ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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新たな指輪争奪戦

 地球の奥での戦いが終わったあと、俺たちはゆっくりと地上へ戻った。

 

 帰り道のことは、あまりよく覚えていない。

 地球の中心で見たものがあまりにも巨大すぎて、頭の中がまだ少し痺れていたのかもしれない。けれど確かなのは、俺たちがちゃんと地上へ戻ってきたことと、さっきまで巨神として世界の終わりみてえなものと戦っていたはずなのに、今はちゃんと自分の足で土を踏んで立っていることだった。

 

 変身は、気付けば自然に解けていた。

 テガソード・シンフォギアの残光も、地球の奥へ刻み込んだ光の断層も、全部もうどこにもない。ただ、戦いの熱だけがまだ身体の奥へ残っている。肩で息をしながら周囲を見渡せば、皆も同じだった。ボロボロだ。泥だらけだ。けど、誰も倒れてはいない。

 

 だからまず、俺は大きく息を吐いてから口を開いた。

 

「さて、邪魔する奴らは今度こそ全員、倒したな」

 

 そう言うと、陸王が苦笑まじりに肩を竦めた。

 あいつの笑い方には、いつもの余裕もあるけど、それ以上に、散々振り回された後のやれやれが混じっている。

 

「そうだね。本来だったら、決勝戦だったのにまた指輪の争奪戦を全部やり直したからね」

 

 言われてみればその通りだ。

 レクスだの厄災だの幹部だの、途中で差し込まれた話の規模がでかすぎて忘れかけていたが、元々は指輪の争奪戦の決着をつける流れだった。そこへ横から世界の終わりみてえなもんがねじ込まれてきて、気付けば地球の真ん中まで潜って戦っていたんだから、我ながらろくでもねえ。

 

 だが、そこで暴神が静かに前へ出た。

 いつも通り、余計な飾り気のない顔で、けれど目だけはまっすぐだ。

 

「私は一向に構わない。だが、今度は負けるつもりはない」

 

 相変わらず、ブレねえ。

 さっきまで地球の奥で厄災を相手にしていたのに、その直後でもう次の勝負の話をしている。だが、嫌いじゃない。むしろこっちまで腹が据わる。

 

 そこで、響が少しだけ戸惑ったように辺りを見回した。

 こういう空気にはまだ慣れきってないのか、拳を握ったまま、でも言いづらそうに口を開く。

 

「えっと、その、やっぱり戦うのは、止められないんですか」

 

 言い方が響らしい。

 否定したいわけじゃない。止めたい気持ちもある。けど、ここまで一緒に戦って、俺たちがその戦いに何を懸けてるかも少しは分かっている。だからただ責めるんじゃなくて、確認するみたいに訊いてくる。

 

 それに答えたのは禽次郎だった。

 軽く笑っているように見えて、その実かなり本気の目をしている。

 

「僕達も、願いの為に戦ったからね。故にこの戦いは避けられないからね」

 

 それは正しい。

 どれだけ命懸けで共闘しても、それで全部が終わるわけじゃない。ここまで来た理由は、結局それぞれの願いだ。邪魔者がいたから一時的に同じ方向を向いただけで、元の勝負が消えるわけじゃない。

 

 角乃がそこで、いかにも面白くなさそうに俺を見た。

 いや、面白くないというより、どうせお前は調子に乗るだろうと言いたげな顔だ。

 

「あんたがやり直したとは言え、今度はあんたから倒されても文句はないわよね」

 

 言われて、思わず口元が上がる。

 いい。

 そういうのだ。

 ここまで地球の奥まで潜って戦っても、帰ってきたらちゃんとこういう空気が残ってる。そのくらいでちょうどいい。

 

「はっ、それはないな。なんだって、俺がナンバーワンだからな」

 

 言い切ると、響が俺の方を見た。

 呆れたような、でも少し笑いそうな顔だ。

 

「吠君」

 

 何だその顔は、と言い返す前に、今度は別の声が割って入った。

 

「さて、指輪争奪戦に関してだが、少しだけ変更点がある」

 

 テガソードだ。

 

 空気が変わる。

 こいつがこういう声を出す時は、ろくでもない話か、とんでもなく面白い話のどっちかだ。大抵、両方だが。

 

「変更点? なんだよ、それは」

 

 訊き返すと、テガソードは少しだけ間を置いた。

 まるで俺の反応を楽しんでるみてえに。

 

「遠野吠、お前は言ったな。『もっと他の奴らを知る為に戦う』と。故に、五人一組によるチーム戦となる」

 

 一瞬、意味が分からなかった。

 

「チーム戦だと!?」

 

 声が裏返る。

 無理もないだろ。

 今までやってきたのは、あくまで個々の願いを賭けた争奪戦だ。そこへいきなりチーム戦なんて単語をぶち込まれて、すぐ呑み込めるわけがない。

 

 だがテガソードは、そんなこっちの驚きを面白がるように、平然と続けた。

 

「オリジナルのスーパー戦隊もまた力を合わせて戦った。故に、今回はチームでナンバーワンを目指して貰う。その先で願いを叶える」

 

 なるほど。

 理屈としては分かる。

 いや、分かるというより、かなりテガソードらしい。これまでの指輪争奪戦が“勝者を決める競争”だったなら、ここからは“誰と組み、どう勝ち上がるか”まで試すわけだ。確かに、スーパー戦隊っていう枠で考えるなら、その方が本筋っぽい。

 

 そして何より――

 

 面白い。

 

 口元が勝手に吊り上がる。

 俺一人で勝つ。

 それだって悪くない。

 けど、誰かと組んで、その上でナンバーワンを目指すって話なら、そりゃまた別の熱さがある。

 

「……ふっ、面白いじゃないかよ」

 

 思わずそう零すと、テガソードの気配が少しだけ揺れた。

 多分、あいつも笑っている。

 

「既にチームは決まっている。やれるか」

 

 やれるか、だと。

 そんなもん、答えは最初から決まってる。

 

 俺は前へ出た。

 疲労はまだ残ってる。全身のあちこちが痛い。地球の真ん中まで潜って戦った直後なんだから、当たり前だ。けど、それでも関係ない。面白そうな勝負が目の前へぶら下がったなら、飛びつかない理由がない。

 

「あぁ、勿論だよ!」

 

 言い切る。

 その声は、自分でも驚くくらいすっきりしていた。

 

 地球の奥で厄災を叩き潰して、ようやく全部終わったかと思ったら、今度はチーム戦。

 まったく、休ませる気がねえ。

 けど、それでいい。

 

 ナンバーワンは、まだ決まってない。

 なら、次も勝つだけだ。

 

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