姉の過保護で一日八時間睡眠が解除できない   作:かりん2022

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未来と現在(今)と護衛依頼

進級できた。流石に2ヶ月欠席はやべーだろ、と内心俺も心配だったので本当に良かった。

時期によっては危なかったかもしれない。

ギリギリ三月までに戻って来れてよかった。

そんなわけで、一年生を歓迎する事になった。

一年生達は開口一番に言った。

 

「ポケモンに会いたいです!」

 

 というわけで、ミミッキュについて一通り注意した後に、ポケモン達を見せる。

 リザードンとギャラドスはいうこと聞いてくれないので今回はなしである。

 

「これがポケモン……! これがレジェンド、ピカチュウ!!」

「お姉さんがマサラ人というのは本当なんですか?」

 

 傑が大人気。

 俺も先輩なので俺の方も見てほしい。

 

「大丈夫だよ、悟。私も視界に入ってないから。彼らの目には、レジェンドピカチュウしか写っていないよ」

「さすが乱丸パイセン……。レジェンドだもんな……」

「レジェンドだからね……」

「私たちも会話に入れろー」

「そうだ! 僕、プリンの生歌聞きたいです!」

「ぷぷー♡」

「おいバカやめろ!」

 

 止めようとするが遅い。プリンが歌い出してしまった。

 

「♪♪♪〜♪、♪♪♪」

 

 そして、夜蛾先生が来るまでぐっすり寝た後輩達は当然のように風邪を引いた。

 俺達はニャースのいつも背負ってる布団に寝かせられていたから風邪は引かなかったが、3人はさすがに多いし女の子と一緒の布団に入るのはセクハラじゃないだろうか。ニャースにはその辺の機微も教えないとなるまい。

 もちろん、後輩にも色々注意事項を教えておかないとな!

 

 にしても、七海の若い頃ってあんな感じなのか。

 ナイスミドルって感じに成長するんだな。

 

 この世界でもあのナイスミドルになるように、しっかり教育してやんないとな!

 

 さて、春のドキッ傑のトラウマ作成依頼の粉砕の為に頑張って動いてみたのだが、駄目だった。

 伏黒甚爾を先に雇おうとしたのだが、交渉は決裂。

 

 真希がくっっっっっっっそ強かったので、出来るだけ戦闘は避けたかったのだが……。俺一人なら頑張るけど、傑のトラウマを作るなら避けたい。でも俺の頭じゃ、後は真正面から粉砕するしか思いつかない。

 

 さらに言うなら、天元様は同化失敗したら全然大丈夫じゃなくなるらしい。

 呪霊操術で操られてしまうので、同化は絶対だ。

 俺達は話し合いをする事にした。

 

「傑。天内のことだけどさ。お前、天内を犠牲にするの辛いかもしれないけど……今回は俺」

「私、絶対行くから」「だけじゃ絶対無理だから、どうしても来てほしい」

 

 俺の言葉に傑はきょとんとして、そして俺の手を取った。

 

「もちろんだよ! 一緒に頑張ろう!! 私、頑張るよ!!」

「私が必要なくて寂しいぞ、クズども」

「硝子は後輩を守ってどっしり構えててよ。雑魚呪霊をばら撒くって話だし」

「そうそう。俺ら、反転術式が使えるって言っても、自分しか癒せないしさ」

「そういうことにしておいてやるよ」

 

 そして、傑は急に涙をこぼしたので俺はびっくりした。

 

「傑!?」

「私、この任務で、悟においてかれたって書いてたんだ。隣を歩けなくなった。悟が一人で最強になっちゃったって。私はただでさえ、あっちの私より弱いし、いっぱい迷惑掛けてるし、足手纏いだし……悟が必要としてくれて本当に嬉しい」

「迷惑なんて掛けられてねーよ、全然! 傑がいないとすげー困る! 俺ら、二人で最強だろ。それに、この依頼や、宿儺や、お前のねーちゃんや、いっぱい強大な敵盛り沢山で、とにかく力を合わせないとだろ。お前と、硝子と、ポケモン達と、頑張ろうぜ」

「うん、うん」

「私も視界に入れてもらったからには頑張らないとな」

「卑屈になんなよ。二人とも。二人とも俺に取ってすげー大事な存在で、誇れる存在なんだから」

 

 そうして、作戦会議は夜を徹して行われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「護衛依頼を悟に行ってもらう。傑は別の任務だ」

「「はー!?」せんせー! 傑も一緒じゃないと行けませーん!」

「わがままを言うな、悟。傑は八時間睡眠の枷があるだろう」

「術師殺しがこの依頼に関わってるって聞いてんだよ。傑がいないと俺、死ぬっつの」

「行こう悟。大丈夫。悟の任務を優先するよ」

「あ、こら!」

 

 

 そうして、俺達は任務へと走り出した。

 

