【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
越前にて領地改革の真っ只中であったが、信長様が頑張っている俺にプレゼントがあるから京に来いと言う連絡が届けられた。
何事かと思い、急いで京に向かうと信長様から
「半国を有するお前が無官位だと体面が悪い。朝廷に言って官位を馬に与えるようにしたぞ」
「ほ、本当ですか!」
「なんで余が嘘をつかなければならぬ。これからも期待しているぞ」
「は、はは!」
信長様が朝廷に根回しして官位を貰う手筈を整えて下さっていた。
確かに朝廷から官位を貰えれば領国統治に箔が付くため、今まで従ってこなかった人達を従えることができるだろう。
問題は何の官位を与えられるかであるが……。
官位が今は無いので天皇から直接官位を貰うことは出来ないが、代表の公家の方から代わりに官位を授けられる。
「お久しぶりですね」
「お久しぶりです! お子さんはお元気ですか?」
「はい、又兵衛殿に祈祷してもらったおかげで母子共に健康で」
官位を授ける報告をしてくれる公家の方は、俺が度々京で祈祷をしていた時に出会っていた人で、俺のお陰で待望の嫡男が産まれたと喜んでいた。
俺としても出会ったことのある人の方が気が楽で済む。
「津田又兵衛、お主を加賀守に任じ従五位下とする」
「ははぁ!」
注目すべきは2点、加賀守と従五位下と言う官位である。
まずは従五位下から説明するが、朝廷の官位は30位まであり、それぞれに上下と正と従で分かれていた。
従三位以上は上下が無くなるので6階級、その下に正四位上があって、そこから従五位下までの14階級目までを貴族と称するのである。
なのでそれ未満の人は実質貴族ではない。
竹取のおっちゃんの官位は従五位下なのでギリギリ貴族であった。
それ未満の人達は地下人と呼ばれて貴族ではないとされているのである。
俺の場合従五位下なのでギリギリ貴族であり、諸用があれば昇殿……天皇と面会を許される立場となる。
いきなりそんな上の官位を頂いて良いのかと聞くと。
「殿下も又兵衛殿の祈祷の噂を耳にされ、有事の際に祈祷をしてもらいたいとのこと」
「なるほど」
今のところ天皇家の方々は嫡子や嫡孫に恵まれているので、俺の祈祷は必要ないと思うが、それでもいつ何が起こるか分からない。
そういう時に京で名声がある俺を昇殿させた方が都合が良いのだろう。
そしてもう一つの加賀守は加賀国の国司であるという意味であり、室町幕府が崩壊したことで守護職の権威は失墜し、今公的に意味を成すのが朝廷の地方代官の意味である国司と言う役職だけなのである。
で、加賀守は加賀国を統治しても良いと言う意味なので、加賀国を制圧すれば俺が加賀国の領地を統治しろと言う朝廷からのお墨付き。
信長様からも北陸方面を任せると言われていたが、公的に認められたことになる。
高い職位よりもずっと価値がある。
「ありがたい官職……いただきます」
「うむ!」
「代価と言っては何ですが、越前の所領より一万石を朝廷に寄進させていただきます。加賀を得た暁には更に寄進します」
「ほほっ! そうかそうか楽しみにしておるぞ」
「はは!」
結局のところ今の朝廷は貧乏。
なので官職を大名達に譲って、金や領地の寄進で財務をやりくりしている。
俺が言う一万石でもだいぶありがたいんじゃないだろうか?
