【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ふむ、なるほどのぉ……」
翌日、俺は岐阜城に向かい、事の経緯を信長様に説明をした。
明智光秀殿の娘で、自分を気に入ってくれているが、互いに身分があるので、ここは信長様に伺おうと。
「馬、市とは仲良くやれているのか? 他の嫁達共仲良くやれているのか?」
「それは勿論。昼は一緒に食事を取り、夜には全員で交わります。勿論、全員満足させているという自負はあります! それに子宝にも恵まれているので……」
「ふむ……であるか……」
信長様は思考した末に
「馬、明智の娘を娶るのは別に良い。本人同士が納得しているのであればな」
「ありがとうございます」
「ただ、馬も分かっていると思うが、派閥になっても困る。そこでだ、猿(羽柴秀吉)の息子に馬の娘を嫁がせる計画を前倒しにしろ」
「かしこまりました」
現状信長様は方面軍を作ろうという動きをしていた。
まず俺の北陸方面軍。
今は加賀一向一揆の鎮圧を目的としていたが、将来的には対上杉家を見据えての配置である。
次に畿内方面軍。
これは明智光秀殿が任されていて、主に京周辺の治安維持を目的とした戦力であり、京から美濃までの守りも任されていた。
続いて対石山本願寺軍。
現在は佐久間信盛殿が担っているが、戦線は膠着気味。
そして対武田を信長様が注力して居るという形で、柴田のオヤジ殿、秀吉殿、滝川一益殿などの方面軍を任せられる諸将が控えている。
丹羽長秀殿は信長様より安土という土地に織田家の権力の象徴かつ、政権運営が行える巨大な城の築城を任されていた。
そんな巨大化した織田家は勿論派閥というのが存在する。
一番大きな派閥は佐久間信盛殿の派閥で抱えている家臣も多い。
しかし、その家臣達を有効的に活用できていないと信長様は度々叱っていたのであるが、直る気配が感じられない。
次に大きな派閥が柴田のオヤジ殿の派閥である。
尾張派と呼ばれる派閥で嫡男である織田信忠様の支持母体でもあり、信長様の親衛隊から武将に成り上がった前田利家、佐々成政、河尻秀隆、池田恒興などそうそうたる顔ぶれが揃っている。
あとは旧美濃派閥であり、元々森可成様が管理していたが、森様が戦死したため派閥は解体され、旧美濃三人衆と明智殿、そして俺がその派閥を分割継承し、織田家内の求心力は一気に低下したのだが、稲葉一鉄殿の息子である稲葉重通を俺は家臣にしているし、美濃派閥の象徴であった織田信道様が越前に身を寄せることになったこと、そして今回の明智殿の娘珠子の側室入りで分裂していた美濃派閥が再び纏まるのではないかという危機感を信長様に抱かせてしまっていたのである。
もっとも、信長様は俺が派閥闘争をするとは思ってないので、こうやって忠告を入れてくださっているが……。
あとは浅井旧臣を吸収した秀吉殿、伊勢方面で活躍している滝川一益殿、若狭一国を所領とし、若狭武田家の旧臣を吸収した丹羽長秀殿も小さいながら派閥を形成しつつある。
秀吉殿との婚姻は他所の派閥と揉めることは無いというアピールにもなるということである。
というか俺自身は解体される予定の佐久間信盛殿の派閥以外とは良好な関係を築けているし……。
「馬」
「はい」
「近くに寄れ」
「は!」
信長様は俺を近くに寄せると、手をいきなり握られ、ニギニギしながら
「別にお主の事を疑っているわけではないが、馬個人の人脈は織田の支柱となっている。公家達の人気や伊賀や甲賀の国人衆の人気。それに統治能力も十分にあると考えての配置だ。期待しているから焦るでないぞ」
「は!」
「馬は幾つになってもかわいい奴だな! 今夜久しぶりに交わるとしようぞ」
結局その晩、信長様に俺は捕食されるのであった。
翌日、明智殿の坂本城に戻り、珠子との婚姻をどうするかというのを信長様より預かった手紙を渡した。
そこには珠子はあくまで又兵衛の側室であるが市の様な大々的な婚姻の儀を執り行ってはならない事や、婚姻の儀をする際も越前で執り行うという条件を飲むのであれば許すと書かれていた。
大々的な婚姻の儀をやってはいけないのは市との上下関係を明確にするためなのと、婚姻の儀で越前を長期不在にするには情勢が不安定すぎるためという理由である。
俺は信長様との付き合いが長いので省略された意味もわかるが、明智殿は自身の娘を蔑ろにされているのではないかと少々気分が悪くなられていたが、俺が理由を説明すると納得していた。
「珠、又兵衛殿にくれぐれも迷惑をかけぬようにな」
「はい、父上! それと父上は珠だけでなく他の兄弟姉妹の婚姻も進めてください。子供達が可愛いのは分かりますが、行き遅れに皆なってしまいますよ」
「そ、それはおじさんなりの考えがあってだよ〜」
「それならいいのですが……では又兵衛様、今後共よろしくお願い致します」
「ああ、よろしく」
「なんですかあれ! 凄いですわ!」
越前に到着した珠子は一乗谷の発展具合に驚きつつも、その中でも一際異質な建物である神仏ガブリエル教会に目を輝かせていた。
中に入ると聖歌の合唱が行われており、洗脳……ゲフン、改宗した元イエスズ会宣教師の神父の方達とシスター達が並んで歌を歌っていた。
日本語に翻訳された賛美歌を歌っている彼、彼女達の姿にすっかり虜になった珠子は歌い終わった神父に色々な質問をしていき、満足そうに俺の所に戻ってきて
「素晴らしい教義ですわ! 珠感激しました!」
俺はこの邪教については頭が痛いだけなのであるが、珠子にはこれが魅力的に映ってしまったらしい。
以後珠子は教会に足を運び、洗礼を受けて、名前をガラシャと名乗ることをするようになったのであった。
「若い子連れてきて……今度はどこの子よ! 又兵衛!」
出迎えた雫がプリプリ怒り始めるが、まぁ何時ものことなので、とりあえずキスで黙らせる。
「んん! んんん!」
「あわわわわわ!」
珠子にとって大人の舌を絡めるキスは衝撃的だったらしく、顔を真っ赤にしている。
「ぷはぁ! 接吻(キス)でどうにかするんじゃないわよ!」
心做しか怒りがおさまっている気がする。
とりあえず珠子は明智光秀殿の娘で、俺の側室になることは信長様も認められていると説明する。
「ふーん……珠子」
「は、はい! 正室様?」
「雫で良いわよ。珠子、又兵衛はね、とんでもなく助平で絶倫よ。一人では絶対に快楽を堪えられないから嫁皆で協力して挑むこと。そうでないとイキ死ぬことになるわよ」
「そ、そんなになの?」
「今屋敷に他の嫁達も居るから聞いてみなさい。あ、金髪のマリアって娘が珠子と一番歳が近いし、性技に関して詳しいから聞いてみた方が良いわよ」
「側室になるのは問題ないのですか?」
「問題にならないわよ。だって今……十人以上嫁がいるのに、又兵衛を絞り切ったこと私達無いのよ。戦力が増えるのは良いわ!」
「あわわ……又兵衛様ってそんなになのですね」
「そんなによ!」
雫が手を引いて珠子を中に案内していき、俺は玄関で
「普通旦那を出迎えるんじゃないのか?」
と思いながら草履を脱いて、屋敷に上がるのだった。