林檎と青い青春を   作:時計台のカワウソ丸

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……その、お、遅れましたぁっ! 
誰だよ1週間以内に出すといったバカは。

……弁解させて頂くとですね。その、進級して新学年始まってバタバタしてたのもあるし部活が地獄とかしていたのもあるし、けれど一番の要因は今一やる気がでなかったというかぁ……。
あっ、やめて、石投げないで! 許して!

と、いうか、この約一ヶ月、毎日何人かは読んでくださるのほんと作者冥利に尽きますわ〜……。本当にありがとうございます。
では、どうぞ


奇襲

 

 

セリカさんが連れてかれたであろう場所は途中までは特定できた。が、肝心のセリカを乗せた何かが見つからなかった。

 

砂漠化が進んでるといえど元は街、倒壊した家やビルが視界を遮って遠くまで見えなかったのだ。

時間だけを浪費して気づけば地平線の端の方が明るくなっている。明るくなることで多少は見通しが良くなるだろうけれど時間が経ちすぎている。

……まずい、情報は刺身と一緒で素早く食べれば至高の味だけど。少しでも時間が経つと鮮度が落ちて乾き、腐り、使い物にならなくなってしまう。って、どこかで聞いた言葉が頭を過った。

 

「……手分けして探そうか、私とアヤネちゃん、それとユーリは私と同行して」

 

と、先生も焦りの色を隠せてない声音でそう言う。

 

「……いえ、先生。私も一人で行けます」

「えっ、けどユーリ、君は、あー……流れ弾でも死んじゃうんだよ? 危ないよ」

 

先生の言うことはご尤もだ。だけど、

 

「……ですけど、私だって皆さんの役に立ちたいんです。……だめですか?」

 

このままじゃ、私の居場所はない。先生の優しさに、皆さんの優しさに甘えるのは嫌だ。

 

「……危ないと思ったらすぐに逃げてね。ユーリはそのままで大丈夫だから」

 

どうしてか、ほんの少しだけ悲しそうな顔をしたあとに瞬時に

 

「それじゃあ、アヤネちゃんは私といっしょにサポートして、ノノミは九時、シロコは十二時、ユーリは三時の方向お願いっ」

 

アビドス高校を背にして、先生は皆さんに指示を出して言った、

 

「じゃ、各自散開! 安全第一でね! ユーリは特に!」

 

号令を聞いて駆け出す。

左側を見ると韋駄天が如く、砂埃を立てながら小さくなるシロコさんの姿が。……キヴォトス人はみんなあれなんだろうか。これで強化施術なしなんだからほんとすごい話。身体能力があまりにも高すぎる。

 

気を取り直し、走る走る走る。 

 

――見えた。

 

退廃した街並みの砂漠の街、それをかき分ける銀色の箱。車体。ご丁寧にカタカタヘルメット団とデカデカとペイントされている。おそらく、というかセリカさんを乗せたとおぼしきトラックだ。まぁ、間違ってても最悪搭乗員を脅せばいいだろう。

すぐにスマホを取り出し先生電話を掛ける。瞬間、ワンコールで先生が出た。

 

『どうしたユーリ?』

「先生っ、トラックを見つけました!」

「ほんとっ!? ど、どこ? すぐ行く。ユーリは隠れてて!」

 

倒れた建物の陰から顔を出し、トラックを盗み見る。砂嵐を巻き起こしながら猛スピードで移動するトラック、おそらく、というかほぼほぼ先生がここに来る頃には見えなくなっている。足跡から追尾しようにも砂漠だからすぐに消えてしまうだろう。

――一つの馬鹿げた決心。されど、今は。

 

「……ユーリ?」

「先生、私の携帯から経度を読み取ってください。私は、少し止めてきます」

「えっ、とめ? 待ってユーリ止めるってな、」

「すみませんっ」 

 

私だって、何か恩返しがしたい。仲間の一人として認められたい。居場所を手に入れたい。電話を切り、瞬時に再度電話がかかってくるのを横目に通知を消し、ポケットに突っ込む。

幸い、すぐに走れば回れ込めそうだ。背に背負った剣を腰に差してすぐに駆け出した。

 

駆け出しながらどうやってトラックを止めるか、

 

真っ向から立ち向かうか。

否、そんな力もない私はただ吹き飛ばされるのがオチだろう。普通に死ねる。

 

並走してタイヤを切り裂くか。

否、私にはそんな脚力はない。到底トラックには追いつけないだろう。

 

落とし穴に落とすか。

否、たぶん一番可能性はあるけど生憎とそんなものを用意する時間はない。

 

  

ひたすら走るその最中にと様々な否とIFが頭によぎる。

ひたすら思考を止めずに考え続けて、ほんの少し頭痛がしてきたその最中。一つ、唯一の可能性を見出す。

 

隠れられそうな建物に滑り込み、身を隠し、息を殺し、

建物から顔を出して盗み見る。

 

トラックの進行ルートは変わらず私に向かっている。

正確には私が隠れている建物の横切るルートだけど。

ある程度の危険を冒すけど、しょうがない。

 

「――っ!」

 

向かってくるトラックの前に、建物の前から飛び出す。

 

「うわあっ!?」

 

トラックが私を避けようと方向転換。

助手席の女生徒の驚く顔と運転手の女生徒が必死な顔でハンドル回すのがやけに目に焼き付いた。

車体が大きく揺れ、横転しかけながらも急速に速度を落とし、私から見て右に逸れた。

それに合わせて左横に跳び、トラックを避け、抜刀、すれ違いざまに前輪を切り裂く。

 

「うわっ!?」 

「ぎゃあっ!?」

 

