妄想科学NVL CHAOS;INNOCENCE   作:師走F

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第36話:追い縋り、逃げ惑う、狂気と殺意

 ◆

 

 901 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 顔面レモン#3品目発生!

 http://news23.hkt.jp//news//202507310002.html

 

 902 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 ハッピートリガーが捕まってからまた事件か

 

 903 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 結局ニュージェネでも何でもなくて無関係な猟奇殺人ってことでおけ?

 

 904 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 いや、犯人が今んとこ全員自首なんやろ

 怪しすぎだろ

 

 905 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 真犯人に自首させられてるなら、ガチでニュージェネ並みのヤバい事件

 

 906 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 ていうか、ニュージェネ再来も人操ってたとかって話あったし、マジで同一犯では?

 

 907 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 短絡的すぎ

 

 908 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 真面目に考察しろカス

 

 909 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 犯人がちびネズミ集めてたって話もあるらしいな

 やっぱ力士シールみたいな役割なのかも

 

 910 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 あれデマじゃなかったの?

 

 911 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 >>>980 次スレ

 

 912 名前:名無しさん@渋谷 2025/7/31

 

 盛り上がってんだからスレ落ちないようにしろよ

 

 ◆

 

 俺は仕事終わりに翠明学園へ向かう道中、俺はスマホでネオジェネ関連のスレッドを見ていた。

 

「俺が前に流したちびネズミのデマが、なんか本当みたいになってるな」

 

 最初に樋上からバイトを頼まれた時にSNSに流した、『ネオジェネ事件現場でちびネズミが発見された』という誤情報になんか尾ひれがついている。

 

「実際、ちびネズミがネオジェネ事件を誘発しているのは真実だからな」

 

 今回は一緒に着いてきた尾上が、ため息を吐く。

 

「それより、再来と同一犯だの、こいつは何をいっているんだ」

「適当なこと言って盛り上がりたいんだろ」

 

 俺はスマホをしまう。

 

「ていうか、今回は一緒に着いてきていいのか?あんまり表立って動きたくないんだろ?」

「そうだが、ギガロマニアックスが近くにいるなら、確かめる必要がある」

 

 そうしているうちに、俺達は翠明学園に到着した。

 当たり前だが、出入り口は警官に封鎖されており、その周りをマスコミが取り囲んでいる。

 

「これじゃ近付けないな」

「どちらにせよ。学校には入れないだろ」

 

 尾上はリアルブートしていないディソードを召喚し、人混みに向ける。

 

「……」

 

 目を閉じて集中している。

 

「どうやら、この場に一人いるようだな」

「え?」

「少し身を隠す」

 

 尾上はそう言って、サッとこの場を離れる。

 

「おいちょっと」

「お、いたいた」

 

 人混みの中から出てきた一人の女子生徒が声をかけてきた。

 

「お前、良々……いや、ロロか」

 

 あれ、何で俺はロロのこと知ってるんだ。

 

「へぇ、やっぱ事件現場に出るんだな」

 

 ロロの手元にはディソードが握られている。

 

 俺はすぐにディソードを召喚して応戦しようとする。

 だが、

 

 ────妄想するな

 

「っ!」

 

 俺は頭を押さえる。

 その指示に従って、俺はディソードを消した。

 

「くくっ、それでいいんだよ。オレはお前が事件を追おうがしったこっちゃねぇ。ただ、良々を傷つけるつもりなら許さねぇ」

「良々って、なんのことだよ」

「何でもねぇよ。それより、現場に行きたいんだろ?」

 

 ロロは親指を立てて、背中越しに校舎の方を指差した。

 

「連れてってやるよ」

 

 ◆

 

 ロロに連れられて、俺は校舎内を案内された。

 

 他の生徒や教員、警官達とすれ違うが誰も俺達を気に止めない。

 

「お前、何やったんだ?」

「認識阻害だ。それで聞かせろよ。ネオジェネ事件を調査して何をしたいんだ?」

「……お前こそ、いいのか?Truthに俺のことを報告しなくても」

「良々から聞いただろ?オレも良々も、Truthの思想に興味はねぇ。ただ事件の最前線に入られればいいのさ」

 

 最初に会った時も、良々がそんなことを言っていたな。

 

「だったらいっそのこと、仲間になってくれないか?」

「それは無理だな。良々はともかく、オレはお前をそこまで信用してねぇ。それに樋上サンを裏切ったら、良々に危険が及ぶかもしれねぇしな」

 

 こいつの行動原理はあくまでも姉のためか。

 そんな話をしていると、事件現場である漫研の部室までたどり着いた。

 

 数名の警官が現場の写真を取ったり、話し合ったりしている。

 特徴的なのは現場の状況だ。

 

