ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
三掛は地面に膝をついたまま、動けずにいた。スペードエースの姿はすでに解けており、元の灰色の髪の青年の姿に戻っていた。彼の全身には痛々しい傷が刻まれ、息も絶え絶えだった。
ゴセイレッドからゴジュウティラノの姿に戻った暴神は、静かに三掛の前に立った。その表情は冷酷さから一転して、憐れみと理解に満ちていた。
「終わりだな」
暴神の言葉に三掛は顔を上げた。その目には悔しさと共に、どこか諦めの色が浮かんでいた。
「……わかっています」
遠くから見ていたクリスと調は緊張した面持ちで様子を見守っていた。
暴神はゆっくりと三掛の前にしゃがみ込んだ。
「転生という言葉を使ったな。だがそれは……結局のところ死を選ぶということだ」
その言葉に三掛の眉が僅かに動いた。
「違う……私は死ぬわけじゃない。ただ……」
「新しい肉体と命を得る……というわけか」
暴神は三掛の言葉を引き取った。
「確かに今の私の境遇は耐え難いものです」
三掛は苦しそうに言葉を紡いだ。
「自由もなく、自分の意思も持てない。こんな人生に何の価値があるというのですか?」
「だからこそ」
暴神は静かに言った。
「だからこそ生きるべきではないか?死を選ぶことよりも、生き延びて自分の人生を変えることの方がよっぽど勇気がいる」
三掛は驚いたように暴神を見つめた。
「でも……どうやって……」
「私にはテガソード様がいた」
暴神の表情が柔らかくなった。
「テガソード様は私に生きる意味を与えてくれた。だからこそ私は今ここに立っている。お前も誰かを探せ。お前自身の『テガソード』を」
暴神の言葉は意外だった。これまでの傲慢さや独善的な態度とはかけ離れた言葉だった。
「そんなもの……」
三掛は首を振った。
「私には必要ない。もう何も信じられない」
「それでもいい」
暴神は優しく微笑んだ。
「それでもいい。まずは生きてみろ。死ぬよりはよっぽど面白いことがあるはずだ」
その言葉に三掛の表情が微かに動いた。
「なぜ……あなたがそんなことを……」
「先程も言ったように私も同じだったからだ」
暴神は立ち上がり、夕暮れの空を見上げた。
「私も家から逃げ出したかった。あの頃は死ぬことさえ考えた。だが……今では思う。あの苦しみがあったからこそ、今の私がいる」
暴神の言葉は採掘所に静かに響いた。
「生きることが辛い時もあるだろう。でも死ぬことは終わりだ。生きることこそが始まりなんだ」
三掛は暴神の言葉に何も答えなかった。ただ静かに俯いていた。
クリスと調は言葉もなくその様子を見守っていた。
「俺はお前に勝った。だがそれは単なる勝負であって、お前の人生を否定するものじゃない」
暴神は三掛に手を差し伸べた。
「立て。まだ終わりじゃない」
三掛はその手を見つめた。そしてゆっくりと自分の手を伸ばした。傷だらけの手が暴神の手に触れた瞬間、二人の間に何かが通じ合った気がした。
「……わかった」
三掛は低い声で呟いた。
「私は……まだ死なない。生きる」
その言葉と共に三掛は立ち上がった。その目には以前にはなかった強い光が宿っていた。
暴神は満足そうに頷いた。
「それでいい」
そして彼はクリスと調の方を振り向いた。
「さて……お二方もご覧になった通り、指輪争奪戦は終わった。私は勝者として指輪を維持する権利を得た」
クリスは一歩前に出た。
「ああ……見たぜ。アンタの戦いと……言葉もな」
彼女は頭を掻きながら続ける。
「正直言うと最初は驚いた。テガソードとか言うのが出てきたときも、喫茶店の主人がユニバース戦士だってのも。でも……」
クリスは暴神をじっと見つめた。
「アンタの言うことも一理ある。死ぬより生きる方が難しいこともあるさ」
調も小さく頷いた。
「私たちも……まだ探し続けます。答えを」
暴神は二人に微笑みかけた。
「それでいい。それこそが生きるということだ」
夕日が採掘所を赤く染め始めた頃、四人の頭上から声が降ってきた。
「そして、お二人共、分かっていると思うが、私は『暴神竜儀』こっ…この声は!」
声の主を探すと、そこには全員が驚愕する存在が浮かんでいた。
「テガソード様!!」「「なっ」」
その剣型の光の存在は四人を見下ろしていた。
暴神は即座に跪き、他の三人も思わず敬意を表する姿勢を取った。
テガソードは四人を見渡し、特に雪音クリスと月読調に視線を留めた。
「彼女達は敵ではない。そして、彼女達が守ろうとするのはこの世界」
その言葉は静かだが重みがあり、暴神の胸に直接響いた。
「はっ!」
暴神は喜びと使命感が混ざった声で答えた。長年の孤独な戦いから解放される瞬間だった。
「彼女達の力は世界を守る上で必要不可欠なものだ」
テガソードの声は続ける。
「だが彼女達だけでは足りない。お前たちの力が必要なのだ」
クリスは口を開こうとしたが言葉が出てこない。突然の出来事に混乱していた。月読調も同様で、目を大きく開けて驚いている。
暴神は立ち上がると、テガソードに向けて尋ねた。
「テガソード様、私たちはこれからどうすればよいのでしょうか?」
テガソードは静かに答えた。
「故に暴神竜儀よ、彼女達と共に世界を守れ。
まずは彼女達との関係を深めることだ。理解し合い、協力するためには時間がかかる」
「わかりました」
暴神はしっかりと頷いた。
「テガソード、なぜユニバース戦士は指輪争奪戦を行う必要があるんだ?」
そして、クリスが思い切って問いかけた。その疑問は彼女だけでなく、調も気になっていた。
テガソードは一瞬沈黙した後、静かに答えた。
「すまない。その問いに今すぐ答えることはできない」
三人は驚いた顔でテガソードを見上げた。
「しかし」
テガソードは続けた。
「その先に進むことで自ずと明らかになるだろう。今はそれだけで十分だ」
「そんな……」
クリスが不満げに呟く。
「今はその時ではないのだ」
テガソードの姿が徐々に薄れ始めた。
「テガソード様!」
暴神が呼びかけるが、テガソードはすでに半透明になりつつあった。
「さらばだ、運命は既に動き始めている」
そう言い残し、テガソードは夕暮れの空へ溶け込むように消えていった。
採掘所に再び静寂が訪れた。
「消えた……」
クリスが呟いた。
「なんだよ……アイツ……」
彼女は頭を掻きながら混乱を隠せない様子だった。
暴神は深呼吸をして落ち着きを取り戻すと、三人の方を振り向いた。
「テガソード様の言葉である以上、協力はしなければなりませんな」
そうしながら、暴神は呟く。
「・・・まさか、戦いの元凶というべき存在から助けられたけど」
「テガソードはテガソードで、本当に何者なんだ」
「まぁ、そのうちわかるだろう」
暴神は肩をすくめた。
「テガソード様の言うことを信じるしかない。少なくとも今は」
その言葉にクリスと調も頷いた。
「わかった」
クリスは渋々と同意した。