【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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摂津争乱の戦後処理

 吉川軍が事実上壊滅し、津田軍の勝利が確定したが、今回の目的は防衛戦なので、追撃はほぼせずに秀吉殿の勝利を祈った。

 

「やっぱり又兵衛は神仏の化身なんだな。人を男根へと変えるとは……邪道中の邪道だぞ」

 

「幻滅したか? 銀子」

 

「いや、自分の体を女に変えられて生きながらえている私も同罪だろう。それに戦は勝ってこそだ。どの様な手段を講じても勝てば正義となる」

 

「軍神様でもそうなのか」

 

「……私も越後の民を救うために関東の民には迷惑をかけたからな。それに比べたら民に迷惑をかけてないだけマシだろう」

 

 銀子も過去に色々やっていたらしいのでとやかく言えないのだそうだが、神仏の戦い方であると忠告もしてくれた。

 

「神仏の力に頼りすぎると、その力を失った時に無力となるからな。まぁ又兵衛ならそんなことは無いと思うが」

 

 思い返してみると種付けおじさんの力に結構頼っているなぁと思う。

 

 まぁ教養部分とか料理とかは違うと言い切れるが……。

 

 その後は寺前城を整備したり、戦没者の供養や論功行賞を行ったりしながら秀吉殿の吉報を待つと、神河決戦から1週間後、羽柴軍でも決着が着いた事を忍びにより伝えられた。

 

「辛勝か」

 

「は! 羽柴秀頼様の奮闘により一時小早川軍は大きく崩れたのですが、名将である小早川隆景の手腕により態勢を立て直され、完勝とまではいきませんでした。両軍千数百名の兵が戦死する激戦だったとか」

 

「ふむ……」

 

 これで毛利本軍が到着したとしても、その頃には織田本軍も到着するので、大決戦になるか、吉川元春を戦死させたことで引き上げるか……。

 

 吉川元春の物と見られる甲冑と溺死体が川から見つかっており、津田軍では戦死判定をしており、周辺の村々でも吉川元春は討ち取られたと喧伝していた。

 

(盤面は織田有利に大きく傾いた。俺が吉川元春を倒したことで、毛利軍は二正面作戦を実行することができない。こういう時に九州の大友とかが背後を突いてくれるとありがたいんだが……)

 

 北九州で巨大勢力となっていた大友氏であるが、島津軍に耳川の戦いで大敗し、重臣、中堅、若手含め大勢の幹部級人材を討ち取られてしまい、4万を超えていた兵も生き残ったのは1万を割り込む程だったらしく、とても毛利の背後をつける力が残っていなかった。

 

(大友は神仏ガブリエル教の連中から南蛮商人に日本人を売る奴隷貿易を行っているっていう証言が取れているから潰れるのは問題ないが……タイミングが悪いな)

 

「さて、毛利はどう動くのか……」

 

 

 

 

 

 

 毛利は撤退という選択を取った。

 

 信長様率いる織田本軍が迫ってきているというのが決定的だったらしく、唯一織田家に勝てる可能性を捨てた形になってしまった。

 

 それだけ吉川元春の戦死が痛かったらしい。

 

 信長様は毛利が引いたことにより摂津平定に力を注ぎ、3月までには摂津の反乱を完全に鎮圧。

 

 これにより摂津争乱は終結に向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 姫路城に信長様が到着し、俺や秀吉殿、他家臣達も広間に集まり、頭を下げた。

 

「猿、馬、よくぞ耐え抜き、播磨の地を守り抜いた」

 

「「はは!」」

 

 信長様は淡々と処理をしていく。

 

 まず明智殿が怪我で離脱したため、山陰山陽二方面から毛利を追い込む作戦であったが、秀吉殿に中国方面軍総司令の地位が与えられ、方面軍を統合。

 

 秀吉殿に中国方面では全権が与えられることになる。

 

 明智殿は怪我が回復次第、丹波、丹後2国攻めの再開をさせると通達し、それまでの戦線維持は丹羽長秀殿が担うらしい。

 

「摂津は中川と他将の分割で統治させる」

 

 これも予定通りで中川殿と後々であるが蒲生氏郷殿が入り、領国経営を学んでいくことになる。

 

 ただし摂津の乱の鎮圧ができても、まだ瀬戸内海の制海権は毛利が握っており、本願寺の補給線が切れていない。

 

 なので、織田水軍の準備が整い次第再び海上封鎖に取り掛かるとも言われた。

 

 で、一番注目なのは荒木一族の処遇であったが……。

 

「荒木は自らの家臣統制に失敗し、織田全体を危機に陥れた。死んではいるが責任は重い。故に荒木一族は織田領内から追放処分とする」

 

 その一言に場は騒然となる。

 

 確かに荒木殿の責任は重いが、既に死人であるし、所領も事実上没収となっているため罰は十分に受けていると言えたのだが、信長様は一族にも罰を与えるという前例を作ってしまった。

 

 流石にこれは荒木一族への罰が大きすぎる。

 

「信長様」

 

「なんだ馬」

 

「生き残った荒木一族や家臣を雇ってもよろしいでしょうか」

 

「こ、これ又兵衛! それでは!」

 

 秀吉殿が遮ろうとするが、俺は信長様の目を見続ける。

 

「使える者は使い潰した方がよろしいかと」

 

「……ふむ、その方が合理的ではあるな。よかろう。荒木一族及び希望する家臣は馬預かりとせよ」

 

「は!」

 

「猿、お主は引き続き前線を任せる。当面は防衛に努めながら、機を見て毛利領を切り取れ」

 

「は!」

 

 信長様はそう言うと、直ぐに城を退去して安土へと帰って行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

「又兵衛、肝が冷えたぞ」

 

「秀吉殿すみませんでした。しかし、あの場で荒木一族の保護を私が申し出なければ、織田家に忠義を尽くしても、大きな失敗をした時、自らの命だけでなく家族にまで責が及ぶという前例は作りたくなかった。あれでは織田家臣の忠義が揺らぐ」

 

「確かにそれはそうじゃが……」

 

「何より荒木一族や荒木殿の家臣達は使える者が大勢居る。それを手放すよりも抱き込んだほうが絶対に良い」

 

「……又兵衛が言わねばオイラが抱き込むつもりだったのだがな」

 

「いや、荒木殿の家臣達はなるべく秀吉殿や中川殿に譲ります。越後攻めで活躍の場を与える予定ですが、秀吉殿の近くのほうが名誉挽回の場が多いでしょうから、希望者は譲ります」

 

「そ、そうか? それは助かるが」

 

「とにかく今大切なのは穴を空けない事。この後俺は明智殿の様子を見に行きます。秀吉殿も無理のないように」

 

「うむ、ヘマはせん。任されよ」

 

 こうして俺も播磨を離れ、家臣達を越前へと帰国させ、俺は明智殿の居城である坂本へと向かうのであった。

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