ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
「これ以上、やらせるかよ!」
叫ぶと同時に、テガソード・ファミリーは躊躇なく巨大な穴へ飛び込んだ。
落下、なんて生易しいものじゃない。
突入だ。
地球の傷口へ、そのまま巨神ごと叩き込んでいくみてえな勢いだった。縁の岩盤が砕け、火花と石片が周囲へ吹き飛ぶ。機体の外装を擦る度に、深い金属音が穴の内壁へ反響し、暗い縦穴全体を震わせる。
穴は想像以上に大きかった。
広い。
深い。
そして、ひどくまっすぐだ。自然に空いた穴じゃない。何かの意志が、地球の奥へ一直線に道を通したみてえな不気味さがある。
下降していく。
風圧が唸る。
下へ行くほどに、空気そのものが重く濁っていく。さっき地上で相手にしていた厄災の残り香なんてもんじゃない。もっと濃い。もっと古い。世界が生まれる前から、ずっと底の方で腐り続けてきた何かの臭いがする。
やがて、その奥に見えた。
「あれは――」
俺の喉から、声が漏れる。
「おいおい、マジかよ」
そこにあったのは、巨大な瞳だった。
眼。
ただの比喩じゃない。
本当に、地球の奥に、こちらを見返してくる巨大な瞳があった。
暗闇そのものへ埋め込まれたみてえな、途方もなく巨大な眼球。赤でも青でもない、黒と金が混ざったような濁った光を宿し、瞬きひとつせずにこちらを見ている。眼球の周囲へは脈動するような血管じみた光の筋が走り、それが穴の壁面一帯へ広がっていた。
地球の奥へ向かってきたはずなのに、
そこに待っていたのは、地球そのものがこちらを見ているような異様さだった。
「っ!」
思考が追いつくより先に、厄災からの攻撃が来た。
巨大な瞳がぎらりと揺れた瞬間、周囲の壁面から無数の黒い触手めいたものが噴き出す。
いや、触手だけじゃない。光線、衝撃、圧力、全部が混ざっていた。眼球の視線と同時に、穴の内部そのものが敵意を持って襲いかかってくる。
真横から、黒い槍のような一撃。
正面から、押し潰すような圧力。
頭上から、壁そのものが剥がれ落ちてくるみてえな質量攻撃。
だがテガソードは、すぐに反応した。
翼を開く。
腰を捻る。
巨体を信じられねえほど軽く滑らせ、最初の一撃を紙一重でかわす。槍が頬を掠め、火花が散る。返す勢いで体勢を立て直す。そこへ今度は正面から圧が来る。両腕を差し出し、受ける。
「ぐっ……!」
重い。
ただの一撃じゃない。受けてるのは攻撃ってより、地球の内側から“拒絶”されてる感覚だった。壁も空気も重力も、全部がまとめてこちらを押し潰そうとしてくる。
テガソードの腕部装甲がきしむ。
火花が散る。
受け止めるだけで危ない。そんなもん、巨大戦でそう何度もやれるわけがない。
「このままじゃ、マズイね」
真白の声が低く響く。
いつもの余裕ぶった調子が、少しだけ削れていた。つまり本当にやばいってことだ。
「……負けてたまるかよ」
吐き捨てる。
怖くないわけじゃない。
分からないことばっかりだ。地球の奥に目玉があるとか、そんな悪夢みてえな現実を、どうやって納得すりゃいいのかも分からねえ。
それでも、ここで止まるわけにはいかない。
あれを放っておいたら終わる。
世界も、地上も、みんな全部、厄災の一部へされる。
だったらやることは一つだ。
あの眼を叩き潰して、この奥にある何もかもを止める。
睨みつける。
巨大な瞳を、真正面から。
その時だった。
「吠君!」
「っ」
聞こえた。
響の声だ。
距離なんて関係ないみてえに、その声ははっきり届いた。
次の瞬間、歌が響く。
シンフォギアの歌。
戦うための歌。
誰かと手を繋ぐための歌。
穴の奥の闇を裂いて、その声がまっすぐこっちへ流れ込んでくる。
胸の奥が熱くなる。
さっきまで重く纏わりついていた不快さが、一気に吹き飛ぶ。
ああ、そうだ。
一人じゃねえ。
俺だけじゃない。
この戦いは、ここまでずっと繋いできたもんの続きなんだ。
「あぁ、一緒に行こうぜ」
自然と笑っていた。
理屈じゃない。
その声が聞こえた時点で、もう腹は決まっていた。
その手にあるのは、リョウテガソード。
赤と金の神話の刃。
テガソードの真価を、さらに別の段階へ押し上げる二刀の在り方。
それを構える。
「行くぜ、超越人神一体! リョウテガソード!」
掲げた瞬間、テガソードの姿が変わる。
ファミリー形態の輪郭がほどけ、中心構造が再配置され、巨体の各部が左右対称の戦闘形態へ組み替わっていく。二つの剣。二つの神格。両手に世界を断つための理を宿した姿。リョウテガソードが、地球の底で巨大な瞳と向かい合う。
だが、変化はそれで終わらない。
いや、もうその前から準備は始まっていた。
響の声が届いた瞬間から、周囲の空気が別の波長で震えていた。
穴の上から、六つの光が落ちてくる。
黄。
赤。
青。
ピンク。
緑。
そして銀。
ウルフデカリバー50。
レオンバスター50。
ティラノハンマー50。
イーグルシューター50。
ユニコーンドリル50。
ベアックマ。
見慣れたはずの武装たちだ。
けれど、今は違う。
色が違う。光が違う。
黄色は、ただの黄色じゃない。響の拳を思わせる、まっすぐで温度のある黄。
赤は、クリスの火力を思わせる鋭い赤熱を帯びている。
青は、翼の太刀筋みてえな冷たい青。
ピンクは、マリアの包み込むような白寄りの柔らかさを含んだ色。
緑は、切歌と調の二つの刃を思わせる生きた光。
銀は、ベアックマでありながら、どこか神性に触れたような硬質な輝きを宿していた。
それらが、六柱の神みてえにリョウテガソードの周囲へ集まる。
「さぁ、行くぜ、皆!」
言葉と一緒に、俺は前へ出る。
巨大な瞳がこちらを見開く。
遅い。
「六神一体! リョウテガソード・シンフォギア!!!」
光が爆ぜる。
六つの武装と一体の獣が、リョウテガソードへ一斉に噛み合っていく。
両腕へ色が宿る。
剣先へ六人の力が走る。
背中へ歌の光が広がる。
武器の集合じゃない。
心と願いが、巨神の外装と骨格へ編み込まれていく。
リョウテガソードが、シンフォギアを纏う。
地球の奥の闇を前にして、今ここに生まれるのは、ただの強化形態じゃない。
戦い抜いてきた全員の意志が、そのまま巨大な神話の一体へ結晶した姿だ。
瞳が揺れる。
地球そのものが怯えたみてえに、穴の壁面がびりびりと震えた。
なら、次はその眼を閉じさせるだけだ。