バランスを崩したトラックは凄まじい音をたてながら廃墟に追突。砂ぼこりを立て、爆発するかのような音を立てながらバンパーが損壊し、ボンネットがひしゃげ、フロントガラスが飛散する。

  

「――きゃっ!?」

 

微かに、僅かに、三人目の声。運転手と助手席の女生徒ではない声。ぼやけて誰かは分からない。けど、直感的に、本能的にセリカさんだと私には分かった。

 

「な、なんだ!? 何が起きっ――くっそ! ドア壊れやがった。リーダーにどつかれるぞ!?」

 

運転手の女生徒が凹んだドアを無理やり蹴り上げ、状況の把握のために首を出した。瞬時に、

 

「やっ!」

「ぐふぅっ!」

 

首の真横、頸動脈に剣を叩き込む、普通なら何らかの強化手術を受けてないとコレで切断までは行かないけれど、気絶もするし、普通に致命的なんだけれど……、

 

「う、ぐっ……!」

 

首筋に青痣ができた程度で前のめりに倒れる。やっぱり頑丈すぎる。 

それにしても頭にある……光輪、ヘイローは消えないのかな。

……寝るときとか眩しくないのだろうか?。

それに、アヤさんとかもこのぐらい頑丈だったらしなっ、……今はそんなこと考えてる暇じゃない。

 

倒れた女生徒に視線を向ける。その手足がピタリとも動かない。一応手に持っていた銃、シロコさんと同じタイプの銃を回収しとく、そのつもりだったけど。

 

「お、おいどうした!?」

 

女生徒の声、おそらく助手席いた人だろう。彼女も方の扉は蹴り上げようとしても開かなかったらしく、運転席を通してこっちのドアから出ようとしてるようだ。銃を蹴り遠くにやる。幸運なことにサイドミラーはひしゃげてなくなっている。角際で脇構えに構える。

 

「何かあったっ、」

「っ!」

「ぐほっ」

 

下から脇腹から肩に向かって斬り上げ、瞬時に首に向かって斬り下ろす。

 

「うわっ、や、やめっ、うがっ!?」

 

一拍おいて切った場所が破裂の効果、服が切れ、青痣が付いた素肌が見えた。

 

「っ! よくもっ」

 

腰につけている拳銃を引き抜かせる前に

 

「なっ!」

 

接近、毛穴も見えんばかりの距離まで近づき、手を押さえ、引き抜かせられないようにし。

 

「ふっ!」

「があっ!」 

 

柄で頭を殴り、脳を揺らす。

膝から崩れ落ち、頭のヘイローも消えた。

 

――ヘイローが消えた?

さっきの子は消えなかったのに?

 

 

 

――瞬間、銃声。左腿に熱い感覚。

 

「ッ!?」

 

灼熱、灼熱、灼熱、沸騰するかのような熱さのあと遅れて激痛、激痛、激痛。神経を通じて身体が欠損したことをこれでもかというほどに頭に叩きつけてくる。

 

振り向けばうつ伏せのまま震える手で拳銃を向けている少女、銃口の先からは煙がゆらゆらと上がっていた。

 

「はっ? な、なんで血っ、」

 

その呆然している顔の下部、左足を引きずるようにして踏み込み、右足で顎を蹴り上げる。

 

「がっ!?」

 

ヘイローが消えた。それを見た瞬間、激痛、思わず膝をついてしまう。

……っ、ヘイローがついていた子は動いて、消えた子は今もなお動いてないない。おそらく、気絶してなかったんだろう。さっきの子は。

 

「まずっ……!」

 

血が噴き出す、とくとくなんて甘いものじゃない。心臓の鼓動に合わせ大量の血が噴き出るのだ。

すぐに腿を抑え、止血を試みるけど止まる兆しが見えない。感覚上、動脈を打ち抜かれた。

 

 

右腿につけていたベルトを外し、傷より胴体側に取り付け思いっきり締める。

 

「っ〜〜〜!」

 

熱い、熱い、熱い、痛い、痛い、痛い、とにかく痛いっ、けど。ここで緩めたら血が止まらずにかえって危ない。

 

熱く焼けるような激痛に耐えながら締め続ける。

ようやく、血が流れる速度が緩くなってきた。

 

「っ、はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

 

いつの間にか息を止めていたようで肺が酸素を求めて喘ぐ、

呼吸を落ち着かせ、腿を見る。

傷穴からは血が未だに少しずつ流れ続けるが、今すぐに死ぬことはなさそうだ。

止血帯代わりに使った青いベルト、今は私の血が付着してところどころ赤くなっている。

 

アヤさんに命を救われるのは……これで2回目だ。

 

「うっ……」

 

血を流しすぎたようで、視界もぼやける。瞬間、足の力が抜けた。

 

「――っ」

 

ふらつく体をトラックに手を突き剣を砂に突き立て支え、前に進む。

 

目指すはセリカさんがいるであろう荷台。

リアドアには鍵がかかっていた。それはそうか。頭が回らない。……いける、かな。

 

身体を支えてた剣を引き抜き、ふらつく身体で剣を振り下ろし、鍵を切り裂く、鍵の破片は地面に落ちた拍子に弾けた。

 

半分倒れ込むみたいにリアドアにぶつかり開ける。

 

「えっ、あ……ゆ、ユーリ?」

 

そこには隅で縮こまるような体育座りから顔を上げた半泣きのセリカさんがいた。

 




もう展開は決まってるんです。次は! 早めに投稿できたらいいなぁ……(遠い目)

亀投稿ですがこれからもどうぞお付き合いくださったら幸いです。
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