ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦 作:ボルメテウスさん
「ガリュード……!」
角乃の声は怒りと警戒心に満ちていた。その姿を初めて目にしたマリアでさえも、彼の纏う尋常ならざる雰囲気に息を呑む。
「やあやあ、元気そうだね」
ガリュードはテガジューンを軽く肩に担ぎながら、ゆっくりと双子の前に歩み出た。その無造作な動きが逆に不気味さを増幅させる。
「何が目的?あんたが無償で人助けをするようなタマじゃないことくらい、よく知ってる」
両手のディーマグナムを微塵も動かさないまま問い詰めた。その銃口はガリュードの頭部にピタリと照準を合わせている。一触即発の緊張感が張り詰めた。
「目的?まあ、強いて言うなら……退屈しのぎ、かな?」
ガリュードはくくっと喉を鳴らして嗤う。その声は低く歪み、どこか機械的でもあった。
「それに、この子達がここで死んじゃったらつまらないだろう?せっかくの舞台を用意したのに、僕としても惜しいからね」
彼は視線だけを陰夢と瑚陽に流した。
まるで品定めでもするかのように冷たく光る。双子は無言で俯いているが、その肩は微かに震えていた。
「舞台……?ふざけるな!あんたの遊びに付き合っている暇はない!」
「遊びじゃないさ。これはれっきとした指輪争奪戦だ。違うかい?」
ガリュードの口元が嘲笑の形に歪む。
「それに……ほら見てごらん?彼女たちの必死な顔を。目的の為なら手段を選ばないその瞳……実に美しいと思わないか?」
彼の言葉に、角乃はゾッとした。過去に自分が必死に妹を捜索していた頃の姿を重ねてしまったのだ。目的の為なら手段を選ばず、周りを顧みないその狂気に満ちた目を。
「お前……!」
「怒るなよ。僕はただ、この物語を面白いものにしたいだけさ。主人公がいない物語なんてクソつまらないだろう?」
彼の声色は愉しげに跳ねる。しかし、その真意は読めない。まるで深い闇の底を覗き込んでいるような不安感が角乃を襲う。
(こいつの目的はなんだ?陰夢と瑚陽は?なぜ今ここに現れた?)
思考が錯綜する。ガリュードの登場によって戦況は一気に覆された。
この得体の知れない存在を相手にするには分が悪すぎる。
「さてと」
ガリュードはふと真顔に戻り、テガジューンを構え直した。
「おしゃべりはここまでだ。そろそろ続きを始めようか」
その瞬間、彼の纏う空気が変わった。冗談めかした雰囲気は消え失せ、殺気にも似た冷たいものが辺りを支配する。
陰夢と瑚陽も覚悟を決めたのか、それぞれの武器を構え直した。ガリュードが加わったことで状況は圧倒的に不利だ。だが、ここで引くわけにはいかない。
「角乃……!」
背後でマリアが叫ぶ声が聞こえた。
角乃は一度深く息を吸い込み、決意を固めた。
「……上等だ。あんたのその遊び、付き合ってやる」
ディーマグナムのトリガーに指をかける。彼女の全身に再び戦意が満ちていく。
ガリュードの不気味な笑みが深まる。戦いの幕が再び上がろうとしていた。
角乃は、先程と同じようにディーマグナム01とディーマグナム02を構える。それは、ガリュードに向けての牽制だった。
ディーマグナムのトリガーに指をかける。彼女の全身に再び戦意が満ちていく。
ガリュードの不気味な笑みが深まる。戦いの幕が再び上がろうとしていた。
「その覚悟、気に入ったよ。さあ、楽しませてもらおうか」
ガリュードの指がテガジューンのトリガーにかかる。銃口から不気味な紫色の光が漏れ出した。それは尋常ではないエネルギーを孕んでいるように見えた。
陰夢と瑚陽もまた、その気配に呼応するかのように武器を構え直す。彼女たちの瞳には揺るがない決意が宿っていた。まるで、この男の庇護下にあるかのように。
「いくよ」
ガリュードの囁きと共に、テガジューンから放たれた紫電が空間を引き裂いた。そして、双子もまた一斉に動き出す。まるでガリュードの指揮のもと、完璧なタイミングで攻め込んでくる指揮者のオーケストラのようだった。
角乃はディーマグナムの銃口をガリュードに向けたまま、双子の動きにも意識を集中させる。二つの敵を同時に相手にしなければならない状況は、圧倒的に不利だ。
しかし、彼女は退かない。退けない理由がそこにはあった。
(このままじゃ……!)
焦燥感が胸を焦がす。かつて感じたことのないプレッシャーが彼女を押し潰そうとしていた。だが、ここで折れるわけにはいかない。
(私は……負けられない!)
角乃は歯を食いしばり、ディーマグナムのトリガーを引いた。青白い光弾がガリュード目掛けて飛翔する。
だが――。
「遅い」
ガリュードの嘲笑と共に、彼のテガジューンから放たれた紫電が光弾を飲み込み、そのまま角乃に迫る。その速度は先程の比ではなかった。
「っ!!」
咄嗟に身を捻り回避しようとするが間に合わない。装甲の一部が紫電に灼かれ、火花が散った。激痛が全身を駆け巡る。
「ぐっ……!」
膝をつきそうになるのを必死で堪える。視界の端では、陰夢と瑚陽が息の合った動きで攻撃を仕掛けようとしているのが見えた。
「姉さん!」
「ええ!」
二人の声が重なる。
(さっきの戦いの時にも、苦戦したけど、それに加えてガリュードがいるから余計にやりにくいっ!正直っ私だけじゃ確実にっ)
「考え事をしている余裕があるのかな!」
「しまっ」
ガリュードの声が耳に届いた瞬間、角乃の身体は吹き飛ばされていた。
テガジューンの銃底で強烈な一撃を叩き込まれたのだ。
背中から壁に激突し、肺から空気が全て絞り出されるような衝撃が走る。
視界がチカチカと明滅し、意識が遠のきかける。
「っぐ……!」
呻き声を上げながらも、角乃は必死に意識を保とうとする。ここで倒れるわけにはいかない。
「角乃!」
マリアが叫ぶ声が遠くに聞こえる。その声は焦燥と恐怖に彩られていた。
「まだ立てるとは……意外と頑丈だね」
ガリュードがゆっくりと歩み寄ってくる。その足取りには余裕が滲んでいた。
陰夢と瑚陽もまた、警戒しながらもガリュードの動きに呼応するように位置取りを変えている。
完全に包囲されている。
(まずい……このままじゃ……!)
角乃の額を冷や汗が伝う。彼女一人でこの三人を相手にするのは不可能に近い。
だが、諦めるわけにはいかなかった。
(何か……何か手はないか……!)
必死に思考を巡らせる。
しかし、ガリュードの動きは容赦なく次の攻撃を仕掛けてくる。
「さあ、どうする?このまま終わるのかい?」
ガリュードのテガジューンが再び光を放つ。
絶望的な状況。
しかし――。
「させないっ」
その攻撃を遮ったのは、シンフォギアを身に纏ったマリア。
「あなたっなんで」
それに対しての、マリアの答えは。
「・・・気持ちが分かるからよ、あなたの」