林檎と青い青春を   作:時計台のカワウソ丸

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砂糖の家様、 ぬー.えぬ.おーえん様、namikazemoko様、誤字報告ありがとうごさいます。

遅れました、すっごい遅れました。本当にすみません。一ヶ月強ほど持たせてしまいました。こんなに遅れた理由はですね、活動報告でも言った通り、単純に忙しかったのと、祖父の危篤(今は快調に向かっている)のせいで、どうしても書けませんでした。

………………決してアークナイツを初めてみて楽しすぎて書けなかったわけではないんですよ? 本当ですとも、ええっ。

亀よりも遅い執筆速度ですが、それでもお付き合いしてもらえたら光栄です。


異変

 

彼ら彼女らを見送り、ドンブリに向き直る。

 

深く、透き通るようなスープ、二十三区の裏路地の人肉、それとは明らかに違う、ただただ普通の醤油の匂いが食欲を誘う。

リウ協会六課だったらしい同僚が話してた行きつけのお店もこんな感じなのだろうか? 旧L社時代も、フィクサー時代も近くにそう言うお店はなく、あったのはハムハムパンパンとチキン屋、ラーメンを出す定食屋もあるにはあったけど、インスタントラーメンをそのまま出す店くらいだったし、詳しくはわからないけれど。

 

「……いただきます」

 

手を合わせ、割り箸を割る。

 

旧L社時代、同僚に教えてもらったのはいいけれど、まだ練習が足りなくて持ち方やら何やらが多少不格好になってしまう。

それでも目の前の麺を捉えるのには十分、だとは思う。

 

「――とっ」

 

麺がツルツルと滑って、、何回か取り落としてしまうけれど、何とか掴んで口に放り込む。

  

「……――!」

 

純粋な旨みが舌を、味蕾を殴ってくる。

手が止まらなくなるとはこのことだろうか。 

 

チャーシューを口に入れてみれば、厚切りで切られたのに、脂が、肉が舌で溶けていく。

 

「……あっ、」

 

いつの間にか、ドンブリの中身は汁しかなくなったでいた。

 

「ははっ、そんなに美味そうに食ってもらえるとこっちも嬉しいな?」

「ほんと、いい食べっぷりね?」

 

いつの間にかそばに立っていた大将とセリカさんに少し驚きつつも会釈とおいしかったことと感謝を伝えると、照れくさそうに後頭部を掻いて「いいって、いいって、また食べてきてくれよ」

と言って彼はセリカさんを残して厨房に戻っていった。

 

「……ところでみんな、お金は大丈夫なの? もしかしてまたノノミ先輩に奢ってもらうつもり?」

「ふふ、私はそれでも大丈夫ですよ? 限度額までまだ余裕がありますし」

 

ノノミさんはあっけらかんとそう言い放ち、懐からカードを取り出した。

実家が太いのだろうか、驚異のブラックカードである。

けれど、それをホシノさんは手で制した後、

 

「いやー、ここはさ、気前よく大人が払うべきだよねー、ねぇ、先生?」

「えっ、私ぃ!?」

 

突然の飛び火である。

 

「先生、その懐にある大人のカードはお飾り? 今ここが出番じゃなーい?」

「うぐ、な、なんでそれを……」

「……んっ、大人のカードを使うような場所じゃないけれど……ホシノ先輩、最初からこのつもりだった?」

 

冷や汗を垂らしながら先生は、

 

「ちょ、ちょっとそれ私聞いてないんだけど〜」

「初めて言ったからねー」

 

先生の目線は出口に向かう。多分。どう逃げるか考えてるのだろう。けれど、

 

「まさか先生? 逃げようだなんておもってないよね〜」

「うくっ、」

 

……その目論みはホシノさんに察知され釘を刺された。

少し、先生がいたたまれなくなった。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「まぁ……うん、なんとかなる。多分!」

「えっと……私も払いましょうか?」

「えっ? いやいいよ――あっどうせならユーリのも払っとくね?」

「えっ? ですけどせんせっ」

「――大丈夫、大丈夫だから、もう4人もいるんだし一人増えたところで……ね? ――それじゃあ会計してくるね!」

 

……押し切られてしまった。セリカさんの前で財布を開く先生に、トコトコとノノミさんに近づいて、何かを囁き、黒い板状の渡してるのがチラッと見えたけれど、すぐにそれを突き返して、

そして――そそくさとお会計を済ましてた。

 

その時の表情は……言わなくてもいいだろう。

 

「いやぁー! ゴチでしたー、先生!」

 

そういうホシノさんの言葉を皮切りに、次々お礼を言われるのを返し、小さく、薄く、溜息をついた。

 

「……先生、」

「……ま、まぁ、みんなの笑顔が見えただけでプライスレスだかっ」

「早く出ていって! 二度と来ないで仕事の邪魔だからっ!」

 

先生のその先の言葉は、セリカさんの声でかき消された。

 

「あははっ……またねセリカちゃん」

「みんな嫌い! 死んじゃえっ!」

「うーん、元気そうで何よりだね〜」 

 

セリカさんの言葉をホシノさんは飄々と受け流す

……まぁ、あれぐらいの悪態は許されて然るべき、なんだろうか?

 

 

 

 

 

 

私たちはあの後、特に出来事もなく、アビドス高校に帰ることができた。時は夜の11時、シッテムの箱を通じて取り出した仕事を先生と一緒にある程度終わらせ、

微睡みに沈もうとした時だ。

 

「……足音?」

「ん? どしたの、ユーリ?」

「あっ、いえ、なんでもありません」

 

深夜で音が少ないせいか、やけに遠くの足音が反響する。まあ、関係ないと思い、再び目を閉じる、が、

近づく足音、一応ないと思うが武器の場所を目で確認する。先生も足音を聞き取ったようで、体を起こしていた。

 

トントンと二回ノック音、間髪入れずに

 

「――せんせーちょっといい?」

 

ホシノさんの声、間延びした声なのに何処か焦ってる。そんな感じがした。




次は1週間以内には出せるといいなー……なんとかだしたい。結構マジで。
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