【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「又兵衛、なんか腹痛が繰り返しているし、股から尿とは別の汁が大量に溢れ出したんだが」
「おいおい、破水しているじゃねぇか。銀子、出産の前兆だ。というよりもう出産が始まってるぞ」
雪がしんしんと降る中、銀子が産気づき、俺は慌ててお産の準備にとりかかった。
一応うちの屋敷では毎年5人以上子供が産まれてくるので産婆ならぬ助産師が普段は侍女として働いているが数名待機している。
今年に入ってからは珠子が2人目の出産を迎え、1ヶ月前に出産していた。
珠子は予定日より結構過ぎていたので、お迎え棒をして、強制的に出産させたが、銀子は予定日よりもだいぶ早い。
まぁお腹の大きさ的に赤ん坊は十分な大きさになってはいるのだが……。
「ちょっと緊張するな!」
「大丈夫だ、俺の一物が出入りしているからか、皆出産早く終わるんだよな」
「そうなのか?」
ズルん
銀子を寝室に連れて行こうとしている途中に、銀子の股から何かが飛び出した。
赤ん坊である。
俺は廊下に落ちてしまった赤ん坊をすぐに拾い上げて、侍女達にお湯や手ぬぐいやハサミを用意するように指示する。
「我慢出来なかったか……」
「申し訳ない……」
とりあえず赤ん坊は無事であり、すぐに熱したハサミで、へその緒を切り、侍女にぬるま湯で羊水まみれの赤ん坊の体を洗ってもらい、その間に切れたへその緒を引っ張りながら銀子にもう一度力んで胎盤を引っ張り出していた。
「んんん!」
「引っ張るぞ!」
グイッと俺が引っ張ると、ズルズルと胎盤が銀子の股から飛び出し、銀子も汗だくになっていた。
「お疲れ様銀子。これで出産は終わりだ。まだ動かない方が良いから横になっておけ……な」
「痛みがほぼ無かったのは良かった。出産は凄く痛いと姉上が昔言っていたからな」
「うちの嫁達含め痛がらないんだよな。一部気持ちいいとか言うのもいるけど」
「気持ちいいか? これが?」
「俺は男だからそれはわからん」
「ふーん」
とりあえず銀子の出産が終わり、銀子に赤ん坊の名前を聞いた後に、俺は産まれた事を記録に残さないといけないので、銀子の部屋を後にした。
入れ違いで銀子の部屋にマリアが入っていくのだった。
「マリアか。お前もそろそろ出産近いんじゃないか?」
「そうじゃな。これで3人目じゃ。出産は気持ちが良いからな。あの快楽は癖になる」
「ふーん、私はそんなに感じなかったがな」
「勿体ないのぉ」
私は赤ん坊を抱きかかえながらマリアと話をする。
「で、何しに来たんだ?」
「なーに、先輩からの助言じゃよ。んん、元気な男の子じゃな」
マリアは私の腕で眠る赤ん坊の頬をつつく。
赤ん坊はその指を掴むと、チュウチュウと吸い始めた。
「乳は出るか?」
「出るわけ……出始めたわ」
私は胸からは汁が出始めているのを認識した。
「お産後から普通の女は乳が出るようになるらしい。この時の乳を初乳と言い、これを飲ませぬと赤ん坊は体の弱い子になりやすくなるらしいのじゃ」
「乳にも種類があるんだな」
「ほれ、赤ん坊がお主の乳を飲みたがっているぞ。飲ませてやりな」
「んん……こそばゆいな」
チュウチュウと息子が私の乳を吸い始める。
乳房を丸出しにしながらマリアから話を聞いていく。
「むう……子供をどう育てれば良いか分からんぞ」
「なに、それは又兵衛の他の嫁達に聞けば良い。彼女達は赤ん坊を育てるのに手慣れておるからな。儂でもいいぞ? 儂ももう少ししたら赤ん坊をまた産むからな。そしたら乳も譲ることができるじゃろうて」
「その時は頼む」
するとマリアは白濁した液体を器に注いで渡してきた。
「これは?」
「又兵衛曰くヨーグルトなる牛の乳で作られた食べ物を液体にした物じゃな。蜂蜜を混ぜてあるから赤ん坊には絶対食べさせるなよ」
「蜂蜜は赤ん坊には毒なんだったな。母親は食べても大丈夫なのか?」
「それは問題ない。母乳を作る時の養分になる食べ物じゃ。又兵衛曰く乳は血と似た液体なんだと。子供の体を作るのが乳で、人の体を作るのが血じゃて、白さは骨の養分と関係しているのじゃと。じゃから骨を強くする食べ物や血を作る食べ物、貧血に効果のある食べ物を乳が出る時は食べた方がよいぞ」
まぁ飲めとマリアがヨーグルトなる物を渡してきたので、片手で赤ん坊を支え、逆の手で飲んでいく。
「うむ、甘くて飲みやすいな」
「じゃろ。牛の乳使っているから忌避感あるかと思うたが」
「津田家に来て慣れたし、仏教的には牛の乳を飲むのは問題ないはずだが? 仏様も悟りを開く際の道中飲んでなかったか?」
「それもそうじゃな。戦国の世で生きている者の多くは牛の乳を不浄の物と拒否するからな……昔は朝廷に牛の乳で作った蘇を税として納めていたのにのぉ……いつの間にか飲まなくなってからに」
マリアは腰に下げていたひょうたんの栓を抜くと、私が飲んで空になった器に別の液体を注いで飲み始めた。
「今度は何を飲んでいるのだ?」
「ああ、ソーダなる飲み物でな。又兵衛が教えてくれたんじゃ。温泉で重曹が採れるでな、重曹少々に水と柑橘類の汁を入れれば水が泡立つのじゃよ。それに蜂蜜を少々入れると甘い飲み物の完成じゃ」
「少し飲ませてくれ」
「少しじゃぞ」
私はマリアから器を再び受け取り、飲んでみると、口の中でシュワシュワとした弾ける不思議な飲み心地であった。
「清酒の気泡に少し似ているか?」
「そうじゃな。酒の泡立ちも同じ仕組みらしい。まぁあれは発酵というらしいがな」
「ふーむ、原理はわからんが面白いな」
器をマリアに返すと、マリアは美味しそうに飲んでいき、ケプっと空気を吐き出す。
「腹の子も喜んでおろう」
「出産後に食べてはいけない食事とかあるのか?」
「妊婦の時は腹を冷やす食べ物は食べないほうが良いと言われたであろう?」
「そうだな」
「産後は食事に偏りがでなければ大丈夫とは思うぞ。ただ貧血に近い症状が出ることもあるから、牛の乳系の食べ物や肉は食っておいたほうが良いぞ」
「なるほどな。運動は?」
「産後1ヶ月は安静にしておれ、子宮が弱っているからな。動いた拍子に傷つく事もある。まぁ体操はなるべくやった方がいいがな」
「ふーん、色々あるのだな」
「結構奥深いぞ。出産や性行為などはな」
その後もマリアから色々教わるのだった。