【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「なんかうじゃうじゃキノコ生えてるじゃん……」
食べられるキノコばかりであるが、精子をぶっかけた枕木から松茸、椎茸、マッシュルーム、ヒラタケ、マイタケ、ブナシメジ、キクラゲ、なめこ、エリンギ、エノキタケにスッポンタケという男根にしか見えないようなキノコがうじゃうじゃ生えていた。
集合恐怖症の人が見たら恐怖しそうな光景である。
「これじゃあ栽培するってのは無理だな」
そう思いながらキノコを収穫していき、とりあえず種類ごとに分けてみたが、売り物にするには種類が多すぎて量が足りないので、自分で食べることにした。
乾燥させて干せば長期保存もできるし、毎日きのこ鍋をしても冬の間には食いきれないくらいの量のキノコは収穫することができた。
というか全部が全部デカい。
松茸やマッシュルーム、椎茸なんかは巨大化して俺の手の平より傘部分がデカくなっているし……。
まさにチート様々である。
「というかスッポンタケは本当包茎の男根みたいな形しているな……匂いも悪臭の類だし……」
スッポンタケは開いた傘の部分は食べられないが、それをそぎ落とした芯の部分は食べることが出来た。
中華では高級食材の一種とされている。
とりあえず嫁達にも協力してもらって種類ごとに分けながら収穫していくが、枕木にびっしりと生えているキノコを見て、嫁達も困惑していた。
「鈴、キノコってこんな感じに生える物だっけ?」
「はじめ様、あたしもこんな感じで生えるキノコは初めて見ました……」
まぁ困惑しながらも収穫していき、軒下で天日干しをして、干しキノコを作っていく。
大量に収穫出来たので、家でも食べるが、量が多かったので利家や秀吉の長屋を訪ねてお裾分けもしてあげた。
「ほほ、立派なキノコだな!」
「オイラもこんな立派なキノコは初めて見たな!」
「干し椎茸もいいけど、ここは焼きキノコといこうじゃないか」
そう言って、干しキノコではなく、採れたてのキノコを半分に切り、それを鍋でステーキの様に焼いていく。
「おお、いい香り」
「美味そう!」
焼いたキノコにたまり味噌の汁を垂らして、完成である。
「あっつ! あっつ!」
「うめぇ~!」
勿論利家の奥さんであるまつさんや秀吉の奥さんのねねさん、利家の長女もキノコのステーキを食べて美味しそうな顔をしている。
「秀吉殿ねねさん妊娠して良かったですね」
「本当だ。ちょうどオイラが又兵衛にねねを診てもらった時に妊娠したらしくて、お腹で大きく育っているだぎゃ!」
「ごめんなさいね、夫は初めての子供が出来たから凄いはしゃいでしまって」
「いやいや、子供が増えることは良いことですし、あとは無事に産まれてくることを願いましょう」
「そうね」
「そうだな! オイラも子供に立派な父親であるように出世しないといけねぇだ!」
そんな話をしながらキノコを食すのであった。
「……なんか蜂蜜の量多くね?」
養蜂も始めていたので、ミツバチが冬眠する前に蜂蜜の採取をしないとと思い、巣箱の様子を見に行くと、巣箱からほのかに甘い香りが漂っており、こりゃ蜂蜜も沢山採れるかなーと軽く考えていたが、実際に蜂蜜を採取してみると1箱で用意していた1斗(18リットル)入る壺が満タンになってしまった。
「まてまて、ニホンミツバチって蜂蜜を沢山作らない品種で、多く作ると言われるセイヨウミツバチでも1箱で5リットル程度って前世で見た番組で言っていたよな……」
でも目の前には巣箱の一部を削り取っただけで1斗の壺が並々と入っている。
「……他の巣箱にもこれくらい採取出来るってわけではないよな?」
はい、油断していました。