 部屋の至るところに大きな槌を叩きつけたような打撃痕、さらに破壊された本棚や漫画の残骸、飛び散った血痕がいくつも残っている。

 

「死体はもう鑑識に回されたみてぇだな」

「そうだなって……て、あれ」

 

 俺は教室の奥では、葵が警官と話している。

 

「ああ。あいつは第一発見者だからな」

 

 葵と話している警官の中に、見覚えのある人物もいる。

 久野里さんが、警官の後ろから葵の様子を観察していた。

 

 あの人も警察のアドバイザーをしていると言っていたので、調査に参加しているのだろう。

 

「それでどうするんだ?調査するんだろ?」

「……」

 

 俺はロロを一瞥して、サイコメトリーを発動させる。

 

 ────あんたが殺したのねっ!

 

 白井が掌を向けると、空気が振動し、太田のすぐ横の壁に大きなクレーターができる。

 

 ────逃げるなぁっ!

 

 次々と襲う白井の攻撃に対して、太田の方も応戦して空気の弾丸を放つ。

 暴力的な撃ち合いの末に、勝敗は決した。

 

 顔面が潰された太田の遺体、それを見て白井は満足そうに微笑んだ。

 

「……嫌な予感はしてたけどやっぱりか」

 

 白井が恋人の復讐のために太田を襲った。

 しかし、事件の犯人はまだしも、その関係者までギガロマニアックスだったなんて、そんな偶然あるのか。

 

「能力者同士の殺しあいってわけか。オレや葵ともやり合うことになるかもな」

「冗談は止めろ。早く白井を捕まえないと」

「止めとけ。白井は既に逃走している。こんだけ派手にやらかしたんだから、警察にも目をつけられてるだろうし、待っとけば捕まるだろ」

「能力者だぞ。警察が相手にできるのか?」

「しったこっちゃねぇよ」

 

 ロロは踵を返す。

 

「認識阻害解けるぞ。オレについてこなくていいのか?」

「……」

 

 俺は黙ってロロについていき、校内を立ち去った。

 

 ◆

 

「ロロ、何が目的だ」

 

 校舎を出たところで、俺はロロに尋ねた。

 

「別に、俺はただ、良々の好きなグロいのを良々に見せてやろうと思っただけだ」

 

 その場に良々はいなかったのに、こいつは何を言っているんだ。

 

「じゃあお前、これが何なのか知ってるか?」

 

 俺はちびネズミのラバーストラップを取り出した。

 

「ちびネズミだろ?良々も集めてるんだから知ってるに決まってるだろ」

「そうじゃなくて、これをお前らがばらまいてる理由だよ」

「知らねぇよ。興味ない」

 

 ロロは鬱陶しそうに手を払う。

 

「ていうか、樋上さんも知らねぇんじゃねぇの?そのストラップ、よその業者が作ってるし」

「よその業者?」

「ああ、眼鏡をかけた乳のでかい女だ。そいつがたまにうちにデカい段ボール箱を持ってくるんだよ。樋上さんも面倒くさそうにしてたよ」

 

 眼鏡で巨乳、なんとなく覚えのある特徴だが。

 なんにせよ、この様子だとTruthはノアに関わってもいないということか。

 

「じゃあな。くれぐれも余計なことすんなよ御門」

 

 そう言ってロロは去っていった。

 

「行ったようだな」

 

 そうして、入れ替わるようにして尾上が戻ってきた。

 

「私の存在は勘付かれていないようだな」

「多分な。ああ、それと事件のことだけど。太田を殺した犯人は白井だ」

 

 俺はサイコメトリーで見た情報を尾上に伝える。

 

「渋谷全土のGEレートの上昇といい、事件関係者のギガロマニアックスの覚醒……渋谷地震の再現のつもりか」

 

 尾上は怒りに震えた声で口にする。

 

「尾上?」

「白井や太田がギガロマニアックスになったのは偶然じゃない。ノアの影響を受けたことで覚醒したんだ。おそらく二人とも、空気の弾丸を飛ばすという限られた力しか使えないはずだ」

「ノアの影響って……」

「ちびネズミの周辺では、持ち主に都合のいいことが起きやすくなる。ノアが持ち主の潜在意識の妄想を無差別に具現化しているからだ。そこに副作用によるGEレートの上昇と、それに伴うバイオリズムの上昇が重なる。これらが脳に過剰な負荷をかけ、不完全なギガロマニアックスへと覚醒させている」

「それって、他にも町中の人間がギガロマニアックスになるかもしれないのか……?」

「可能性はある」

 

 尾上は俺に背を向けた。

 

「とにかく白井を探すぞ」

「ああ」

 

 俺達は手分けして白井を探すことにした。

 

 

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