【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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石山大侵攻……敗北

「これが上杉軍の雪上行軍の秘訣か」

 

「かんじきを使っていたのか」

 

 上杉軍の異常な雪上での行軍速度の原因を解明していたところ、かんじきとソリを用いた輸送が行われていた事が発覚した。

 

 かんじきを使えば確かに雪上でもある程度移動することができるが、素材に藁だけでなく竹を編み込むことで重量を上げずに強度を高めていた事も、判明していた。

 

「津田軍でも雪上戦闘についての研究を進めましょう」

 

「そうだな」

 

 島が俺に対してそう言うが、確かに雪上戦闘については研究を続けた方が良いだろう。

 

 上杉軍に打撃を与えたことで、あとは柴田のオヤジ殿と協力して越後を締め上げるのみ。

 

 越後を倒せば北陸方面軍は解散されて、恐らく東北もしくは関東方面に移動となることだろう。

 

 信長様も俺が越前、加賀、能登、そして越中の4国の領有が限界で、京の近くに俺を置くか、それとも東北方面に送るか悩んでいるんじゃないだろうか。

 

 現に、北陸方面軍の管轄している領地は140万石超える土地を有している。

 

 分割するとはいえ、京近くに大領を有しておくのは政治的に許されないだろうし、土地を取り上げるとなれば理由が必要になる。

 

 これは悩むだろうな……。

 

「とりあえずこっちはなんとかなったからあとは石山がどうなるかか」

 

 まぁ8万を超える大軍を動員している織田軍が負けるとはおもっていなかったが……。

 

「し、失礼します!」

 

 すると稲葉重通が俺と島で話し合っている部屋に飛び込んできた。

 

「どうした? 血相を変えて……畿内で動きでもあったのか?」

 

 俺は冗談っぽく言うと

 

「なぜわかったのですか! 石山を包囲していた織田軍が各所で蜂起した一揆勢による攻勢で崩れたのです! また信長様が足に銃弾が命中したとのことで、指揮を明智光秀殿が引き継ぎ、敗北となった次第で!」

 

「な、なに!?」

 

 信長様があの状況下で負けた……。

 

 しかも負傷しているだと。

 

「又兵衛様! 何処へ!」

 

「信長様の元に駆けつける! 傷が膿化した場合治せるのは俺だけだ!」

 

「直ぐに馬廻りを!」

 

「いい、上杉軍と停戦したばかりで、俺が京に向かった事を察すれば再度上杉軍が動くかもしれない。島! 上杉軍の様子を監視しておけ。全権を任せる。重通、お前は大蔵長安と共に支配下に加えた能登と越中の領地の把握を迅速に進めよ」

 

「「は!」」

 

 俺は直ぐに馬に飛び乗って信長様の居る京へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「それで飛び出してきたと」

 

「は!」

 

「相変わらず馬は余の事が大好きだな! 大丈夫だ。弾が掠っただけで大した事は無い」

 

 信長様は京では無く、拡大を続ける安土城にて療養していた。

 

 本人が言うようにかすり傷だったらしいが、乗っていた馬に弾丸が命中し、落馬した衝撃で意識を失ってしまったらしい。

 

 それで信長様が鉄砲で狙撃されたと勘違いした織田軍は大混乱に陥り、今回も石山本願寺を倒す事が出来ず、撤退してきたのだとか。

 

 なお現在石山本願寺方面は明智光秀殿率いる4万の軍勢が引き続き取り囲んでいるとのこと。

 

 そのまま明智光秀殿は畿内軍へと格上げとなり、北陸方面軍、東国方面軍と同じく、権限が拡大されて、大将の1人へと抜擢された。

 

 それに現在編成中の滝川一益殿が大将の関東方面軍と羽柴秀吉殿を大将に抜擢された中国方面軍、俺が将来水軍を拡張させた海軍が必要になると言っていたので、織田水軍も九鬼嘉隆が規模を拡大させていた。

 

 水軍の九鬼殿は別として、筆頭家老の柴田勝家殿を入れた、俺、明智光秀殿、滝川一益殿、羽柴秀吉殿の5人が中華の三国志にちなんで織田五虎大将軍と呼ばれるようになっていた。

 

「世間では又兵衛が大将軍だと呼ばれておるぞ、となると余は皇帝になるのか?」

 

「皇帝は京の帝がおりますのでお戯れを」

 

「それもそうじゃな……忘れてくれ」

 

 信長様は俺に体を揉んでくれと頼まれたので、密着しながら体を解していく。

 

 若い小姓達は俺と信長様が密着するのは家臣と主君で不味いのではと思い、オロオロしているが、信長様が目配せをすると、部屋から退室していった。

 

「上杉謙信を討ち取ったというのは本当か?」

 

「一騎打ちはしましたが、首は取れませんでした。倒した感触はあったのですが、確実にとは」

 

「そうか……越後侵攻は又兵衛ならどうする?」

 

「私なら……様子を見ます」

 

「ほう」

 

「上杉家の収入源であった青苧の市場は越前で栽培されている木綿と大量生産ができるようになった越前布により京の繊維需要が満たされておりますので、資金繰りは厳しい状況になるでしょう」

 

「それに津田軍は上杉軍を撃退し、越中まで侵攻に成功できたので、対外的にも織田軍が上杉軍を押しているように見えるため、他国の上杉に対する期待度も減ることになるでしょう」

 

「あとは上杉謙信が亡くなっていた場合、もしくは指揮が取れなくなっていた場合、謙信公は後継者を指名していなかった為、上杉家が割れる可能性もございます。その様子を見てからでも良いかと」

 

「うむ……なるほどのぉ」

 

 あとは今回の石山合戦での敗北で出た損害分を北陸方面軍から補填した方が良いと思っていた。

 

 これは口に出さなくても信長様なら気がついてくれると思うが……。

 

「……つくづく石山での敗北が痛い。日ノ本統一が4年は遅れる事となった」

 

「明智殿の手腕であれば石山を抑えておくことは可能でしょう。その間に何処を片付けるか……になるでしょうか」

 

「うむ……となると紀伊だな」

 

 今回の石山合戦の敗北原因に紀伊の雑賀衆による傭兵達が織田軍に多大な被害を与えていたと信長様は語る。

 

 なので石山を明智殿が抑えている間に紀伊を占領し、更に石山の包囲を縮める方針で動くことにしたのである。

 

「又兵衛の軍には雑賀から引き抜いた者も多く居たと思うが……」

 

「はい、ただ現在雑賀で指揮を執っている指導者層とは敵対した者が殆どなので昔の仲を理由に裏切ることはないでしょう」

 

「うむ……それならば又兵衛は秋まで戦力を回復せることに努めよ」

 

「は!」

 

「秋以降……紀伊に侵攻する」

 

 その後、久しぶりに信長様と床を共にし、精気を注入。

 

 元気になった信長様は帰蝶様が妹分の様に可愛がっていた峰丸こと織田信道様の乳母を努めていた女性の旦那が亡くなった為、そのまま帰蝶様の侍女を務めていたが、そんな女性に手を出したらしい。

 

 帰蝶様は他の女性と盛られるくらいならと許可を出したらしいが、この調子だと、信長様も新しい子供ができそうだな……と思うのであった。

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