【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「父上やっぱりすげーな……でっかい舵木通し(カジキマグロ)を殴って捕らえて」
「遠くのそれを見えてるお前らも普通の人からしたら十分化け物だと思うぞ」
「そうか? 近国兄貴、俺父上や他の兄様が凄すぎて感覚おかしくなってるのかな?」
そんな事を言いながら竹製の釣り竿でメートル超えの石鯛やウツボなんかを釣り上げていく。
持ってきた桶は1刻(2時間)もせずに大きな魚で溢れかえっていた。
「そう言えば父上、舵木通し捕まえてから姿が見えねぇけど」
「ああ、白母さん連れて岩陰に向かったからどうせヤッてると思うぞ」
相変わらず性欲の凄い父上だこと……元天使の俺でも呆れ返ってしまう。
まぁその子供である俺達にも能力の一部が引き継がれて、異能みたいなのは使えたり使えなかったりするが、怪力だったり、人の倍近くデカい男根だったり、体格だったりは親子だなってわかるようになっている。
信長様はそんな体形の男子が大好きで、小姓に欲しいと弟の何人か連れて行かれたりもしているし、重臣の柴田様や滝川様、丹羽様なんかも息子の側近として兄弟の誰かを欲しいと父上にねだり、何人か連れて行かれたりもしていたが……。
お陰で男子は既に元服済みだった俺と1歳下の玉母さんの長男の吉治と2歳下のはじめ母さんの次男仁成と奈々母さんの長男の秋定しか年下の話せる男子は残ってなかった。
今家に残っている男子だと更に4歳下の弟になってしまうが、4歳下になるとまだ数え年で6歳だから幼すぎるんだよな……。
「そろそろ釣りも引き上げるぞ」
「えーもうですか? 近国兄様!」
「そうですよ兄上、まだ日は高いですよ」
「いや、釣れすぎて桶に収まらなくなってるからな。今日の晩飯に、寺で待っている家臣達にこれ渡さないと……それに」
俺は父上が倒したカジキマグロを家臣達が運んでいるが600キロを超える巨大を運ぶのが辛そうだから手伝ってやらねぇとと指さす。
それもそうですね……と弟達も辛そうにしている家臣達を見て、手伝いに向かうのだった。
「ふう! 白よかったぞ!」
「ハァハァ……私も気持ちよかったです!」
白いVレグを着用していた白はズレて乳首や様々な箇所がキスマークが付き、白濁液まみれになっていた。
俺は海パンを履き直すと、白の水着を直してから、お姫様抱っこをして皆の元へと戻っていった。
「あ! 又兵衛! 白とヤッてたわね!」
「ああ、ちょっとムラムラしちまってな。なんだ雫もしてほしいのか?」
「そ、そんなんじゃないわよ!」
いつもの夫婦漫才をしてから、カジキマグロを運んでいる息子達を見ると、荷車に乗せて、綱で引っ張っていた。
「あいつらも力持ちだな」
600キロオーバーのカジキマグロを荷車に載せているとはいえ、自家用車を綱で引っ張っているようなもんだ。
それを軽々引っ張る姿は頼もしさを感じる。
「お前も手伝ってやれよ音将」
そこには妹達をヤバい目で見守っているシスコンこと音将が浜辺の端で座っていた。
息子達の中では一番の怪力だから手伝ってやれば良いのにと声を掛けたら
「父上、あいつらが居れば十分ですよ。それよりも妹達が溺れないかの方が心配です」
「はぁ……お前の妹好きは病気の域だな……ちゃんと子供作れるのか?」
「できれば妹の誰かと……」
「……血の繋がってない奴にしろ、茶々か初のどちらかだ」
「う、うう……茶々ちゃんと初ちゃん……どちらにお兄ちゃん、お兄様と呼んでもらうか……」
「ダメだこりゃ……」
流石に俺の始末なのに息子達だけにやらせるものアレなので、俺もカジキマグロを運ぶ手伝いをし、寺で料理を振る舞った。
もっとも焼いたのと煮込んだ料理が殆どで刺身で食べたい奴はうちの息子達以外は遠慮していた。
俺も久しぶりに刺身で食べたが、生は経験則でアニサキスや食中毒に陥るのが分かるのだろう。
まぁ俺はそんなヤワな体をしていないので普通に醤油に付けて味わうけど。
