【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
俺の名前は園田貞茂……元々足軽の三男で、ほぼ農民でもあったうちの家で兄の畑を耕す事をしていたんだが、津田の殿様が兵を集めていると聞き、志願して兵士へとなっただ。
元々貞茂って名前だけだったが、兵士になる以上苗字もあったほうが良いと言われて、田んぼの田、山、川のどれかが付く苗字が与えられた。
それで園田貞茂となり、いっぱしの兵士になって出世することを目指している。
津田の殿様も元々は農民から成り上がったと聞いたので、成り上がれる可能性は無くはない。
今日は俺の1日を見ていこう。
俺は福井の町の兵舎で生活をしている。
兵舎と言っても長屋とほぼ同じで、最初は16畳の部屋に4人で生活をしていた。
末端の足軽は共同生活をすることで、集団行動を覚えさせる必要があるのだとか。
ただ教育期間と呼ばれる約半年の訓練が終わると、8畳の1人部屋が与えられて、そこで生活をするようになる。
日の出から少しすると朝の鐘が鳴り響くので、その音で起きて、身支度をしてから食堂へと向かう。
食堂では朝、昼、夕の3食を兵士達は腹一杯食べることができる施設で、農民の次男、三男……それ以下の部屋住みや穀潰しと呼ばれる男達はここでようやく腹一杯飯を食べることができて、兵士になって良かったと感謝する。
食事は給仕専門の兵士達が料理を行い、作ってくれる。
なんでも料理人の息子や料理人を志す若者を集めて、修行代わりに働かせているのだとか。
給金も俺達兵士より高い金を貰っていると聞く。
まぁ朝早くから仕込みをして、夕方まで働くので仕方がないといえば仕方ないか。
その分上手い飯を作ってくれるから俺的にはありがたい。
また、津田の殿様の若様の1人も調理人として働いているらしいので、残さないように食べきらないと……。
その後、一旦兵舎に戻り、訓練服へと着替える。
訓練服は木綿で編まれた動きやすい服装で、大名家から複数着支給される。
最初に数着、その後は3ヶ月に1着ペースで支給されるので洗って使えるようにする。
冬とかの寒い日はこの服を重ね着し、その上から外套と呼ばれる雨風寒さを防ぐ羽織り物を着て、訓練に臨む。
二度目の鐘が鳴ると始業の合図で、各部隊に分かれて訓練を行う。
訓練内容は様々であるが、槍術、剣術、鉄砲術を兵達は習い、あとはとにかく走らされる。
雨の日でもなければ毎日5里は走らされ、厳しい時には槍や刀を持った状態で走らされる。
これがなかなか辛い。
最近では自転車が部隊で導入され、自転車の乗り方や装備品の載せ方なんかも習って訓練が行われるが、自転車を扱う訓練は、同じ5里を移動するのでも楽で、これを考案した津田の殿様には頭が下がる。
もちろん馬の扱いが上手い者は馬術を習ったりしていくが、俺は飛び抜けている才能は無いと隊長から言われているので黙々と普通の訓練をしていく。
その他には、夏は水泳を行ったり、雨の日は室内の土俵で相撲を行ったりして訓練をしていく。
とにかく若いうちは動いて、食べて、体を大きくしていくのが大切なのだとか。
正午頃になるとまた鐘が鳴り、昼休憩の時間。
昼飯を食べて、食休みをしたあとから再び鐘が鳴ると午後の訓練が始まる。
銃を扱う訓練は主に午後が多く、射撃場に移動して、弾薬を係りの者から受け取り、支給された銃を使って射撃を行う。
射撃訓練をした翌日の午前中はとにかく手入れの時間になり、銃の煤を綺麗に拭き取っていったり、油を差して暴発しないようにしていく。
歪みや亀裂などがあれば整備班に提出して、新しい銃と交換してもらったりもする。
午後の訓練が終われば各部隊ごとに終礼を行い、鐘が鳴ったら夕食を食べに食堂に行き、食堂で食べ終わった後は自由時間。
兵舎近くには公衆浴場が整備されているので、1日の汚れをそこでさっぱり落とし、廃湯を使って洗濯物も洗っておく。
兵舎に戻り、部屋干しをしたり、ほつれた着るものや靴の修繕を行ってから眠りに就く。
これを1週間のうち5日繰り返し、残りの2日は休みとなる。
休みの日は町を散策したり、好きな物を食べたり、競馬や競輪、相撲を見物して楽しんだりして1日を終える。
給料は月に2貫程(現代価格で約20から30万円)支払われる。
大抵はその金で訓練を楽にするための装備品を買ったり、休日に散財したりしていく。
あとは嬢の身請け金として使うことも。
兵士である俺達も性欲は溜まるので、月に数回娼館に向かうことがある。
そこで嬢と仲良くなり、身請け金を支払って結婚までいくというのが結構多い。
結婚すると津田家から立場に応じてご祝儀が振る舞われ、足軽大将以上だと個人宅が与えられることも……。
なので兵士達は足軽から始まり、足軽頭、足軽組頭、足軽大将、侍、侍組頭、侍大将へと成り上がろうとする。
侍大将以上は武将として1000人以上の兵を束ねる立場であり、大きな屋敷を持つことを許されたりもする。
今の俺の立場は足軽頭であるが、それでも結構恵まれた生活をできているし、金を貯めれば嫁を娶ることもできるだけの稼ぎはある。
もちろん兵の中には町の住民と仲良くなり、その娘と結婚をして兵士を辞めて商人に鞍替えする者も居なくは無いが少数派である。
福井の町も娼館の質は他国に比べて高いが、やっぱり加賀の娼館は別格で、訓練で加賀に行く際はとびっきりの美女達と楽しいことができる。
嫁にするなら加賀美人だな。
戦に成れば真っ先に招集されて戦場で戦う。
戦で生き残れば月給数倍の手当てが出るし、活躍すれば昇進が早まる。
「次は越後方面か? 生き残ればめっけもんだからな。訓練の成果を敵にぶつけるとしますか」
最終的に俺は津田の殿様の下で生き残り、娼館から引き取って嫁にして、60歳まで生き、子供に囲まれて床の上で亡くなるのであった。
種付けおじさん発売間近ということで27日に編集さんとXにてラジオをすることになりました。
私と編集のXアカウントリンクを載せておきますのでよろしければどうぞ。
星野林
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編集N
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