不死学園の人間種   作:龍川芥/タツガワアクタ

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序文

 『悪魔』。

 それは何度殺そうとも蘇る、神の(ことわり)を冒涜せし不滅の神敵にして全世界共通の絶対悪。

 そんな悪魔との戦いに人類が疲弊した現代において……長い歴史の中、これまで世に溢れる人間種たちから忌避・排斥・弾圧され続けてきた少数の『不死』たちは、自らの価値を示すが如く人間種に代わって戦場に立つことを選んだ。

 老いず、病まず、飢えず、傷つかない。

 そんな不死こそが真の英雄と叫ばれる時代の裏には、かの学園の存在があった。

 

 

 

 西大陸、アトラ湾から沖に1300海里。

 ベムダの海域の生ける嵐、轟雷鳥の死を運ぶ群れ、渦潮と海竜の巣を抜けた先。

 世界の果ての更に果て、波風も啼く絶海の孤島に、かの学園は存在する。

 

 ――界立モルターリブス不死学園。

 そこでは、世界中から集まった『不死』の生徒たちが、悪魔に抗する世界の護り手となるため日々研鑽に励むのだというが……学園設立から200年が経過した今も、その真相は謎に包まれている。

 

 曰く。その学園は全世界の支援を受けて完成した、世界最大の学び舎である。

 曰く。学園では不死の著名な学者や英雄が教壇に立ち、千年先まで彼等に学ぶことができる。

 曰く。不死でさえ一生達成できぬ程に卒業は至難だが、卒業生は必ず歴史に名を残す。

 無数の噂話の中、ただひとつだけ確かなことは……そこは不滅の神敵を討つための『不死の人材』を育成する、不死の不死による不死のための学園であること。

 そんな不死学園への入学資格はただひとつ――即ち、『不死』であることのみ。

 

 そんな、不死しか入学を許されぬ学園における、最も在学数が少ない種族。

 『人間種』。

 強力な種族的特性も無限の寿命も持たない、世に溢れる定命の種……そんな本来不死ではないはずの人間種でありながら、学園への入学を果たした生徒が史上4人居た。

 

 彼等はなぜ不死学園に入学したのか。

 そしてそこで何を為し、目指すのか。

 

 

 それは、世の第三法則、時間に指を掛ける第1期生。

 永劫を謳い久遠を生き、刹那を騙りて瞬時に滅す、そんな少女のごくありふれた日常譚。

 

 それは、世の第四法則、因果を歪められし第13期生。

 二つの国の滅亡、その百万の屍唯一の生き残りとなった、呪われし者の悲劇譚。

 

 それは、世の第五法則、死の超克を成した第14期生。

 禁忌を求め続け、そして禁忌を成し遂げ続ける天才による、永遠に秘されし研究譚。

 

 それは、世の第一法則、言葉さえ打ち破る第16期新入生。

 ただの少年のままに真なる最強に勝利する、偽物の最強による世界最新の英雄譚。

 

 

 

 不死こそが真の英雄と叫ばれる現代。

 これはそんな時代に生まれた、4人の人間種にして不死学園生徒たちの物語である。

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