【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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峰丸改め織田信道……越前に向かう

「峰丸改め織田信道(おだ のぶみち)です! 又兵衛殿……いえ、馬殿の噂は父や母から聞いておりました! これからよろしくお願いします!」

 

 伊勢長島一向一揆鎮圧後、岐阜に立ち寄った俺は、信長様より峰丸様改め、信道様を預かることになった。

 

 信道様は信長様と帰蝶様の子で、家督継承順位は2位。

 

 帰蝶様と一緒に会うことは度々あったが、こうして1対1で喋るのは初めてである。

 

 年齢は数え年で10歳。

 

 うちの息子達とも年齢が近いので仲良くできれば幸いであるが……どうだろうか。

 

「父から聞いてます! 馬殿は恐らく妖怪の類の者であると!」

 

「信長様……」

 

「それと掛け替えのない存在であるとも言っておりました!」

 

「信長様!」

 

 信長様から直接言われた訳では無いが、信長様にそう思われていると聞くと感激で涙が出てくる。

 

「私も元服を終えたので、これからは一人前の武将になるために、父から馬殿の下でよく学べと言われたので、越前へ行き、頑張りたいと思います!」

 

「頑張りましょう! でも帰蝶様から離ればなれと成りますが宜しいでしょうか?」

 

「私の兄達は母がもう居ません。私は居ますが、母にいつまでも甘えているわけにもいきませんので! 良い機会です! 母も馬殿なら安心して預けられると言っていましたので」

 

 立派な子だ。

 

 これほど気入りしているなら大丈夫だろう。

 

「立派な武将になるには厳しい鍛錬が待ってますが大丈夫ですか?」

 

「はい! 喰らいつく所存です!」

 

「では越前に向かいましょう」

 

「はい!」

 

 信長様にも挨拶をすると

 

「峰丸を頼むぞ」

 

 そう言われるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 越前に帰り、数日後。

 

 越前では相変わらず工事が各地で行われていた。

 

 信道様に工事の現場を見せて、何の工事をしているか説明をしていた。

 

「こちらが公衆浴場の工事、あちらが鍛錬場の整備」

 

「色々な工事を行なっているのですね」

 

「朝倉氏の良いところは残しつつ、より良くするために様々な工事が必要なのです」

 

「あそこは何を作るための工事を?」

 

「あちらは味噌と醤油工場ですね」

 

「工場?」

 

「はい、商品を大量に作り出す場所のことです」

 

 俺が来たからには越前の食文化を俺色に染め上げるつもりである。

 

 様々な調味料があるが、どんな料理にも使う醤油と味噌の大量生産……これが必要不可欠である。

 

 なので加茂村で行っていた工房を土地があるので拡大し、川の流れに沿って水車を設置することにより、攪拌や絞る作業効率を高める改善を行っていた。

 

「水車が多くありますね」

 

「ああ、一乗谷は2本の川があるからね。川の力を使って色々な産業に生かせれば良いとは思わないかな?」

 

「確かに……」

 

 俺は信道様を案内しながら水車小屋が多く作られている説明を行った。

 

 元々加茂村でも実験的な水車を使った油を搾ったりはしていたが、水車を作るのに十分な水量がある川が2カ所もある一乗谷で水車を動力とした産業が発展できればより良い町になると確信していた。

 

 というか鉄の量産にたたら製鉄と言うフイゴを使って風を常に送り続ける装置があるのだが、人力でやると大変な為、水車を使ってフイゴを動かせれば良いと考えたのである。

 

 鉄の生産量が上がれば農具、武器、生活用品全てにおいて効率が上がる。

 

 農具が鉄製になれば深く耕す事が出来るようになるし、草刈りの効率も上がる。

 

 武器は言わずもがな、生活用品でも鉄鍋だったり、やかんだったり、針だったりと活用方法は色々ある。

 

 鉄の生産量増加が国力増加に直結すると言って過言ではない。

 

 幸い越前の俺の領土には南城郡の山々から砂鉄や鉄鉱石が採れる場所があり、あと山々には燃料となる木々が豊富なので、鉄を作るための原材料には事欠かなかった。

 

 鉄もそうであるが、越前国って思ったよりも何でもある。

 

