ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
爆煙がようやく晴れ、耳の奥に残っていた轟音も少しずつ薄れていく。
それでも、戦場そのものはまだ終わった顔をしていなかった。砕けた岩盤のひびは止まらず、熱を持った砂塵はゆっくりと渦を巻き続けている。さっきまでの巨大戦で何もかもを吹き飛ばしたはずなのに、胸の奥に残る違和感だけが消えなかった。
俺は視線を下へ落とす。
そこでようやく気付く。
「なんだ、この穴は」
呟いた声が、妙に乾いて聞こえた。
そこにあったのは、ただのクレーターなんてもんじゃない。深い。暗い。底が見えない。まるで最初から地球の内臓へ続いていた口が、今までの戦いの衝撃で露わになったみてえな穴だった。縁は融けたように黒く、内部の岩肌は不自然に脈打って見える。見ているだけで嫌な予感が膨らんでいく。
その時、真白がはっと息を呑んだ。
さっきまで余裕ぶった顔を崩さなかったあいつが、今だけは明確に焦りを見せる。
「まさかっ、厄災は地球と一体化するつもりかっ」
その言葉に、俺は反射で振り向いていた。
「地球と一体化だとっ」
「そうだ、おそらくは、この先にあるユグドラシルと一体化。それが狙いだ」
「ユグドラシルっ」
横で響も顔色を変える。
俺だけじゃない。知らない単語がまた一つ増えたっていうのに、今度はその響き自体が最初から嫌な感じしかしない。
「また知らない単語だけど、一体……」
響が漏らした声に、真白は一瞬だけ目を細めた。
苛立っているようにも、急いでいるようにも見える。多分どっちもだ。
「簡単に言えば、地球を管理する為のシステムだ。それが乗っ取られてしまったら、この地球その物が厄災になってしまう」
言い切られた瞬間、背筋が冷えた。
さっきまでの戦いが、全部前座だったみてえに思えてくる。レクスを倒し、幹部を倒し、パラドクスまで叩き潰した。それでも、本当に危ない部分はまだこの下にあるってことになる。
「っ……」
言葉にならねえ。
俺も、響も、真白も、同時に息を呑んでいた。冷や汗が頬を伝う。巨大戦の熱がまだ残ってるくせに、妙な寒気だけがはっきりしていた。地球そのものが厄災になる。そんなふざけた話、聞いた瞬間は笑い飛ばしたくなるはずなのに、今はもう笑えない。目の前の穴が、それを冗談で済ませてくれそうにないからだ。
真白が穴の奥を睨んだまま、低く言う。
「ここでの戦いは、それまでの時間稼ぎの可能性がある」
時間稼ぎ。
その言葉が腹に落ちた瞬間、怒りが湧いた。
つまりレクスも、幹部も、パラドクスも、全部“本命の準備が終わるまでの壁”だったってことだ。あれだけ暴れて、あれだけ世界を削って、それすらまだ本気じゃなかったっていうのか。
だったら、答えは一つしかない。
「だったら、やる事は決まっている! さっさと奴の元へ行く!」
叫んだ時には、もう体が前へ出ていた。
テガソード・ファミリーの巨体が、穴の縁へ大きく一歩踏み出す。岩盤がきしむ。足元の破片がまとめて穴の中へ吸い込まれていく。底のない闇へ、音だけが遠ざかる。
怖くないと言えば嘘になる。
けど、止まれるかと言われたら、そんなわけがない。
ここで躊躇っている間にも、地球ごと喰われるかもしれないんだ。
だったら、行くしかない。
底に何がいようが、どんな化け物が待っていようが、全部まとめてぶっ壊して止めるだけだ。
「行くぞ、テガソード!」