【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
田植えも終わり、いよいよ上杉攻略に取り掛かる。
今までは俺が最前線で戦ってきたが、マリアに大将であるのならば、前線で指揮するだけが戦い方では無いと言われ、部下に指示を出して詰将棋の様に戦うことも必要と言われていた為、軍略に関しては津田家で右に出るものが居ない島に自由にやらせてみることにした。
島に津田家3万の兵をいかに操るか……大将として勉強させてもらう。
「全く、大胆ですね。又兵衛様らしい」
島も苦笑いしていたが、存分に敵を叩けるとして張り切っていた。
まず島が動かしたのは俺の息子の高貞と初鳴の2人に指示を出した。
高貞と初鳴はうちの忍び衆の纏め役であり、高貞は毛受家の棟梁としての役目もあるので、名目上津田家忍び衆ははじめの息子である初鳴が指揮をしていた。
島の命令に2人は動き出し、寝返っていた上杉忍び衆の手引きで、先んじて越後に侵入し、工作を開始。
高貞は自身が子沢山であることを利用して、上杉の小さな国人衆勢力に目をつけ、内応を取り付ける代わりに、娘や息子の結婚を行わせて毛受家の血縁関係を結ぼうという血の汚染戦術を敢行。
上杉でも小さな国人衆達は上杉家の内紛で弱体化していたし、今勢いのある津田家の傘下に入る理由を探していたので、婚姻によって次々に軍門に降っていた。
一方で敵対を続ける家々は、初鳴配下の忍び衆によって、徹底的な破壊工作が敢行され、城に通じる裏道から城に侵入したり、暗闇に紛れて城壁を飛び越え、内部に入り、暗殺や誘拐祭り。
特に初鳴の性癖は未亡人好き……というより人妻や娘さんを寝取るのも好きであり、誘拐してきた女性達を種付けおじさんである又兵衛から引き継がれた巨根と鍛え抜かれたテクニックにより手籠めにしていき、敵将への脳破壊を多数起こし、絶望させて自害に追い込んだり、精神を不安定にさせて錯乱させたりとえげつない事を普通に行った。
流石忍びの頭である。
その様な工作により1ヶ月で上杉家の防衛線は崩壊し、島率いる津田軍が雪崩込むことに繋がった。
その状況下でも主導権争いが収まらない上杉家はそれぞれが防衛指揮をしようとするが、家臣達も足を引っ張りあって有効な手が打てなかった。
というか忍びを引き抜かれた時点で詰みである。
「上杉謙信が没しただけでこれほど脆くなるのか」
島は各個撃破状態になっている上杉家を見てボソリと呟いた。
城攻めでも砲兵隊による砲撃で簡単に落城し、打って出てきた兵達は銃によって簡単に落命。
戦の仕方が変わったと見せつけられ、結束が緩い家がいかに弱いか……大国の崩壊スピードの速さに驚かされてしまう。
越後に津田軍が本格侵攻して3週間後には上杉家の本拠地である春日山城が落城。
上杉有力家臣であった者達も次々に寝返り、上杉景勝は親族に裏切られて自刃に追い込まれ、上杉景虎は北条からの援軍で態勢を立て直しつつあったが、勢いは完全に津田軍有利である。
ここに牽制を続けていた柴田のオヤジ殿が信州の兵を纏めて北条領の武蔵の国に侵攻し、上杉に送られていた援軍を引き剥がすことに成功する。
そのため上杉景虎は越後を捨てて関東に撤兵し、越後全域は津田軍が占領することになるのであった。
7月12日……越後の龍と言われた上杉家は滅亡することになる。
「本当に俺が出るまでも無く上杉家が滅亡するとは……」
今回活躍したのは高貞と初鳴の2人なので、褒美を多く出してやり、他の家臣たちもベタ褒め。
特に島には大将をやりきってもらって感謝した。
「島お疲れ。心配はしてなかったけど、やっぱり戦をすべて任せると違うな」
「今回はやりやすかったですよ。又兵衛様が突撃しないので。こっちとしては大将突撃されると胃がキリキリして……大丈夫だろうとは思ってますが」
「やりやすかったか……俺戦に出ない方が良い?」
「いや、上杉家は正直団結もしてませんでしたし、お家騒動で戦う前から崩れていましたし、又兵衛様が忍びを引き抜いておいてくれたお陰で簡単に転びました」
それに……と島は柴田のオヤジ殿を動かしてくれたのがトドメになったと言ってくれた。
オヤジ殿には連絡を取っていたし、いい加減上杉を滅したいって言っていたのでちょうどよかった。
ちなみに北条領に突撃した柴田のオヤジ殿はもう60超えているのにバーサーカーの様に暴れまくっているとのこと。
流石俺の前には織田家最強の将と言われていた人物である。
一方北条も上杉や武田と殴り合っていた精鋭揃いだし、上杉や武田と違い一族の結束力が天と地ほど差があるので、柴田のオヤジ殿でも崩すには至らなかったらしい。
柴田のオヤジ殿の家臣もオヤジ殿を慕う武闘派や武田旧臣を吸収していて、赤揃えを復活させたりしているらしいが、それでも崩せない北条が強いというべきか……。
オヤジ殿に救援は必要か聞かれたが、越後を守ってくれていれば大丈夫らしい。
逆に俺が動いて東北への睨みが効かなくなる方がまずいとのこと。
「徳川家康様が柴田のオヤジ殿と一緒に北条を攻めているので、北条を下すのはそう遠くはないだろうな。それより占領した越後の開発を急がねば。きっと信長様より越前から越後への転封が言われる可能性が高いからな」
「は! では私はまだ燻る上杉家残党の討伐をいたします」
「高山右近も連れて行ってくれ。あいつも経験を積ませないと」
「かしこまりました」
上杉家の滅亡で、上杉家旧臣の一部も吸収することに成功した。
「ほぉ……あいつが津田家の軍門に降るか」
「ん、銀子の知っている奴か?」
「ああ、私が若いうちから仕込んでいた奴だ。せっかくだから連れてこい」
銀子が可愛がっていたというのは直江兼続という若者であった。
まだ19歳で銀子曰く上杉景勝の側近として仕えていたらしいが、武将としての才覚は上杉家でも抜けている神童とでもいうべき存在だっらしい。
「失礼します。津田又兵衛様。この度は下り家臣である私を当主自ら出迎えてもらい感謝します」
うわ、目が凄いギラついている……これは何か企んでいるな。
色々な人物を見てきたけど、前に織田家にいた小姓衆達に似ている。
俺が楽にせよと足を崩しても良いというと、ではと言って、刀を抜いて斬り掛かってきた。
俺は振り下ろされる刀を両手で挟み込んで受け止めると、腕力で刀をへし折り、唖然とする彼の腹に思いっきり蹴りを入れた。
「かは!?」
床を跳ねながら襖を突き抜けて、隣の部屋まで飛んでいき、俺は
「この程度で又兵衛の首が取れると思ってか!」
と叫ぶ。
家臣達が慌てて直江兼続を取り押さえ、斬り殺そうとするが、縄で縛って牢に入れておけと命令する。
「沙汰は俺が決める。絶対に手を出すな!」
家臣達にそう叫ぶのだった。