まぁ収穫量が増えたらその分だけ追加で贈るつもりではあるが……。
こうして俺は加賀守かつ従五位下と言う官位を得たのだった。
俺は領地に戻る際に坂本に立ち寄り、明智光秀殿と面会をした。
「おお、又兵衛殿、おじさんと会うのは久しぶりだね〜」
「お久しぶりです。岐阜城での正月の宴会以来でしょうか」
「そうだね~そうそう官位を貰ったんだってね。おめでとう〜」
「ありがとうございます」
つい先日官位を貰ったばかりなのにそれをもう耳にしている情報収集能力の高さ……流石明智殿である。
「又兵衛、ちょっと悪いんだけど、君の祈祷に頼っても良いかな。おじさんの妻のひろ子が体調を崩していてね」
「明智殿の奥様が健康でないと、明智殿も気が気じゃないでしょう。診療しますよ」
「本当かい! ありがとぉ〜」
明智殿と関わってきてわかったが、切れ者ではあるが、苦労を重ねてようやく織田家に落ち着けた経緯から、心を開いている人以外は心に仮面を被って接するのである。
俺は本圀寺の戦いだったり金ヶ崎の撤退戦だったり、色々な戦いで明智殿と共闘したし、京滞在時に明智殿に教わって教養を身に着けた師弟関係があったので、ポワポワした内面を隠さずに見せてくれていた。
「失礼」
明智殿の奥様であるひろ子殿の手を握りながらステータスを確認していく。
すると症状的には風邪をひいているだけだったが、他にまだ進行していないがガンの前兆を見つけることができたので、それを気を流すことで癒していく。
ここ最近、おじさんと呼ばれる年齢に近づいてきたからか、種付けおじさんの能力が一段階強くなった様に思える。
前までは奈々の様な病気持ちの人には性行為をしなければ治す事が出来なかったが、女性限定ながら、今では手を触れるだけで病を癒し、若々しくすることが出来る。
「気分が楽になりました……ありがとうございます」
「そうですか、それは何よりです」
ひろ子殿の顔色も良くなり、明智殿は嬉しそうにひろ子殿に声をかけ、大丈夫か? 痛くないか? と心配するが、ひろ子殿は大丈夫ですよと気にかけてくれた旦那を気遣う。
「いやぁ又兵衛殿ありがとうね〜、ひろ子の風邪が長引いていて心配で……」
「早めに私を呼んでよかったですよ。体に邪気が溜まっていたので払い除けました。ただ風邪で体力が落ちているのも事実なので、食事には気をつけてください」
「どんな食べ物が良いとかあるかな?」
「そうですね……湯豆腐や鍋料理等の体を温める料理が良いでしょう。逆に瓜等の体を冷やす食べ物は体調が良くなるまでは避けた方が無難でしょう」
「そうか、そうか。又兵衛殿は今日は泊まっていくかい?」
「いいのですか?」
「遠慮しないで欲しいな。又兵衛殿のお陰でひろ子の体調が良くなったし、越前方面の情報も聞きたい」
「わかりました。お言葉に甘えてお邪魔させてもらいます」
「邪魔なんかじゃないよ〜、ゆっくりしていってね〜」
明智光秀殿の坂本城にお邪魔し、その日の夜。
明智殿と情報共有をしていると、すっと戸が開き、デコが広い女の子が入ってきた。
「津田又兵衛様ですか!」
いきなり名前を言われたので驚くと、彼女は明智殿の三女の珠子と言う娘だと言われた。
「珠は又兵衛様のお市様救出の話を聞いてそんな殿方に嫁入りしたいと思っておりまして! どうかお市様との馴れ初めなどを教えてください」
「こ、こら珠。人様の馴れ初めを聞くなどはしたないよ!」
「まぁまぁ、明智殿、別に聞かれても特に問題は無い話ですし、良いですよ」
俺が良いと言うと珠子ちゃんの表情は明るくなり、俺の近くに座って聞く体勢になっていた。
明智殿もこうなった珠子は離れないと言われ、まずは信長様の小姓時代に帰蝶様の祈祷を行っていた噂を聞きつけた市との出会いを話す。
それから千夜一夜物語の話や、市を娶りたくて出世していくが、その前に浅井家に嫁がれて離れ離れになってしまったこと、フィナーレの小谷城からの救出劇を話す。
珠子ちゃんは目をキラキラさせて俺の話を聞き終わると
「父上、珠は又兵衛様に嫁ぎます!」
といきなり言い出した。
明智殿曰く、前から俺の話を各方面から聞いていたらしく、憧れを抱いていたとのこと。
で、実際に話を聞いて感情が爆発して求婚を口走ってしまったらしい。
「た、珠。お前まだ12歳(数え年)だろ。婚約ならまだしも婚姻は早いし、又兵衛殿には憧れのお市様含めて嫁が何人もいるのだぞ」
「歳は関係ありません! 12歳は立派な大人です! それに奥方が複数人いて、又兵衛様は全員を毎年のように子供を孕ませていると言うではないですか! それだけ種子が強い男性に私は嫁ぎたいです! 駄目ですか又兵衛様」
「う、ううむ……」
珠子ちゃんの見た目は将来美人さんになりそうな見た目をしている。
デコが広いのは明智殿の遺伝子が強そうであるが、くりくりっとした大きな瞳に物応じしない性格。
種付けおじさんとして調教しがいがある。
ただ立場が立場だ。
明智殿の娘と俺が婚姻すれば織田家の政治バランスが崩れるのではないかと言う不安もある。
信長様の匙加減次第であろう。
明智殿は珠子ちゃんを叱りつけるが、珠子ちゃんも譲らない。
俺が宥めて、ここは信長様に伺ってみようということになり、条件として俺とどれだけ婚姻したいか自分の気持ちを文にし、それを俺が信長様に見せると言うことにした。
明智殿はこんなことに信長様を巻き込むなどと恐れていたが、こういうことこそ信長様は楽しんで介入する。
俺としては京周辺の守りを任されている明智殿と懇意になれれば万々歳なのであるが……さてさてどうなることやら。
FateGOでも松永久秀バ美肉してて草