 朝倉氏が育てた職人軍団だったり、日本海側から京に向かい時の港の三国湊と言う尾張の熱田や津島に匹敵する商業都市、川も多く、農業のしやすい地形もそれなりにある。

 

 隣の加賀に農地面積で負けているが、それでも十分。

 

 つまり尾張と匹敵する裕福さを持つのが越前という国なのである。

 

 信長様は知ってか知らずか俺にここを任せたということは、第二の尾張にするべく開発しろということだろう。

 

「信道様、越前はまだまだ豊かになりますから、よく見て学んでくださいな」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 そんな信道様は現在俺の息子達と走り込みをしていた。

 

「へぇへぇへぇ……」

 

「信道様頑張ってください! あともう少しですから」

 

「く、国丸は元気だね……」

 

「一応私も結構走り込みやらされているので……最初は辛いですが、頑張りましょう」

 

 ちなみに国丸はこの時数え年でまだ9歳。

 

 ただ俺に連れ回されて朝倉撃滅戦とかの戦は経験済みである。

 

「国丸、戦ってどんな感じなの?」

 

 走り終わり、休憩になった時に信道様は国丸に質問をする。

 

「どんな感じ……父上に聞いたほうがわかりやすいと思いますが……」

 

「同年代の国丸の意見が聞きたいな」

 

「うーん……一言で言うなら死が満ちているですね」

 

「死が満ちている?」

 

「はい、父上は生を生み出す現人神であると私は思っていますが、戦場ではそこらに大量の死が転がっています。敵味方……死に飲み込まれないように必死に戦いますが、それがかえって死を呼び寄せる。だから死が満ちていると私は感じております」

 

「ずいぶん詩的だね」

 

「戦は十人十色の見え方がございます。こればっかりは経験してみなければ分かりかねるかと」

 

「ふーん……次の戦って何処で起こると思う? 国丸は?」

 

「越前でしょうな」

 

「え? ここなの?」

 

「はい、加賀一向一揆が元気ですし、そこに朝倉の残党が加わったと聞いています。一悶着は必ず起こるかと」

 

「か、勝てるよね?」

 

「勝つために努力をしているのです。勝ちに近づくためには日々の鍛錬をどれだけやるか、そして将となるからにはどうやって敵を弱らせて、こちらは勝つか……多分父上は色々考えていると思われますよ」

 

「なるほど……私も頑張らないとな!」

 

「はい! 一緒に頑張りましょう!」

 

 人当たりの良い信道様はうちの息子達ともすぐに仲良くなり、鍛錬に励むのであった。

 

 

 

 

 

 

「で、加賀の動きはどうなのじゃ?」

 

「忍び達によれば直に動き出すであろうと。兵数は一万とも二万とも」

 

 俺はマリアこと松永久秀と茶室でお茶を飲みながら作戦会議を開いていた。

 

 マリアに聞いて意見をすり合わせてから、島達家臣達と更に作戦の精度を高める。

 

 この二重チェックできるのは大きな利点だろう。

 

「敵兵の多くは農民じゃな。削れば削るほど加賀の生産力は落ちていくが、どうするのじゃ?」

 

「どうするも何も……石山本願寺と意思疎通できるような連中なら俺が頭を抱えているわけないじゃん」

 

 そう、加賀一向一揆は一向宗を名乗っていながら、石山本願寺の命令を無視することが度々あり、実態はただの暴徒の集団である。

 

 一応各寺の坊さん達が統治を行なっているが、それも酷い有様であり、そんな暴徒集団が朝倉残党に焚き付けされて越前に雪崩込む準備を進めていると忍び達から情報が入っていた。

 

「まぁ先手は既に打っている。効果が最大限出る時に忍び達が活用できるか……それにかかっているけどね」

 

「ふむ、策とは? どんな策なのじゃ?」

 

「俺がマリアにした効能を彼らにぶつける」

 

「ふむ?」

 

「女体化の術を広範囲にばらまく……それで止まらないようであれば殺すしかないけどね」

 

「そんな事もできるんじゃな……」

 

「最近出来るようになった技だけどね。まぁ金精大明神の加護ですよ」

 

 マリアとはもしそのまま戦争になった場合の作戦を考えておくのだった。




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