【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
信長様に言われて京に向かった俺はまず奈々の実家である竹取家に向かった。
「父上!」
「秋定元気にしていたか?」
出迎えてくれたのは竹取家の名跡を引き継いだ息子の竹取秋定だった。
秋定の後には綺麗な京美人の奥さんが5人ほど控えており、そのお腹は丸々膨らんでいた。
「聞いてはいたが……秋定、ヤッてんな!」
「父上……まぁ……はい……」
父親からそんなことを言われば秋定も苦笑いするしかないか。
秋定の嫁については基本秋定の要望と竹取のおっちゃんと上位の貴族の方々が調整して決められていたので、俺はほぼ関与していない。
あまり干渉しない方が良いと思っていたが、貴族的にも要望を付けてこない俺に感謝していたらしい。
貴族の領分に無闇に入ってこないと……。
それでいて秋定も俺には劣るものの、祈祷する能力はあるし、奈々に似て肌が白くてイケメンなので貴族の女性陣からも人気が高い。
結局5人も娶る羽目になり、ポコポコ孕ませていた姿は種付けおじさんの息子に相応しい。
さてさて、本題の為に屋敷の中に案内されて、竹取のおっちゃんを交えて貴族の中で京付近の鉱山の情報について聞き出した。
竹取のおっちゃんが詳しいわけではないが、詳しい人に取り付いてもらう。
すると歴史に詳しい五条家に聞くと良いと言われた。
五条家は竹取家が俺のお陰で格が高まっていたが、元は同じく半家と言われる鎌倉時代頃に起こされた新しい家柄で、紀伝道と呼ばれる歴史全般に関する書物を纏める仕事を生業にしていた。
竹取のおっちゃんと秋定にアポを取ってもらい、その日の午後でも是非来てくださいと言われたので五条家に向かう。
五条家も織田家や津田家による朝廷献金によって仕事が割り振られて、財政面が良化し、新しい屋敷を建てられるまで良くなったのだとか……それで俺や信長様に感謝しているらしいが、それだけでなく、昔奈々と出会った頃に、当主と奥さんに子供ができておらず、困っていたところに俺の祈祷で子宝に恵まれたのも感謝していたらしい。
俺はすっかり忘れてしまっていたが……。
「五条家当主の為経です。津田殿には子宝の祈祷をしてくださったお陰で、息子1人に娘が3人と子供に恵まれ! 感謝しておりました! 私で良ければ手伝います」
「いや、紀伝道に通づる為経殿に協力して下さるとは助かります! 実は」
俺は国産の硬貨を造るために京付近に銅鉱山が無いか昔の記録が残っていないか確認しに来たと伝えた。
「鉱山についてですか」
「ええ、調べられますでしょうか?」
「ええ、可能です。地図をお出ししますね」
記録が残っていたらしく、京付近の鉱山について地図を用いて教えてくれた。
今の京の原型となる平安京時代は周囲の山で銅が産出した記録もあり、京の寺社の仏像に使われていたと記されていた。
場所は京のある山城の隣の丹波と若狭国境付近の山々で採掘されたとされており、おおよその目星を付けることができた。
「為経殿、助かります」
「いえ、もしよろしければ私の息子をお使いください。ここらの道案内は可能です」
「よろしいのですか?」
「ええ、私に似ずに山猿の様に動く事が大好きなので、きっとお役に立てると思います」
「では道案内を頼みましょうか」
「五条為福と申します! 父より津田様の道案内をせよと言われましたので、今日からよろしくお願いします!」
五条為経殿もまだ24歳(数え年)と若いが、11歳の時に父親を亡くして五条家断絶の危機だったらしいが、俺のお陰で子供ができ、12歳の為福君は年の割に大柄で既に戦国時代の平均身長である160センチを超えているほど早熟であった。
ちなみに秋定も連れてこようと思ったが、祈祷の予定がパンパンに詰まっており、数週間予定を空けることは難しいと言われてしまった。
