【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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伊勢長島攻略戦

「えっほえっほ!」

 

 俺は一乗谷にて穴掘りをしていた。

 

 というか毎度恒例温泉掘りである。

 

 周囲を山に囲まれているし、掘ったら出ないかなと思ったが、一乗谷の既存の場所では湧いてこない。

 

 仕方がないので山の地熱が熱そうな場所を探して、掘ってみたところ、湯が湧き上がった。

 

 100メートル近く掘ることになったが、湯量は尾張で掘った時や美濃の加茂村で掘った時の数十倍。

 

 というか源泉は熱すぎる為に入れたものではないが、川に向かってお湯を流す通路を作り、源泉に近づけば近づくほど熱い湯に浸かることができそうである。

 

 俺は部下の黒鍬隊に、温泉を入れるように整備することを命じるのであった。

 

 温泉を湧かせるのは種付けおじさんの能力であることを確信するのであった。

 

 で、色々掘っていると、ぬるいお湯も湧き出したのだが、そのお湯はシュワシュワと炭酸が混じっているではないか。

 

 湯としては34度前後とぬるいものの、炭酸水が湧き出るのは素晴らしい。

 

 炭酸水が湧き出ているとなれば重曹も手に入る。

 

 今まで重曹はなかなか手に入らなかった。

 

 少量なら熱田の町で揃えることが出来たが、料理に使っていると直ぐに無くなってしまう。

 

 この炭酸水も重曹が水に反応して炭酸となっているっぽいし、炭酸水だけでなく重曹も手に入るとなれば興奮してしまう。

 

「水質も悪くない」

 

 炭酸水を柑橘系……特にレモン等を手に入れられればレモネードに、生姜と蜂蜜を使えばジンジャエール擬きを作ることも可能。

 

 重曹から出来る炭酸水には重曹の成分が体の老廃物と結合して疲労回復効果をもたらす事にも繋がる。

 

 温泉としても炭酸が皮膚を浸透し、疲労回復、冷え性の改善、免疫力の向上と良いことが多い。

 

「家臣や子供達、そして妻達の健康を考えると、なるべく早く温泉を設置したいものだな」

 

 俺は一乗谷に新しい名物となる物の開発に取り組むのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 地図を見て考えるに、拡張性だけで考えるのであれば、福井県の鯖江市や福井市の方が拡張性は高いのであるが、そこは農業用地が殆どであり、越前の米所……あと大きな川に面していることを考えると一乗谷でも十分に政務を行えると考えた。

 

 一乗谷は足羽川に面しており、川を下ることで三国や湊といった海沿いの商業都市に出るのにも有効な土地であり、北からの防御力は申し分ない場所であった。

 

 朝倉氏の本拠地を置くに足る場所……それが一乗谷である。

 

「それに上流を抑えていることで種付けおじさんのチートを発揮しやすいし」

 

 ここでも川に精子の放流はするつもりである。

 

「朝倉氏の統治は十分に越前の土地に根付いている。これを破壊するのではなく昇華させることでより良い国作りを目指していければ最高だな」

 

 領主から国主への脱皮……これが今度俺がやらなければならない事柄であった。

 

 

 

 

 引掛し作業も終わらぬ中、信長様は諸将に長島の一向一揆鎮圧を号令する。

 

 俺も勿論参加することになったが、忍び達より朝倉氏の残党が加賀の一向一揆に合流し、暗躍しているとの報告があり、島含めた主力を動かすことが出来なかった。

 

 なので信長様に言って俺は忍び衆を使った暗躍に徹することにした。

 

 まず長島の一向一揆を切り崩す事に注力する。

 

 史実では第二次長島侵攻では伊勢の大湊の町で船を調達することに失敗し、陸路で攻めた結果、長島の一向一揆にゲリラ戦を展開されて手痛い損害を被る事になるのであるが、伊賀衆を完全に掌握していた俺は、伊賀衆を使って情報戦を展開。

 

 大湊の町人達が長島の一向一揆に物資を高値で買わせている証拠を入手すると、これを使って町人達を脅す。

 