俺が品種改良したせいか、セイヨウミツバチ以上の養蜂適性(巣箱から移動をあまりしない)かつ、大量の蜂蜜を溜め込む性質を併せ持ったらしい。
「そう言えば働き蜂って皆牝だよな……それが俺のチートに反応して急激に進化した可能性が……」
そんな恐ろしいことを考えながらも庭にならんだ1斗蜂蜜が入った壺が10個……並んでいた。
「これ異常だよな……」
「異常ですね……」
並べられた壺を見ながら、横にいたはじめも同じ感想を抱いたらしい。
「ちょっとこの量を個人で商人に持っていったら怪しまれますね……城に持っていって城主様や織田の殿様に買い取ってもらうことはできないでしょうか」
「そうだな……そうだよな……ちょっと交渉してくるわ」
というわけで尾張上野城に居る左近様に蜂蜜が大量に採取出来たことを報告し、家で使う分を除いた9個の壺を上野城に運び込んだ。
「なるほど、又兵衛の家で作っていた蜂蜜が大量に採れすぎたと」
「はい、商人に売ろうにもこの量をいきなり持ち込んだら怪しまれると思いまして」
「うん、多分怪しまれるし、蜂蜜が大好きな信長様が献上しなかったことにブチギレるね」
「あっぶねぇ……」
「お金はどれぐらい欲しい?」
「今年8人子供が生まれたので嫁達を食わしていくために50貫ほど金があれば良いのですが……」
「うん、この量の蜂蜜をすべて売るとなったら1壺で50貫は堅いね。わかった。2壺僕の方で買い取るから75貫与えよう。で、残りの7個の壺は全て信長様に献上しよう。多分悪いようにはされないと思うから」
と、左近様からアドバイスをいただき、左近様のはからいで信長様に大量の蜂蜜が献上された。
すると直ぐに俺は信長様の居城の清洲城に呼び出され、登城する。
広間に通されて、頭を下げていると、信長様が部屋に入ってきて壇上に座る。
「面を上げよ」
俺が顔を上げるとニヤニヤしている信長様が居た。
「確か又兵衛だったな。前に美濃の地図を作った」
「名を覚えて頂き感激でございます」
「よいよい、林に勉強を習っていたハズであるが、進んでおるか?」
「は、はい! 大変勉強となり! はい!」
「そうかそうか、余は大好物の蜂蜜をあれほど献上してくれて大変気分が良い。お主年は幾つだったか」
「16になります(数え年)」
「ふむ……少し年がいっているが……うむ、今は左近の城勤めであったな」
「はい!」
「お主を左近の与力の任を今解き、余の小姓として働け」
「は、はっ!」
「働きに応じて加増も考える。加藤!」
「は!」
「小姓頭の加藤弥三郎だ。こやつに小姓の仕事を教えてもらえ……加藤、又兵衛を小姓として教育しろ」
「はい!」
というわけで俺は蜂蜜を献上したら気に入られて小姓として信長様の側仕えに出世? するのであった。
その日は直ぐに帰され、小姓となったからには家に帰れる時が今までのようにはいかず、住み込みで城勤めとなってしまうので、嫁達に事情を話し、田植えや稲刈り等の畑仕事や家畜の世話、赤ん坊達の育児を任せっきりになってしまうことを詫びた。
「何を言っているんですか! 又兵衛様なら直ぐに出世して城を任せられるくらいになると思いますので、私達は私達で家を守りますので、家のことは心配せずに出世のことを考えてください!」
とはじめから励まされた。
「逆に出世できなかったら許さないんだから!」
と雫はいつも通り……。
その次の日には左近様にも報告に向かい、左近様からも
「そんな予感はした。又兵衛が家を留守にしている間、僕も家臣を送ったりして支援するから安心して信長様に仕えて来なさい」
「あ、ありがとうございます左近様! このご恩は忘れません!」
「はいはい、戦場で返してくれれば良いから……織田家の為にこれからも頼むよ!」
「はい!」
こうして俺は信長様の小姓として清洲城勤めになるのだった。
次の話、凄いことになるので覚悟しておいてください