ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
灰色の髪をした青年は、無言で店内を見回し、三人の人物に気づくと足を止めた。
雪音クリスと月読調は、突如現れた第三の人物に戸惑いを隠せない。特にクリスは警戒心を高め、いつでも戦闘態勢に入れるように身構えた。
青年は黒いコートのポケットに手を入れたまま、ゆっくりと頷いた。しかし彼の目は冷たく鋭く、店内の空気を一瞬にして張り詰めさせた。
「三掛一剣」
青年は名乗った。
「あなたが……暴神竜儀ですね」
暴神は眼鏡のフレームを軽く押し上げながら微笑んだ。
「いかにも。この喫茶店の店主で、テガソード様の僕、暴神竜儀です」
「その自己紹介で良いのかよ」
爆神の自己紹介に、思わずクリスが口を挟むと、調も小さく頷いた。
三掛は一瞬だけクリスと調を見たが、すぐに暴神に視線を戻した。
「今日は……あなたに用があって来ました」
暴神は興味深そうに三掛を見つめた。
「ほう?どのようなご用件でしょうか?テガソード教への入信希望なら歓迎しますよ。ただし厳しい修行が必要ですがね」
三掛は首を横に振った。
「いいえ、そうではなく……」
彼はポケットから右手を取り出すと、掌を見せた。そこには青い光を放つスペード型の紋章が浮かび上がっていた。
「私はユニバース戦士です。そして今日からこの指輪を賭けて戦いを挑みに来ました」
店内の空気が凍りついた。クリスと調は目を見開いて驚愕した。彼らは自分たちが追ってきたユニバース戦士とは異なる存在が出現したことに混乱していた。
暴神の表情が一変した。眼鏡の奥の瞳に冷たい炎が灯った。
「ほう……あなたもユニバース戦士でしたか。しかも指輪を賭けて戦いを挑むと……」
彼は一度咳払いをすると、改まった態度で続けた。
「申し訳ありませんが、現在は仕事中ですので戦いは後ほど。閉店後に場所を設けましょう」
三掛は一瞬躊躇したが、やがて頷いた。
「了解しました。それまではここで待たせていただきます」
「かしこまりました。それでは席にどうぞ。今から営業時間ですのでお客様も増えるでしょう」
暴神は三掛に席を勧めると、再び仕事に戻った。クリスと調は状況を飲み込めずに呆然としていた。
「なんだよ……これ……」
クリスが呟くと、調も混乱した表情で同意した。
「私たちが探していたのは暴神さんで……でも別のユニバース戦士が暴神さんに戦いを挑んで……」
三掛はすでに席に着き、無言で店内を観察していた。彼の表情には揺るぎない自信と冷静さが漂っていた。
暴神はテガソードの形をしたカップを用意しながら、小さな笑みを浮かべた。
「さて……今日も盛況になりそうです。お客様方には最高のテガソード様の里を提供しなければ」
そして彼は突然二人の方を振り返った。
「ところで、お二人はどうされますか?このまま帰られますか?」
クリスと調は顔を見合わせた。彼らにはまだ目的があった。しかし、予想外の展開に二人は困惑していた。
「いや……」
クリスは一歩前に出て宣言した。
「あたしらも残るぜ。この状況を見届けなきゃいけないし……それに」
「それに?」
「ユニバース戦士が、何を考えて戦うのかも知らないとな」
クリスの言葉を聞いて、調も納得して頷いた。
「わかりました。それではお客様として、どうぞごゆっくりお過ごしください」
暴神はそう言って再び厨房へと戻っていった。
クリスは三掛に視線を向けた。
「ちょっと聞きたいんだけど……なんでアンタは指輪争奪戦に参加してるんだ?しかもわざわざこんな店まで来てさ」
三掛は無言でしばらく考え込んだ後、ゆっくりと口を開いた。
「私の目的は……『転生』です」
その言葉にクリスと調は顔を見合わせた。
「転生……?」
調が首をかしげる。