 町人達も商品の動きを完全に掴まれているとなれば降伏するしか無く、一向一揆に繋がっていた商人の何人かを見せしめに暗殺すれば大人しくなり、船の調達に成功し、大湊から長島に物資運搬を止めることにも成功する。

 

「伊賀の者ばかり重用されたらこちらも黙っては居られませんな」

 

 そう言うのは甲賀衆の皆さんで、彼らも俺が越前の領主になったことで、売り込み時と判断し、めちゃくちゃ気合いが入っており、長島に組する領主や城主達の情報が次々に入ってくる。

 

 ちなみにこの頃だと北伊勢にも一向一揆の勢力は伸びていたのだが……。

 

「又兵衛様! こちらの城の妻子はこちらの寺に逃れていた為に先手を打って、我々が捕縛しております! 交渉にお使いください!」

 

「又兵衛様、あの砦の抜け道はこの者が熟知しております。少人数でも落とせるかと」

 

「又兵衛様、あの村は一向一揆に物資を強制的に徴発されて不満が高まっている様子。我々が調略すれば戦力を提供してくれるかと」

 

「又兵衛様!」

 

「又兵衛様!」

 

 次々に送られてくる情報を処理しながら信長様率いる本隊が来る前に北伊勢の一向一揆側の領主や城主は忍び衆の働きにより無力化されてしまい、俺が交渉に出ると泣きながら降伏を懇願する始末。

 

 忍び衆頑張り過ぎだろ……。

 

 そして織田本隊約8万の大軍で迫ってくる事が長島に伝わると、長島の中でも動揺が広がり、更に九鬼水軍と滝川一益の水軍が海上封鎖を試みるようになると、忍び達が長島に侵入し、長島に逃げ込んでいた者達に内応や裏切りを約束させて、第一次長島侵攻で見せた頑強さはそこには無く、裏切りによって長島の島々の砦が次々に炎上。

 

 混乱の隙に裏切り者達は織田軍に降伏したことで防衛施設が崩壊。

 

 長島の外周部の包囲も完了し、長島の坊主達は追い詰められることになる。

 

 そして裏切らなかった武士達も相次ぐ裏切りにより疑心暗鬼に陥った一揆の指導者層に討ち取られる事態が続出し、抵抗した武士達が一揆勢を攻撃する血みどろの内紛に発展。

 

 その状態を目にした信長様は長島の外周部を包囲して様子を伺っていたが、俺がトドメに忍び達に島の外に逃げるための船に細工を仕掛けさせ、島の外に逃げようとする一向宗達は船が次々に沈没して溺死していった。

 

「根切りにしろ」

 

 信長様的には長島の一向一揆は本拠地の尾張や美濃に近すぎる為、勢力として残すのは無理と判断し、徹底的な破壊を決断。

 

 史実では周辺の農民達も皆殺しにされた一向一揆であったが、指導者層の混乱と、そもそも長島に逃げ込む前に九鬼水軍による海上封鎖が実行されたため、農民達は右往左往するばかりで、結局元の場所に戻っていった。

 

 で、長島に取り残された約5000名のうち半数が内輪揉めで亡くなり、残った約2500名も上陸した織田軍により根切りにされていき、碌な抵抗も無く織田軍の完全勝利で伊勢長島の一向一揆を鎮圧。

 

 MVPは勿論俺であり、信長様から

 

「馬は1人で万の兵に勝るな」

 

 と最大限の賞賛のお言葉を頂いた。

 

 そして信長様は

 

「峰丸を又兵衛の養子にする。お前の多い娘の誰かとくっつけろ」

 

 信長様と帰蝶様の息子である峰丸様を俺に預けると言われた。

 

 事実上北陸方面はお前に任せるということであり、峰丸様が自立するまでは北陸方面軍の最高司令官を任せるという意味が含まれていた。

 

「心して承ります!」

 

 領地は与えられなかったが、莫大な金銭が褒美として与えられ、伊勢を統括する滝川一益殿からも

 

「又兵衛のお陰で助かった! この借りは後で必ず返す」

 

 と有り難いお言葉を頂いた。

 

 こうして目下残る敵は石山本願寺と加賀の一向一揆、そして混乱続く武田の3つに絞られるのであった。

 

 

 

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