【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
やるべきことは山程あるし、やりたいことも色々あるが、1つ1つ消化していくことにしよう。
まず冬の間にやるべきことは防衛力の強化だな。
「霧丸」
「は!」
「上忍達を集めよ。忍びのあり方について審議する」
「御意」
忍頭となっている霧丸に津田に従える約800名にもなる忍び達の頂点……10人の上忍達を集めるに至った。
伊賀霧丸を筆頭に津田家に取り込んだ望月千代女の他、百地、藤林、山中、美濃部、黒川、鵜飼、杉谷、多羅尾の伊賀、甲賀、そして旧武田三ツ者の代表者がそれぞれ苗字を襲名して俺に仕えていた。
「津田忍者隊上忍衆揃いました」
「うん、よく来てくれた。茶と菓子を用意したから食べながら聞いてくれ」
俺はまず忍び達に他の家臣達からやっかみを受けていないかと聞く。
すると忍びとして下賤の者と見る者も居るが、基本的に差別されることもなく過ごせているし、山が多いが領地を与えられ、家畜の世話を中心に乳製品の製造や皮製品の販売、肉や卵の売買、更には山でも育つ作物(ジャガイモや栗、桃)やキノコの栽培、養蜂の技術を教えたことで、生活水準は飛躍的に高くなり、命懸けで働くに見合う収益を稼ぎ、家庭を持つことがちゃんと出来るようになったと喜んでいた。
「皮製品や蜂蜜の売買は領地の税収にも匹敵する。忍び達が技術を守ることで生産を安心して任せることができる」
特に蜂蜜は税収に直結するため、技術がむやみに拡散するのを防がなければならなかった。
美濃の加茂村時代でも養蜂は伊賀霧丸が忍びを使って結界を張ってもらっていたが、3年前より領地替えを見据えて忍び達に養蜂技術を教えていたのである。
越前に来て生産できる範囲も広くなったので、以後蜂蜜の生産量は上げていくつもりであるが、蜂蜜は基本全て領主である俺が買い取り、それを市場に流すという方式を採用すると決めていた。
市場を調整しながら売却することが出来るし、蜂蜜の市場は俺が独占している様な物。
贈り物としても使えるため、あればあるだけ助かる品物である。
「養蜂に関しては秋頃まで生産量が分からないだろうから、とにかく数を増やして、増産する方針で」
「「「は!」」」
「問題は防衛の方だ。現状何処まで諜報網を広げることが出来ている?」
代表して霧丸が言うが、人数的に越前、京、堺、美濃、尾張、加賀、能登と畿内方面は点で、能登から尾張までは線で諜報活動を行ってもらっていた。
「加賀は今どの様な状態だ?」
加賀の諜報を担当している藤林が返答する。
「加賀の一向一揆勢は依然として強い結束力で兵の再編を行っております。このままいくと田植えを終えた頃に再び合戦に発展する可能性が高いかと」
「忍びによる分断は今回もできそうか?」
「はい、一向一揆勢は防諜が貧弱なので妨害は仕放題かと。次に行う時には一向一揆勢が留守の間に敵拠点に侵入し、兵糧を焼き尽くす事を行おうかと」
「無理は決してするなよ。俺は忍び達を失う方が痛手だからな」
「は!」
各種担当している場所の防諜の確認と要人警護についても話を振る。
望月には妻や子供達の警護をくノ一達に任せているがどうかと聞くと、特に襲撃も無く警護出来ていると説明された。
続いて忍びを養成するための学校の建築の話を行う。
戦国の世なので、どうしても孤児が多く発生しているが、その子供達を集めて教育する場所を作ろうと俺は計画しており、武官に適性があれば武官に、文官に適性があれば文官に、そして忍びに適性があれば忍びに、それ以外でも職人や商人など、とりあえず手に職をつけられる学校の敷設を急いでいた。
用地は忍び達の領地の中に確保し、キャパは1500人ほど。
