【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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決戦上杉謙信 4

 謙信の馬をぶった斬った俺は、刀を構えながら謙信と対峙する。

 

「ほう、私の奇襲策を見破りますか……それで大将が単騎駆とは昔の私を見ているようですね」

 

「直感のままに動いたまでよ……だが謙信の策でこちらは大打撃だ。巻き返すには……謙信……貴方の首を取らなければ割に合わないからな」

 

「ほう……私を一騎打ちで倒そうと……良いでしょう。若造が……軍神の前に私は武神とも呼ばれていたのですよ」

 

 周囲の兵達も斬り合いをする最中、視界不良の影響で、他の人達は俺達の死合に手出しできない。

 

 最初に動いたのは俺である。

 

 謙信に向かって一太刀浴びせれば勝ちが決まると思い、一気に間合いまで近づく。

 

 しかし、謙信も直ぐに対応し、俺の刀が振るわれる前に、自分の刀を体に寄せて、防御する。

 

「ぐぅぅ!? なんて重さですか!」

 

「織田家一の怪力でもあるからな俺は! いや、今は息子に抜かれてしまったが」

 

 謙信は俺の攻撃を受け流し、俺に蹴りを入れて距離を取る。

 

 俺は蹴りを片腕で防ぎ、仕切り直し。

 

 再び距離を詰めると、今度は謙信が横払い。

 

 俺は刀の反り部分を使って受け流し、そのまま押し込み、鍔迫り合いへと移行する。

 

 謙信と顔と顔が触れ合うほどの距離、謙信は大汗をかき、俺は涼しい顔で鍔迫り合いを行っていく。

 

「くっ! 歳か?」

 

「いや、不摂生が祟ったんでしょう。体力が落ちてますよ!」

 

 鍔を弾いて、謙信の懐のガードを開ける。

 

 そこに刀の柄を押し込む。

 

「ぐうぅ!?」

 

 甲冑の一部が壊れ、謙信の着ている鎧が砕け散る。

 

 破片が周囲に飛び散るが、謙信の顔色が悪くなる。

 

 どうやら今の攻撃で肋骨が何本か折れたらしい。

 

「動くと肺に刺さりますよ」

 

「動かねぇと死ぬだろうが!」

 

 頭巾の布を口で噛んで痛みを堪え、更に斬り掛かってくる。

 

「でいりゃぁ!」

 

 謙信が振り下ろした刀に俺は合わせ、鍔で捕らえると、自身の刀ごと弾き飛ばし、刀を失った謙信の服を俺は素手で掴み、一本背負い! 

 

 ドシャリと雪の上に叩きつけられた謙信は口から吐血する。

 

 先ほど折れた骨が何処かに刺さって傷つけたらしい。

 

 噛んでいた白頭巾は口元が真っ赤に染まる。

 

 それでも闘争心は衰えておらず、雪を掴むと俺に投げつけてきた。

 

 雪を払い除け、俺は馬乗りになると、謙信の顔面に2発拳を叩き込む。

 

 噛んでいた白頭巾を吐き出し、俺にも口から吐かれた血の塊が当たるが気にせずに首を締め上げると、謙信は苦しそうに俺の手をどかそうと両手で掴んでくる。

 

「……」

 

 十数秒ほど締めると、謙信の手はいかなくうなだれ、気絶してしまった。

 

「……惜しいな」

 

 俺は謙信に渡していた竹製の水筒があることに気が付き、白濁の液体を謙信の口に突っ込み、無理やり飲ませた。

 

 すると男らしかった顔立ちが変化していき、みるみる中性的な顔へと変わり、髭もなくなっていった。

 

 剃っていた髪は白銀の髪は生え、胸も大きく膨らんでいく。

 

 俺は血濡れた頭巾で顔を隠し、壊れた鎧を脱がせて肌着姿にすると、担ぎ上げ

 

「謙信は津田又兵衛が討ち取った!」

 

 大声で叫びながら、掌握できた兵と共に、自陣へと戻るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 謙信の奇襲策から1刻ほど。

 

 津田軍は島の巧みな手腕で混乱から立て直すと、反撃に転じ、(毛受)高貞配下の部隊が乱戦地帯に突入すると、上杉軍を押し返すことに成功する。

 