「はい」
三掛は静かに頷いた。
「今の人生と肉体を捨て、新しい自分として生まれ変わることです」
暴神が紅茶を運びながら横目で三人の会話を聞いていた。
彼の表情は少し歪む。
「ちょっと待て」
クリスは眉をひそめた。
「それってどういう意味だ?アンタ何か宗教でもやってんのか?」
三掛は軽く首を振った。
「いいえ。私の思考は純粋な科学的アプローチに基づいています。ただし、私が追い求めている科学技術のレベルは現時点ではオカルトと区別がつかないかもしれませんが」
彼はテーブルの上で両手を組み合わせた。
「私の出自についてお話ししましょう」
三掛は淡々とした口調で続けた。
「私は日本の財務省長官が地方で産み捨てた庶子の一人です。当然のことながら、このような事実が外部に漏れれば重大な不祥事となります。そのため私は僻地の屋敷に軟禁状態で拘束されています」
クリスと調は息を呑んだ。想像を絶する過酷な境遇だ。
「屋敷での生活は厳しいものでした。必要な教養は授けられましたが、同時に反抗心を徹底的に摘み取るような教育も行われました」
三掛の声には抑揚がない。まるで他人事のように語っていた。
「そんな環境から抜け出す唯一の手段が……この指輪の能力でした」
彼は右手を上げてスペードの紋章を見つめた。
「この指輪は『変わり身』を作り出せる。私はこれを活用して外界に出てきたのです。始めて外に出られた時の解放感は今でも忘れられません」
クリスは唇を噛んだ。
「なるほど……でも、それがなんで『転生』に繋がるんだ?」
三掛の目が初めて輝いた。
「私の血は呪われています。父も母も、私にとっては単なるDNAの供給源に過ぎません。彼らから生まれたという事実は、私の自己価値を否定しています」
彼の声は熱を帯びてきた。
「だからこそ私は科学技術に全てを託します。未来の科学は必ず現在のオカルトを超える。超人的な能力を獲得し、脳の意識を新しい肉体に移植することが可能になるでしょう」
三掛の瞳は遠くを見つめていた。
「そうなれば私は自由になれる。忌まわしい過去から解放され、本当に自分がなりたい自分に生まれ変わるんです」
彼の言葉には切実な思いが込められていた。
だが。
「どうやら、すぐにでも行う必要があるようだな」
「っ」
そこには爆神は三掛を睨んでいた。
「お前」
「これは、テガソード様に仕えし者として、倒さなければならない敵だと理解したから」
「それじゃ、始めようか」
それと共に、三掛も、そのまま立ち上がる。
クリスと調は、暴神と三掛が喫茶店を出て行くのを見て慌てて追いかけることにした。
「あいつらどこに行くんだ?」
クリスが呟くと、調も首をかしげた。
「わかりません……でも放っておくわけにはいきませんよね」
二人は店を出ると、急いで二人の後を追った。通りを抜けて路地裏へ入り、坂道を上っていく暴神と三掛の背中を見失わないよう慎重に後をつけた。
辿り着いたのは誰もいない採掘所だった。
かつて鉱物採掘が行われていた場所だが、今は完全に放棄されており、巨大なクレーター状の採掘跡が広がっていた。周りには錆びた鉄骨や壊れた機械が散乱し、寂しさが漂う場所だった。
採掘所の中心で暴神と三掛は向き合った。クリスと調は離れた場所からその様子を見守った。
「ここなら邪魔は入らないでしょう」
暴神は微笑みながら言った。
三掛は無言で頷き、その手にある指輪を構える。
「準備はよろしいですか?」
暴神も自身の指輪を構える。
「もちろん」
「では……始めましょう」
二人の間に緊張が走った。クリスと調は息を潜めて見守った。
「「エンゲージ」」『ゴジュウティラノ!』『ジャッカー!』
それと共に暴神はゴジュウティラノへ。
三掛は、ユニバース戦士の一人であるスペードエースへと変身をする。