流石に食いきれないので寺の坊さん達に領民を呼んでもらい、魚を振る舞って、なし崩し的に宴会となり、どんちゃん騒ぎをするのだった。
「いやぁ~、又兵衛。今回は楽しめたぞ」
「利家か、海水浴は楽しかったか?」
「ああ、子供達と海で遊ぶというのは楽しかったが、浮き輪だったか。あれを膨らませるのは辛かったな。お陰で頬が張ってしまってな」
「なんだ言ってくれれば足で踏むことで空気が入れられる空気入れを貸したのに」
「それを早く言ってくれよ……」
利家と竹製のカップに酒を入れて乾杯する。
「かぁ! 越前の酒は美味いな」
「元々水が綺麗だし、朝倉家も酒蔵を幾つも経営していたからな。そこに明や南蛮の酒の作り方を教えれば職人達は勝手に美味い酒を作るように努力するよ」
「相変わらず内政上手だな又兵衛は……又兵衛が越前を焼かないように信長様に言ったんだろ?」
「さぁ? 使えるとは言ったけどな」
「……お陰で越前は戦乱の時代なのに、とてもよく栄えているからな。俺も又兵衛に領地を貰って大身になったが、感謝しているんだぜ!」
「そうか……利家はどうするんだ? 正直俺の与力だと一国の領主となるは難しいぞ。領地はそのままにしてやるから柴田のオヤジ殿の与力に推薦しようか? そうすれば信濃半国か弱体化した上杉倒して越後の一部を所領にすることもできるだろうが」
「なに、越中に領地替えでも文句言えないのに、越前に追加加増で8万石も貰っているからな……城も2つも管理を任せられているし、あまり欲を出し過ぎれば罰が当たるというものよ」
「そうか……それなら良いが……悪いな利家。いつかは10万石は任せるからな」
「それが聞ければ頑張れるものよ!」
流石に寺で嫁と交わるのは罰当たりだと思って自重し、翌日には一乗谷へと戻っていた。
政務を任せていた大蔵(長安)や武田(恵瓊)の2人からは特に問題が無かったと聞き、俺が現場を離れていてもある程度回せる程文官が育ってきたと思って良いかもしれない。
そして秋には紀伊攻めが始まる為、準備を整えていく。
「(土橋)守重、(的場)昌長、隊長格のお前らに聞いておくが、故郷の紀伊を攻めることになるが大丈夫か?」
「問題ない! 鈴木やその他の家が土橋家を攻撃したのは忘れてねぇからな。報復の機会を与えてくれて感謝しているくらいだ!」
「それに僕はもう津田家の重臣だからね。今さら紀伊って言われても屋敷は越前にあるし、十分な給金は貰っているからね」
「それなら良いんだ……紀伊攻めは津田家が先鋒として入ることになる。気をつけるべきは雑賀の狙撃か?」
「そうですね。あと道が広くないので軍の移動も制限されます。なので津田家の騎馬戦力は使えないと思った方が良いでしょう」
紀伊の地図を広げると、信長様の話では雑賀衆にも幾つか派閥があり、そのうちの浄土真宗ではない派閥の者達を離反させることに成功し、大きな敵としては雑賀衆で最大の戦力を有している鈴木家の雑賀荘と呼ばれる組織に狙いを定め、攻撃する予定であった。
「雑賀荘に向かうには山を通る山道と浜辺を通る2つの道がございまして、僕は山道をお勧めします」
「何故山道なのだ? 潜みやすくて守備に向かないか?」
俺は的場の意見に疑問を投げかけると、秋頃は野分……台風が多く、浜辺では高波が押し寄せる可能性がある事と、山道の防衛線を抜いてしまえば、雑賀は持久戦をしたくとも石山との連係が取れずに瓦解する可能性が高いと的場は言う。
「現状雑賀衆で最大勢力である雑賀荘の鈴木家がもし土橋家と敵対せずに協力していたら危なかったのですが、他の雑賀衆の勢力は織田家に戦わずに降伏を願い出ているので、鈴木家さえ倒してしまえれば紀伊の国人勢力は崩壊するでしょう」
狙うなら下手に長期戦にするのでは無く、火力の優位性を活かした短期決戦で決着を付けるべきとも言われた。
「大軍で2つの道を抑え、できれば海も封鎖できれば詰ませられます」
「……滝川殿と九鬼水軍に協力を依頼しないとな」
着々と紀伊攻めの準備が行われていくのだった。