【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「加賀に拠点となる城を作りたい?」
「はい、父上」
ある日息子の高貞が加賀統治の拠点となる城を作りたいと言い出してきた。
「城かぁ……金沢御坊跡に建てられたお前の屋敷じゃダメなのか?」
「城下町を考えると、屋敷ではなく、城にしてしまったほうが利便性が高いと思ったのですが……」
正直防衛拠点としての城は加賀には必要ない。
下手に防御力の高い城を建てれば、織田の他の家臣達から邪推される可能性があるからである。
ただ金沢の町を復興するのに象徴として新しい城を建てる……というのは良い案にも思えるのだが。
「俺も屋敷ではなく城建てたかったんだよ。金沢御坊跡に、ただ加賀で人夫集まらないだろ」
そう、城作りには多くの人手が必要になるのであるが、加賀には人が居ない。
そんな状態で数少ない働き手を城作りに徴用してしまえば、食料生産にダメージが入ってしまう。
残念ながら時期尚早と言わざる得ない。
「高貞、俺達は植木鉢だ」
「は?」
「今は越前に根を張っているように見えるかもしれないが、恐らく越前は信道様に譲る事になるだろうから加賀も取り上げられる可能性もあるぞ」
「そうですか……」
「まぁ信道様の家臣として過ごすのであれば加賀の領地は残されるかもしれぬが、俺から見た加賀は復興さえできれば良い。人口回復を重点を置いておけ」
「かしこまりました」
「それと……加賀では娼館が増え続けているんだろ?」
「ええ、私の下で管理していますが」
「それなら良い。温泉でも掘ろうか」
「良いのですか父上。加賀にも温泉が湧き出せば越前の温泉の価値が下がりませんかね?」
「なに、加賀で性病が流行るほうがまずい。娼婦達は清潔たれ……だ」
「では、温泉が湧き出しそうな場所を探っておきます」
「ああ、それは任せる。高貞、領地経営をしっかり学んでおくんだぞ」
「はい!」
その数日後、雪が降り積もる中、俺は加賀に行き、温泉を掘り起こすことをしていた。
娼館は俺が加賀にも敷いた一枚岩の舗装路近くの宿場町……馬車や馬の駅がある場所近くに建ち並んでいた。
元々土地を管理していた武士や坊主の殆どは、加賀征伐の戦と共に、この世から消滅したため、土地の権利は一旦フラットになっていた。
寺が管理していた座なども崩壊したため、本当に1から国を立て直す事になったが、道を敷いたり、土地の再配分をしても文句を言う人物が居ない為、開発は逆にやりやすかった。
それに俺の力で男から女になってしまった連中は日本人離れした容姿や髪色をしていたため、既存の村に馴染めずに、娼館や工場、海女として働く選択肢しか無かった為か、歯向かう気力も無くなっていた。
まぁそんな超常現象を受けた人達は漏れなく神仏ガブリエル教に改宗することになり、各宿場町には孤児院兼学校兼の教会……みたいな建物が建てられたり、寺や神社を改装して運用がされていた。
「さてと、まずはここに5カ所温泉掘るか」
種付けおじさんの力が高まり、今までよりも湯量や効能の高い温泉を掘れるようになった俺は、スコップ片手に源泉を掘り当てていく。
雪でいつもより掘る量は多くなるし、付き添いの家臣達は寒そうにしているが、俺は汚れるからと褌一丁の姿で掘っていく。
ガツン プジャァ
「よしよし熱湯だな。おりゃ!」
湯源を掘り当てると、十分な湯量が湧き出るまで拡張し、壁を伝って地上に脱出すると、俺の掘った穴から轟々とお湯が湧き出してくる。
湯源から湯道を掘り、娼館だったり、公衆浴場にお湯を繋げて、誰でも活用できるようにしていく。
「よし、後はこの町の連中がやるだろ。次の温泉を掘りにいくぞ」
「「「は!」」」
こうして加賀では俺が掘った200箇所の湯源は主に体の不調を治すとして、加賀の湯治場として広まっていくのだった。
なお、何故か温泉に入ると子供が出来やすくなるという話も広がったが、コンドームがあるとはいえ、ピルがあるわけでも無いので、できる時はできると娼婦達が孕みまくって子供が多く産まれた事に由来すると思われる。
明との密貿易で今年は生きたアヒルを大量に仕入れる事に成功した。
実はアヒルというのは種付けおじさんと関係が深い生き物であり、アヒルを漢字で書くと家鴨と言い、これ実は性的隠語なのである。
子沢山の象徴とされ多産の女性の事を家鴨と呼び、石女の対義語として使われる。
そんなアヒル達を俺は種付けおじさんの力で、長旅で弱っていたりした個体も元気にさせると、種付けおじさんの触れた相手を孕ませる力で孕ませると、その翌日から雌のアヒル全羽が銀色の卵を産み始めた。
童話にある金のガチョウならぬ銀のアヒルである。
勿論銀は女性の象徴という意味もあり、雌のアヒルから産まれるのは不思議ではない……わけないな。
普通におかしいわ。
ただ俺が種付けおじさんの力で孕ませた個体は皆白色だった羽毛が美しい白銀色へと変わり、とても美しい姿をしていた。
最初は40羽くらいのアヒルの数であったが、アヒル達はほぼ毎日産卵するため鶏並みに数が爆発的に増えていき、牧場では収まらないと、領民にも飼育を推奨し、1年足らずで数千羽まで個体数が増加することになる。
なお銀の卵であるが、銀の膜は凄く薄く、卵1個で銀は0.1グラム取れればよい方であったが、1000羽飼育している牧場では毎日800個近くの卵が採れるので、80グラム、それが毎日なので365で30キロ近くの銀を採取できることになってしまい、銀価格を破壊してしまった。
なお何故か日ノ本から出るとこの特異性は遺伝しなくなるので、明の商人が持ち帰ったら普通のアヒルに戻ってしまったとのことだった。
そして羽毛は布団やダウン等の防寒対策にもなり、北陸の住民に防寒着を作る職を与えたり、自身が着て寒さによって亡くなる子供の数が激減することにも繋がるのであった。
ちなみに銀を産むアヒルのせいで石見銀山を有する毛利の銀の値段が数年後下がってしまい、銀の採掘によってささえられていた毛利家の経営が破綻寸前にまで陥ることになるのは後のお話。