 そして俺が自陣に戻り、姿を見せると、津田軍の士気は高まり、押し返して崩れた上杉軍を追撃に移る。

 

 上杉軍は謙信が居なくなったことで指揮系統が混乱し、多大な損害を出して陣を下げた。

 

 ただそれでも上杉軍を完全に崩すには至らず、態勢を立て直され、押野砦から2キロ前進した位置で戦線は一時膠着。

 

 両者睨み合いが続いた。

 

「……なぜ生かして捕らえたのだ」

 

「殺すには惜しいと思ってしまったのだ……謙信よ」

 

 俺は手を縛られて、地面に座らせれている女体化した謙信にそう話す。

 

「……敗戦の将は散る定めぞ……」

 

「それでも情が湧いてしまったのだ……それに今のあなたを誰も謙信公とは思わない」

 

「む?」

 

 俺は鏡で今の謙信の顔を映す。

 

 そこには中年の強面だった謙信の姿はなく、中性的な銀髪の美少女がそこに居た……。

 

「まさか……これが私……なのか?」

 

「声も変わってしまっているでしょう」

 

「……確かに」

 

 前までは酒に焼けた様な声をしていたが、今の謙信は透き通る様な美声で話している。

 

「……胸も大きくなっているな」

 

「ええ、立派な胸で」

 

 紐に縛られていて、余計に巨乳が引き立っている。

 

「なぜ私は女になっているのだ? これが噂に聞く津田又兵衛の妖術か!?」

 

「まぁ妖術と言うよりは神通力なのですが……あのままだと出血して死んでいたので、無理やり生かすには私の力を使うしかなく……」

 

「はぁ……軍神と呼ばれた私が女の体になってしまうとは……世の中には奇妙な事があるのだな。で、上杉軍はどうなったか?」

 

「態勢を立て直して踏ん張ってますよ……誰が指揮しているのやら」

 

「斎藤(朝信)辺りが指揮していそうであるな。ただ私が捕らわれたことでもう攻勢に移ることはできないだろう。上手く退くのが最善の手よ」

 

「上杉軍って謙信公以外に大軍を動かせる人って居ないのですか?」

 

「今は斎藤くらいだな。前までは宇佐美や柿崎も居たのだが、宇佐美は上杉の事を思ってか長尾政景を誅殺した時に自らも死におった。柿崎は織田と繋がった形跡があったから粛清したが……お陰で軍を動かせるのがほぼ居ないのだ」

 

「それは……致命的では?」

 

「だから私はここで決着を着けるつもりだったのだが、領土欲に目が眩んだ家臣達が七尾城を攻めたいだの、大雪での戦は前例がないから攻めは厳しいだの色々言いおってからに……」

 

 謙信は観念したのか、家臣達の愚痴を言い始めた。

 

 話を聞いていると、家臣に常に振り回されて、戦くらいしか自分の意思を反映させることができないくらい、日頃の権限が徐々に少なくなっているし、後継者争いで水面下で家臣達が派閥を作るわ、自分の息子を当主にしたい姉が煩くなるわでストレスが凄いことになっていたのだとか……。

 

「とりあえず梅干しでも食べます?」

 

「食べる!」

 

 俺は謙信公から貰っていた梅干しを手の縄をほどいてから譲ると、胡座に座り直して、梅干しを口に入れた。

 

 すると顔が真っ青になり

 

「うわ! 何だこれは! 塩っぱ!」

 

「謙信公が先ほどまで食べていた梅干しですよ」

 

「こんなもの食えたものではないじゃないか!」

 

「そりゃこんな塩っぱい塩の塊みたいな梅干しを食べてたら病気になりますよ……こっちの梅干しはどうですか?」

 

「どれ? ……甘酸っぱいな……こっちの方が美味い……味が全くボヤけないな!」

 

「蜂蜜で漬けた梅干しです。女体化する際、何故か体は健康体になるんですよね。歯が欠けていたりしても治りますし……まぁ久しぶりの健康体を噛み締めてはどうですか?」

 

「うむむ……なんとも面妖な……」

 

 観念したのか謙信は自分の胸を揉んだり、髪の毛をいじったりしながら大人しくしているのであった。

 

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