【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「ほぉ……ここが津田家の屋敷か……」
謙信こと銀子を越前の津田屋敷に招待をし、とりあえず居候してもらうことに。
嫁達には色々出身が複雑な方なので詮索はしないようにと伝え、部屋を1室貸した。
なお……同じく性転換組であるマリアこと松永久秀には銀子の正体が謙信その人であると伝え、早速3人で茶室に籠る。
「全く……又兵衛。まさか軍神と呼ばれた謙信を女にするとは……節操なしめ」
「しゃーないだろ……本当は殺すつもりだったんだけど、今後のことを考えると容姿と性別を変えて生かせた方が日ノ本の為になると思ったんだよ」
はぁ……とマリアはため息をしながら、愛用の平蜘蛛と呼ばれる茶釜を使い、湯を沸かし始める。
ただ湯を沸かしている中に白い液体が入ったコップを何個も入れていく。
「湯を沸かすだけではないのか?」
「普通の飲み方だけだと飽きるであろう。牛の乳を温めておる」
「ほう……」
「む? 謙信は牛乳を飲んだことはあるのか?」
「いや無いが、大陸では馬乳酒と呼ばれる酒があることや、天竺の教えで仏(ブッダ)が牛の乳を飲んだ逸話は知っていたから飲める物であると知識では理解しているが……飲んだことは無いな。腹を壊さないのか?」
「腹が弱ければ壊すが、牛の乳は大陸では薬としても活用されておるからのぉ……まぁ乳は赤子の血肉を作る上で必要な源じゃて。好き嫌いはせずに飲んでみよ」
マリアは暖まった牛乳で抹茶の粉を溶かして抹茶ラテを作る。
茶器は越前で作られている陶器で、赤茶色の容器である。
飲みやすいように円柱型の細長い作りになっていた。
「ん? 茶器を回して飲むのではないのか?」
「本来の茶席ではそうじゃが、喉を潤すための茶じゃ。各自好きな時に飲めば良かろう」
「そういう物か」
銀子はコップを掴むと、少し抹茶ラテを飲む。
「うむ、茶の苦味が牛乳でまろやかになり飲みやすくなっておるな。これはこれで美味い」
「ならよかったのじゃ」
全員抹茶ラテを飲んで喉を潤してから話し合いが始まる。
まずは銀子が俺の神通力について聞いてくる。
「又兵衛は妖怪なのか?」
「いや、神の使いみたいなものらしいのじゃ。のぉ、又兵衛」
「まーな。俺も実は1度神と出会っている。少し話をしてから転生して今世を生きている。神通力は……まぁ神の力の一部が使えるとでも思ってくれや」
「ふーん」
銀子は興味深そうに呟きながら、質問を続ける。
神通力の制限とかは無いのかという点を聞かれたが、死者を生き返らせたりすることはできないが、俺の力は性に関することに長けていること、それと俺が雄として強い為、人に力を一定以上送り込むと女へと変化してしまうと説明する。
「やはり妖怪の類ではないのか?」
「謙信……今は銀子か。そちが疑うのは無理もないが、儂も天に召されたはずの三好長慶様と性転換する際に話をすることができた。銀子はそのような事は無かったのか?」
「無い! その様な事があれば毘沙門天が真っ先に出てきそうであるが、死んだ父を含めて出てこんかったな!」
「信仰が足りんのでは無いのか?」
「それこそ馬鹿な話だ。私は毘沙門天に身を捧げた故に女を抱くことを一切絶っていたのだぞ」
「つまり童貞ということじゃな……いかんぞ銀子……武士たるもの子供を作ってなんぼじゃて」
流石セックスハウツー本を作るくらいの女好きのマリア……銀子に武士の心得を教えているよ。
「何、せっかく女になれたのだから、又兵衛の子供でも産んでみれば良かろう。又兵衛は凄いぞ! 儂も交わったが、気持ちよくて昇天しそうになったほどじゃ。それに子供は良いぞ!」
「……そんな気持ちには今はなれんな」
「まぁ決心は人それぞれじゃ、若返ったのだから新しい人生を謳歌すればよかろう」
抹茶ラテを飲み、マリアは箱を取り出した。
箱にはクッキーが仕舞われており、ジャムが宝石のように輝いて見えた。
「ほれ食べてみい、女の体だと甘い物の方が美味しく感じるのじゃよ」
どれと銀子はクッキーを1つ掴んで食べると、頬を押さえて美味しそうに身震いしていた。
「甘くて美味いな!」
「じゃろ? 蜂蜜、小麦粉、鶏の卵、あとは牛の乳で作った油のバターじゃったか? その食材で作る焼き菓子でな。カリッカリに焼くと数週間は食べれるんじゃ。あとそっちのジャム入りのを食べてみよ」
「これか? 赤黒いが」
「それは桑の実を使ったジャムじゃな。まぁ食うてみい」
「……うん。美味い。口の中で甘酸っぱさが広がるな」
「このジャムは壺に入れてカビが生えない様にしておくと長期間食べることができる甘い液体じゃな。又兵衛が発明したんじゃ」
「ほぉ……自分で食を開発するのか」
「ええ、まぁ……面白いよ」
「うむ……調理は嗜み程度しかしたことは無いな。この際だ習ってみるか」
「又兵衛は大名として忙しいから、又兵衛の息子の(毛受)継成が腕が良いぞ」
「ほぉ……」
クッキーを齧りながら、銀子は何かしたいことは無いのかとマリアが聞く。
せっかく自由になれたのだから楽しめばよかろうと言っている。
「とりあえず又兵衛から小遣いを貰って越前を見回ってみよ。忍びが見張っているから脱走は不可能と思った方が良いぞ」
「……まぁ越後との違いを見せてもらおうか」
銀子は俺に指差して宣言するのだった。
「又兵衛様! 綺麗な人でしたね……えっと銀子さんですか?」
珠子が俺にそう聞いてくる。
出産して授乳期間中の珠子は幼いながらに胸が大きく膨らんでいた。
「そうだな。仲良くしてやってくれ」
「はい! 銀子さん! 一緒に将棋でもやりませんか!」
人見知りをしない珠子は早速銀子に突っ込んでいった。
それを見ていた雫が
「珠子が居ると場が明るくなるわね。そういう子ばかりだと煩くなるけど、何人か居ると雰囲気が良くなるわね。あと珠子が嫁の中だと最年少だから皆可愛がっているし」
「奥を仕切らせて悪いな……雫」
「なに言ってるのよ! 私は一応正室よ! 市とかに出身は負けてるけど! 何年の付き合いだと思っているのよ……」
「それもそうだな。どうだ? 今夜一戦」
「受けて立つわよ。また男児孕むから覚悟しておきなさい! あと玉や鈴、はじめもお腹が空いているから孕ましてもらわないと」
「戦続きで女を抱けて無かったからな。沢山種つけるから覚悟しておけよ」
「ええ! 受けて立つわよ!」
今年もありがとうございました!
来年には1巻が発売できるように頑張りますので種付けおじさんをよろしくお願いします!
それでは皆さん良いお年を!