林檎と青い青春を   作:時計台のカワウソ丸

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遅れました。お納めください。



にんにくえあ様、毎度誤字報告ありがとうございます。いつも助かってます。


九億円の借金

結論から言うと作戦は大成功だった。

ヘルメット団の補給所、アジト、弾薬庫を破壊に成功した。

これでヘルメット団は当分の間はこちらに攻撃を仕掛けられないだろう。

……正直、使える口径の弾薬を拝借できるだけ拝借したあと、豪快に弾薬庫を爆破した時はすごくもったいないと思ってしまった。やけに先生の「汚い花火だ」が耳に残ってる。

そんなこんなで、私たちは学校に帰ってきてた。

教室のドアを開けるとアヤネさんが出迎えてくれた。

 

彼女らも流石の連戦で肉体的にも精神的にも疲労したのか、愛銃を壁や机に置き、皆が一人残らず椅子にへたり込む。

平気そうなのはシロコさんぐらいで。相変わらずノノミさんも微笑を浮かべているが、少しだけ気怠そうな雰囲気が漂っている。 

先生も長時間の指揮で疲れたのであろう、空いているパイプ椅子を二つ展開して、一つは自分が座り、もう一つは私に座るようにと手で叩いて促してきた。

別に断る理由もないから私がそこに座ると

 

作戦が終わって気の緩みだろうか、セリカさんが自分らにとっての爆弾を言ってしまった。

 

「よーし、面倒なことも終わったし、借金返済に集中できる! ありがとう先生。この恩は一生忘れないから!」 

 

……借金?

先生も私と同じことを思ったのか、ストレートにそう問いかけた。

 

「ん? 借金って?」   

「えっと、それは」

「ま、待って! アヤネちゃん、それ以上は!!」

  

それに迷いながらも口を開こうとするアヤネさんをセリカさんは机に手をついてそれを止めた。けれど机に肘を立て、それを傍観していたホシノさんが、

 

「んーいいんじゃないセリカちゃん、隠すようなことじゃあるまいし」  

「け、けど、わざわざ話すようなことでもないでしょ!」 

「確かに先生がぱぱっと解決してくれる問題じゃないけどさ、この問題にわざわざ耳を傾けてくれる人は、この2人しかいないじゃーん? とりあえず話してみよ、何か解決方法が見つかるかもよ?」

「う、うぅ……け、けどずっと私達だけどうにかしてきたじゃん! なのに今さら大人が首を突っ込むなんて……!」

 

パラノイア、と言うのだろうか。自分以外が自分に害意を持っていると思う事だ。彼女の場合は対策委員会以外の人が敵に見えるのだろう。

 

今まで無視してきた大人が、いきなり「助けてあげる」と言いながらズカズカと無遠慮に自分達の領土に入ってきても信頼はできない。けど、

 

「セリカさん……一度でいいんです。先生と私を信じてくれませんか?」

 

頼って、少しでも信頼してもらわないと私や先生ですら彼女を助けるその土俵にすら立てない。

 

「……アンタも大人も認めないからッ!」 

 

けど彼女は、愛銃を手に取り、目に涙を滲ませ、教室を走り去ってしまった。

 

「セリカちゃん!?」

「私、様子を見てきます」 

 

アヤネさんの呼び掛けにも、その足は止まらなかった。

 

ノノミさんは先輩として、迷うことなく大切な後輩の後を追いかける。沈黙が支配する部室内で、ホシノさんが口を開いた。

 

「……えっと、結構ありふれた話だけどさ、この学校借金があるんだよね。問題は金額で、大体九億円くらいかなー」

 

九億円か……それは……中々の借金額だ。

大体裏路地の会社員が生涯稼げるお金が二億眼だと言われてる。眼と円とレートは分からないけど、そこまで離れてるものでもないだろう。翼の職員、オフィサーだった私の給料だって――え、九億円!?

 

「――きゅ、九億円もあるんですか!?」

「えっと……それは本当?」

「残念ながら、これが本当なんだよね〜」

「……正確には九億六千二百三十五万円、です」

 

四捨五入したら十億円だ。

……そんなお金を5人の学生が返すなんて無理がある。

 

「コレが、アビドス――いえ私達、対策委員会が返済しなきゃいけない金額です」

「返済できないと、学校が銀行の手に渡って廃校になっちゃうんだー。だけど完済できる確率が低すぎるから、ほとんどの生徒が諦めちゃってさっちゃったらしいんだ〜」

 

無理もない。億単位の借金、ましてやそれが高校生のに降りかかる借金なんて……多分、私は見限ってしまう。私の隣にいる人は違うのだろうけど。

先生は皆さんに借金の理由を聞いた。それによると、

 

事の発端は数十年前、この学区の郊外の砂漠で砂嵐が起きた。この地域では以前から砂嵐が起きていたが、その時の砂嵐は想像を絶する規模の砂嵐で、

学区の至るところが砂に埋もれ、砂嵐が去ってからも、砂が溜まり続けてしまい、その自然災害をどうにかするためにアビドス高等学校は多額の資金を投入せざるを得なかったが、片田舎の学園に巨額の融資をしてくれる銀行は中々見つからなかったようだ。 

 

と、ここまで説明し、アヤネさんは続く言葉を中々言えなかったらしく、それを引き継ぐかのようにシロコさんが口を開く。

 

「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」 

「……はい。最初のうちは、すぐに返済できる算段だったと思います。しかし砂嵐はその後も、毎年更に巨大な規模で発生し……学校の努力も虚しく、学区の状況は手が付けられない程悪化の一途をたどりました。そして遂にアビドスの半分以上が砂漠に呑まれ、借金はみるみる膨れ上がっていきました」

「借金が減ったとはいえ、私達の力だけでは毎月の利息を返済するだけで精一杯でさー。弾薬も補給品も、底をついちゃってるんだよねー」

「セリカがあそこまで神経質になっているのは、これまで誰もこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは先生、あなたが初めて」

「……まぁ、そういうつまんない話だよ」

 

そう、ホシノさんが話を締めくくった。それにより部室内のメンバーの視線は先生と私に集まる。

 

「……先生、どうしますか……先生?」

 

先生が何も喋らず、どうしたのかなと後ろを振り向くとそこにはそっと目頭を押さえ、涙を目に浮かべている先生が立っていた。

 

「あっえっと、先生、ハンカチいりますか?」

「……ごめんもらう」

 

ポケットから取り出したハンカチを渡すと涙をふき取って、多分言うことは。

 

「みんなの事、私に助けさせてもらえる?」




コレがテスト前ラストの投稿です。大会でやらかしたり、インフルにかかったり、テスト前確認テストで数学一桁取りましたが私は元気です。
誰か助けて。   


評価と感想を投げつけると私が元気に絶望に挑めます。
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