校舎の建設も順調に進んでいると説明され、孤児の確保も各地で行っている。
早ければ今年の春頃から稼働するとのこと。
他の京、堺、そして尾張に諜報活動を続けていたのは消費地の需要を見極めるためである。
越前……というより一乗谷周辺は朝倉氏が整備した工業地帯と言える地域であり、他の地域よりも手工業が発達していた。
なので買い手の需要を調べる必要があったのである。
「能登はどうなっている?」
「は!」
能登を担当する者が説明するに、畠山家という大名による統治が続けられて居るが、一向一揆に周辺地域を荒らされ、他の地域と孤立している状況が続いているらしい。
更に内部で権力闘争も行われていて、一向一揆を押し込む力も、他国に臣従する決断も出来ない状態らしい。
「ふむ……なんとか接触することは叶わないかな?」
「加賀を移動するのが厳しいので外交官を交えた交渉は難しいかと。忍びでも情報を持ち帰るのがやっとです」
「うむ……無理を言って済まなかった。引き続き情報収集を頼む」
「は!」
とりあえず伊賀や甲賀より引き続き人員を募りつつ、領内でも忍びの育成をしていく方針が固められるのであった。
「うーん、最近種付けおじさんのチートを上手く使えていない気がする」
領地経営が忙しくなったために、最近チートを上手く使えてないのでは無いかと思ってしまっていた。
それが自身のアイデンティティであるのでね。
何か無いか探した結果、何となく神仏ガブリエル教の教会に足を運んでいた。
何があるって訳ではないが、何となくで来たが、ふと宣教師の1人が木鉢を持って困った様な顔をしていた。
「どうしました?」
『ああ、聖人様、実は』
彼曰く俺が海外の植物を欲しているから輸入せよと言っていたのだが、届いたのがよく分からない木の苗木であり、特に食べ物というわけでも無いらしい。
『商人曰くゴームという植物らしいのですが……』
「ん? 今なんと?」
『ですからゴームと』
「ゴム! そうかこれはゴムの木か!」
宣教師から受け取ったゴムの木……寒い気候では直ぐに枯れてしまうが、この苗木は生き残っていた。
「他に苗木はあるか?」
『いえ、枯れずに生き残った苗木はそれだけで』
「うむ!」
俺はゴムの木の苗木を譲り受けると、温泉近くの地熱がある場所にゴムの木を植えた上で俺のガロン精子を射精して育つように願いを込めて水分を与えた。
すると避妊具のコンドームの原料となるゴムと絶対に孕ませる種付けおじさんでは矛と盾……矛盾した存在だからダメかと思ったが、ゴムの木は俺の精子を吸い取ると、竹の様な勢いで成長し、1ヶ月で立派な樹木へと成長を遂げた。
そのゴムの木から枝を何本か切断して挿し木として俺の精子がたっぷり入った器にゴムの木の枝を入れて精子を浸透させてから、地面に植えていく。
するとそのゴムの木の枝も次々に成長していって樹木へと変わり、3月終盤になる頃にはゴムの木農園が出来上がっていた。
俺は前世で天然ゴムの収穫の映像を観たことがあったので、それを元に、ゴムの木に傷をつけてスロープを作り、樹液を桶に滴るようにする。
するとポタリポタリと樹液が垂れ落ちて、桶にどんどん溜まっていく。
あっという間に桶が満タンになり、樽に入れ替えて1本からどれぐらいゴムの樹液が出るか確認する。
俺の精液で成長したからか、1本からちょうどガロンくらい……約4リットルの樹液を採取することができた。
これを濾過して酢を混ぜると硬化が始まり、乾燥させれば天然ゴムの出来上がり。
硬化が始まる前に硫黄や木炭等を混ぜると強度が変わってくるといった寸法である。
「これは使えるな」
俺は職人達を集めてゴムで色々作れないか実験を始めるのであった。