ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVS戦姫絶唱シンフォギア ユニバース大戦   作:ボルメテウスさん

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信仰対象は変わり

「…………」

 

「…………」

 

駅前の雑踏の中、俺と月読調は並んで歩いていた。互いに言葉を交わすことなく、ただひたすらに足を進める。空気は最悪だ。重く澱んでいる。

 

何を話せばいいんだよ。

 

そう考えてしまう。

 

これまで、S.O.N.G.の奴らと共闘した事は何度かあった。

 

その誰もが多少は会った事はあった。

 

けれど、隣に歩いている彼女の事は、俺は知らない。全くと言っていいほど。

 

いや、正確には顔ぐらいならどこかで見たことがあるかもしれない程度だ。

 

名前だって今日初めて知った。

 

S.O.N.G.の一員らしい。

 

だけど、それ以外の情報は何もない。

 

月読調本人もまた同じなのだろう。

 

ちらりと横顔を盗み見る。表情からは何も読み取れない。

 

まるで感情が抜け落ちた人形のようだ。

 

それにしてもだ、手がかりが少なすぎる。

 

唯一の情報源といえば、あのいけ好かない男が言うところの『テガソードの里』くらいだ。

 

そこに向かったとしても、果たして本当に目的の奴がいるのかどうか。

 

「……あの」

 

不意に、月読調が口を開いた。

 

その声は小さくて、喧騒に掻き消されそうだ。

 

「何だ……?」

 

思わずぶっきらぼうに返してしまう。

 

こういう時、もっと気の利いた言葉が出てこない自分に腹が立つ。

 

「いえ……何も」

 

「・・・そうか」

 

彼女はそれっきりまた黙ってしまった。

 

なんだよ。気になるじゃねえか。

 

聞き返そうにも、どう切り出せばいいのか分からず、再び沈黙が訪れる。

 

まったく、やってられん。

 

そんな事を考えながらも、俺たちはひたすら街を歩き続けた。

 

もうすぐ夕暮れだ。そろそろ日が傾いてくる頃合いだろうか。

 

さすがに今日は収穫なしか……そう思った矢先だった。

 

ドォォォン!ギャリギャリギャリ!!!

 

地鳴りのような轟音と金属を引き裂くような甲高い音が耳を劈いた。

 

振り返ると、少し離れた広場の方角から黒煙が上がっているのが見える。

 

そして、尋常じゃないほどの怒号と歓声。

 

なんだ?事故でもあったのか?

 

「……あれって……」

 

月読が呟きながら視線を向けている方向。

 

そこでは、明らかに普通ではないイベントが行われていた。

 

ステージ上には数人の男女。全員が奇抜な髪型と服装をしていて、それぞれギターやベース、ドラムをかき鳴らしている。派手な照明が激しく飛び交い、観客たちは文字通り「熱狂」していた。飛び跳ね、叫び、何かを叩き壊さんばかりの勢いで手を上げている。

 

ヘビーメタルバンドのライブか?

 

生憎だが、俺はこういう類の音楽は嫌いだ。

 

耳が痛くなるし、何を言っているのかさっぱり分からん。

 

ましてやこんな街中でやるなんて、近所迷惑もいいところだろうが。

 

だが、問題はそこではなかった。

 

そのステージを取り囲む観客の中に、見覚えのある後ろ姿があったのだ。

 

短く刈り込まれた金髪。肩パッドが強調された、どこか時代錯誤な革ジャン。

 

あれは……まさか。

 

「おい……あれ……」

 

俺の声に反応して、月読もそちらに目を向けた。

 

その瞬間、彼女の目が大きく見開かれたのが分かった。

 

間違いない。

 

「暴神竜儀……!」

 

かつてテガソードを崇拝し、己の全てを捧げていたはずのあの男が、今やヘビメタルバンドの熱狂的なファンとなって踊り狂っていた。首にかけた銀色のロザリオのようなアクセサリーはそのままなのに、周囲の喧噪の中で一心不乱に拳を突き上げている。

 

俺たちはしばらく呆然と立ち尽くした。

 

嘘だろ……?アイツがあんな風に……。

 

「一体、何が起きているだ」

 

「私にも、その何がなんだか」

 

「そう、だよな」

 

俺も月読も同じ

 

目の前の光景が信じられなかった。

 

あの冷静沈着だったはずの男が……?

 

しかも、よりによってヘビメタバンドのライブなんかで?

 

「くっ……」

 

思わず舌打ちしてしまう。

 

あんな所に現れるなんて予想外過ぎる。

 

いや待てよ。ということはつまり……

 

あのバンドの連中もただの人間じゃない可能性が高いってことじゃないか?

 

チッ、これだから考えることが嫌になる。

 

とにかく今はアイツを連れ戻さないと。

 

「行くぞ」

 

「はい」

 

俺たちは人混みをかき分けながらステージへと近づいていった。

 

近づけば近づくほど、音量は増していく。

 

耳がキーンと痛む。

 

こりゃ確かに頭がおかしくなりそうだぜ。

 

ステージ上のボーカルは、赤い髪を逆立てた男。全身黒で統一されたパンクロッカーみたいな格好でマイクスタンドに寄りかかりながらシャウトしまくっている。

 

それが突然、こちらを指差した。

 

「おーっとぉ!?なんだぁ!?新しいお客さんかァ!?」

 

男の声に合わせて観客たちが歓声をあげる。

 

勘弁してくれよ。そういうんじゃないから。

 

「ちょっと聞きてぇ事があるんだがな」

 

俺はなるべく平静を装って前に出た。

 

するとボーカルの男―――よく見ると額に小さな角のようなものが付いている―――はニヤリと笑い、マイクを握りしめたまま言った。

 

「ハッ!なんだと!?この死悪夜鬼様の素晴らしい曲を聴きに来たんじゃないのか!?」

 

「……面倒臭い」

 

「・・・興味ねぇよ、おいさっさと行くぞ」

 

正直、暴神の奴を連れて帰りたかったが、こんな所に長居はしたくない。

 

それは、月読も同じでうんざりといった感じだ。

 

「俺様の歌を聴けない男は殺す!女は○す!エンゲージ!」

 

その男――死悪夜鬼の言葉に、広場の熱狂は一瞬にして静まり返った。

 

そして、その異様な宣言と同時に、奴は腰に下げていたセンタイリングを掲げる。

 

「なっ……!?」

「っ……!」

 

吠と調が息を飲む間もなく、死悪夜鬼はそのリングを躊躇なく自身の前に突き出した銀色のテガソードへと装填した。

 

『アバレンジャー!』

 

声が高らかに響き渡る。

 

死悪夜鬼の身体を包み込んだ。

 

光が弾けると。

 

「アバレッド参上!いやはあぁぁぁぁ!!!!」

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