「悟! 重要なことに気づいたんだ」

「なんだ?」

「私、宿儺にうずまき使っちゃったから手持ちがほとんど居ない。甚爾に殺されるかな?」

「今それ言う!? バレないように頑張るしないだろ、ポケモンいるし」

「でも悟、そもそも理子ちゃん救えるかな? 飛べる手持ちが」

 

 無論、飛べる手持ちはいる。だが、ギャラドスとリザードンが言うことを聞いてくれるとは思わない。

 

「あー! 俺が頑張る!」

 

 前途は多難である。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポケモン使いの夏油! 今回、希望してたのに来れないといっていたから残念に思っていたが、来てくれたのじゃな!」

「あはは……。ご期待に添えるよう頑張るよ」

「ピカチュウを! ピカチュウを見せるのじゃ!」

 

 傑はいつもの忠告をして、乱丸と優を出した。

 

「おお、乱丸! 優! 天内理子じゃ。よろしくなのじゃ!」

「優は愛玩専用だから、抱っこしてていいよ。乱丸は警戒用だから仕事の邪魔をしちゃダメだよ」

「心得たのじゃ!」

 

 ミミッキュをギュッと抱きしめる天内。

 仲良くなってくれて良かった。

 ごめんな、天内。俺達は、俺達のためにお前を見殺しにする。

 日本人全員と女の子一人の天秤だと、どうしたって日本の方が重くなる。

 許せとは言わない。でも……ごめん。

 

 

 

 睡眠はしっかりとった。

 コンディションが悪い状態で真希には絶対勝てないし、乱丸を信じた。

 そうして、万全の状態で戻った。

 

 それでも、遅れを取った。

 

「やっぱな! お前ら、2ヶ月前に未来に行ってるだろ! そんで自分の未来を救ってる、つまり俺の事は最初から分かってたってわけだ」

「だったらどうする?」

「真正面からぶっ殺す。俺が怖かったんだろ? だから俺に依頼をしようとしたんだろ? この依頼を受けないでくれってなぁ!」

「だから? 俺らだってこの2ヶ月、頑張って修行してたんだ、負けてたまるか」

「はっ それで呪霊全部失っちゃ世話ねぇな! って事で、俺の狙うべきは、夏油傑だ!」

「!!」

 

 甚爾が俺の両足を切り刻み、傑を追いかける。

 早く治さねーと! 早く! 早く!!!

 

 俺は足を治すと、必死で走った。

 

 

 

 

 

 血溜まりがあった。

 優(ミミッキュ)が俯いていた。

 乱丸(ピカチュウ)が「電光石火」で激しく動き回って甚爾を牽制していた。

 

「す、ぐる……傑!!!」

 

 傑の元に駆け寄る。よかった、生きてる。

 

 その時、その場の灯りが2度瞬いた。

 気がつけば、ミミッキュが消えていた。

 

 いや、甚爾を襲っている!

 

「なんだぴかちゅうもどき」

 

 甚爾はすぐさまミミッキュを切り捨てる。

 

 そして、甚爾もまた切り捨てられた。

 ミミッキュの「道連れ」である。

 

倒れた甚爾に、傑がヨロヨロと寄っていく。

 

「君の予想通り、私達は未来に行った。未来では、君の息子が悟を殺すみたいだった。宿儺に乗っ取られてのことだけど、これも仇撃ちになるのかな?」

 

 傑?

 

「でも、その未来は阻止したし、これからの未来にもそれは起きない。悟は恵に会うのを楽しみにしてたけど、自分を殺す子供を育てるなんて気がしれない」

 

「散々大切なものを奪ってきたんだ。奪われても仕方ないよね」

 

 傑は呪具を振るう。

 

「傑……!」

 

 俺は思わず傑の腕を止めていた。

 

「悟? なんで……!」

「いや、今、そいつを傑に殺させるのすげー嫌だなって。傑の手を汚す価値ねーよ」

「悟。君は……!!」

 

 そうこうしているうちに、甚爾は逃げていった。

 

 俺は地面に寝転がった。

 

 

「あーーーーーーもう!!!! 任務失敗!!!!」

「ごめんよ、悟」

「お前のせいじゃない、助けに来てくれなかったお前の姉貴のせい!」

「ええ!?」

「乱丸と優を硝子のところに連れてくぞ、早く治療しねーと」

「う、うん」

「傑、こうなったらすげーすげーすげーすげー強くなるしかない! 明日から呪霊集め頑張ろうぜ」

「分かったよ、悟」

「男版真希から生き延びた俺たち、偉い!!!!」

 

 その言葉に、傑は笑った。

 

「そうだね。反省は必要だけど、今は生き残ったことを祝おうか」

 

 なんせ、10年後には宿儺を倒さないとなのである。




マシュマロ
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