼻を鳴らす。

 気楽に言ってるが、言葉の内容は正しい。二体落としたところで、残った厄災が弱いわけじゃない。むしろ、ああやって最後まで食らいついてくる奴の方が厄介だ。

 

「お前ら!」

 

 俺が声を張ると、グーデバーンがちらりとこちらを見た。

 その直後にもビダルの拳が飛んでくるが、グーデバーンは片腕でそれを受け、踏ん張りで地面に深い溝を刻みながら、無理やり後ろへ距離を取った。

 

「おぅ、二代目、終わったか」

 

 軽い。

 いや、軽く聞こえるように言ってるだけで、余裕ぶったものじゃない。肩の装甲はところどころ抉れてるし、機体の表面を走る赤黒い光も少し乱れている。それでも平気そうに言えるところが、あいつらしい。

 

 グーデバーンが俺たちのいる側へ下がる。

 真白の気迫が、その巨体越しでもはっきり伝わる。白いはずの神格が、今はどこか赤黒さを孕んでいた。激しすぎる力をようやく使いこなせるようになった、そんな危うい完成形みてえな圧だ。

 

「苦戦しているようだな」

 

 俺がそう言うと、真白は肩を竦めた。

 自分が追い込まれていたなんて、これっぽっちも認める気がない顔だ。

 

「別に問題ないよ。それにどうせだったら試したい事があるからな」

 

「試したい事?」

 

 聞き返した瞬間、真白の口元が歪んだ。

 嫌な予感がした。こいつがそういう顔をする時は、大抵まともじゃないことを言い出す。

 

「あぁ、見せてやれ、グーデバーン。お前の力を」

 

「はい、熊手さん! はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 グーデバーンが吼えた。

 それはただの掛け声じゃない。内部で抑え込まれていた別種の力を、無理やり前へ引きずり出すための咆哮だった。

 

 機体表面の色が変わる。

 これまでの白を基調にした神々しさじゃない。

 赤。

 黒。

 その二色が、装甲の継ぎ目から滲み出るように全身を染めていく。白い気配の中に、まるで燃え残った破滅の残火みてえな赤黒さが混じる。

 

「そいつは……」

 

 見覚えがある。

 いや、正確には、見覚えというより感じ覚えだ。

 前に真白が纏っていた、世界を書き換える側の冷たさとは違う。これはもっと危ない。もっと直接、世界を壊すことへ向いている力だ。

 

「破滅の王子の力は既に問題ないからな」

 

 真白は当然のように言う。

 つまり、前に飲み込まれかけていたあの力を、今はもう制御下へ置いているってことだ。

 さらっと言いやがるが、簡単な話じゃない。それこそ一歩間違えれば、自分ごと全部壊れるような代物のはずだ。

 なのに、こいつはもう使える前提で立っている。

 やっぱり、つくづく化け物じみてやがる。

 

 そして――だからこそ、ここから先がある。

 

「ならば、やろうぜ」

 

 俺が言う。

 真白が笑う。

 言葉はそれだけで足りた。

 

 テガソードアカツキオリジンが前へ出る。

 赤黒く染まったグーデバーンが並ぶ。

 

「いくぜ! ゴッドネス合体!」

 

 その宣言と同時に、世界の見え方が変わった。

 

 足元の地面がきしみ、割れた岩の表面へ薄氷が張る。ビダルが一歩退いた。あの飢えた目つきに、初めて明確な警戒が浮かぶ。

 

 合体が完了する。

 

「「テガソードアイスバーン!」」

 

 俺と真白の声が重なる。

 その名を、巨神自身が受け取るみてえに、全身の装甲が深く共鳴した。

 

 それは、これまでのテガソードホワイトバーンとは違う姿だった。

 白の神格を芯に残しながら、赤黒の破滅を制御下へ置き、レオンバスター50とティラノハンマー50を両腕へ組み込んだ異形の最終形。冷たさと凶暴さ、静謐さと破壊が、矛盾したまま一つへ纏まっている。

 

 その中心で、俺は大きく息を吐いた。

 隣では真白が、相変わらず偉そうな顔で前を睨んでいる。

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