まあ現代で言えば凄腕の医者みたいな者なので需要は少なくないだろう。
「津田様も凄いですが、秋定殿も私達同年代からは出世人と見られているんですよ」
「秋定が?」
「はい! 殿上人の方々(中流貴族)や公卿(上流貴族)の覚えも良いですし、半家出身とはいえ、立場もありますし、将来的には正三位になれるのではないかと噂されています」
「あいつがねぇ」
今の信長様の官位も正三位なので、将来的には武家の最高位くらいには登り詰めるだろうと為福は言う。
それだけ功績が抜群ということなのだろう。
津田家として竹取家を支えてやれば竹取家が没落するということも無いだろうし、竹取家は津田家が没落したとしても生きていけるだろうと俺は確信した。
竹取のおっちゃんもそれを考えて動いているだろう。
「ところで人夫は山師の方と付添人2名の私を入れて5名でよろしかったのでしょうか?」
「まぁ問題は無いだろう。評判のよい山師を連れてくることができたし」
「あの……評判が良いと言っても自分50回探索して1回鉱脈を見つけられれば良い程度なのですが……」
「山師なんてそんなもんだろ。実際見つけられているだけ上々よ」
山師……山で鉱脈を探すことを生業としている職業で、詐欺師と表裏一体の扱いをされていた。
彼らは自身の知見で鉱脈を探せる技術者集団なのであるが、どうしても当たり外れがあるし、どんなに質のよい山師でも鉱脈を見つけられないことがある。
なので宝くじ感覚で権力者達は仕事を与える存在であった。
実際この山師は複数回鉱脈を発見しているだけ腕は確かという他無い。
「探すのは銅と亜鉛でよろしいでしょうか」
「うん、できれば黄銅鉱を見つけられれば最高だけど」
「では川の流れを辿っていきましょうか」
鉱脈を探す時は川を目印に探していく。
川に落ちている石に鉱石が混ざっていることがあり、それを上流に辿っていくと鉱脈が探し当てられるって寸法である。
この方法は砂金や砂鉄を探す時が特にやりやすいとされるが、銅も見つけることは可能である。
あと、昔火山があったり近かった場所でも銅と亜鉛は採掘することができる。
地下に流れる金属を多く含む水が地熱で高温になり、それが岩等に入り込むことで金属が成形していくらしい。
まぁ俺の知識は前世で読んでいた漫画の知識を必死に思い出しただけなので間違っているかもしれないが……。
川を辿っていき、山に入るが、一向に鉱脈らしき物は発見できない。
数日夜営して山を歩き回って、全然見つけられないので、仕方なく種付けおじさんの力を頼ることにした。
持ってきた天正通宝に糸をくくりつけて、垂らしてみる。
「何をしているのですか?」
「祈祷の一種だ。同じ鉱脈に引かれると思ってな」
「そんな馬鹿な」
山師は冷めた目で俺を見ているが、種付けおじさんに不可能は無い。
というかやっていることは自己催眠である。
自己催眠で嗅覚を強化して銅の匂いを探るというとんでもないやり方である。
エロ本とかで催眠術を使って感度を上げるというのができるのだから、自身の嗅覚や感覚を上げることもできるだろうと。
糸に吊るした銭がゆっくり動き出す。
「う、動き出した!」
「こっちに銅がある!」
俺達はその方向に進んでいくと、斜面の下から匂いが出ているのを感じ取った。
背負っていたシャベルで高速で穴を掘っていくと、大きな穴にぶつかり、巨大な黄銅鉱の鉱脈であった。
「そんな馬鹿な!」
「見つけられちゃったよ!」
山師は自身の経験が破壊されて悶えており、逆に俺は本当に見つけられて唖然としてしまった。
巨大な鉱脈で、空洞の中にはびっしり黄銅鉱がこびりついていた。
「や、やりました! これで京でも銭が造れますね!」
為福は無邪気に喜んでいたが、これ信長様にどう報告すれば良いか悩む案件であった。