【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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越後民謡 又兵衛の歌

 銀子の事を上杉謙信その人であると理解してしまった直江兼続は涙を流し終えると、今度は俺に懇願してきた。

 

「津田様、どうか、今度こそ俺は謙信様をお守りしたい所存でございます。虫の良いはなしでは重々承知ですが、どうか謙信様のお側に置かせてはくれないでしょうか」

 

「ふむ……俺的には構わないが、それにはまず皆の信用を得直す必要がある。今の兼続は俺を殺そうとした重罪人だ。これから越後開発が始まるから、荷駄馬の如く働くのであれば無罪とし、将来的には銀子の息子の教育係を任せるが」

 

「……お子さんがいる……のですか! 謙信様の嫡子が」

 

「又兵衛からその子に長尾の名を名乗らせてくれることを約束しているからな。私としても今より成長した兼続であれば息子を任せられるのであるが……」

 

「やらせてください! いや、必ずやり遂げてみせます!」

 

「うむ、ならばもう牢に入っている必要は無いな。直江兼続。俺の下で働き、長尾復興に手を貸せ」

 

「はは!」

 

 こうして俺は直江兼続を家臣として加えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 上杉との戦後処理を終える頃には8月となり、俺は忍びの家臣と高山右近、直江兼続を連れて越後の大地を馬で走り抜けていた。

 

「ここが越後湿地か……ずいぶんと広いな」

 

「はい、ここの湿地は農業に適しておらず、広いだけで、ほぼ活用もされていない場所ですが」

 

 直江兼続はそう言うが、俺は前世で越後こと新潟が日本の米どころとして有名なのはしっていたし、今眼下に広がる越後湿地は後々越後平野へと開拓され、ほぼ全てが田んぼで埋め尽くされることになる。

 

 それを知っているため、この将来性抜群の湿地の開墾をするべきであると考えた。

 

「上杉の税率はどんな物だったのだ?」

 

「6公4民でした」

 

「10年間1公9民にするぞ」

 

「し、しかしそれでは兵を養うことができないのでは?」

 

「北陸の国々の税で十分に賄う事が出来るし、俺が兵を持ちすぎるのは織田家にとっては良くないからな。現状管理している領国が越前、加賀、能登、越中、越後の5カ国にも増大している。能登と越中の殆どは与力であった家臣に褒美として与えたが、それでもまだ3国保有していることには変わらない」

 

 しかし、現状荒れ放題になっている越後を立て直すには、俺が数年かけて育てた越前の富がなければ開発不可能であり、同時並行して加賀の復興作業も行っているため、想像以上にカツカツである。

 

「信長様には越後の領地が想像以上に荒れており、復興するのに時間がかかると報告せねば……」

 

 それと同時に、今まで培ってきた技術をフル動員して越後を開発できると考えると、少し楽しく思うのだった。

 

 

 

 

 

 越前と加賀で育てた文官を越後の村落に派遣し、まずは1公9民であることを通達すると同時に、金と労働中は食事を提供するからと賦役に参加する者を求め、越後湿地の墾田を早速開始。

 

 まずは乱流が多くある川の整備からで、戦国時代では川に堤を設置して氾濫しないようにする工法が一般的であったが、俺は先に川ではない場所……川をながす予定の直線的な水路を先に掘り起こして、水の流れる道を作っておく。

 

 そして複数個所で同時並行で作業を行い、作業工程が早くて丁寧な班には報償を倍にすると約束することで作業効率を上げ、短期間で整備を行っていく。

 

 この時越前では大量に円匙……スコップとゴム製タイヤを付けた猫車を貸し出して、作業効率を爆上げし、人海戦術で川の整備を進めていった。

 

 

 

 

 

 秋になり、この年は全国的に不作な年になってしまっていたが、織田領内は津田農法と津田米が浸透していたので不作知らずの大豊作。

 

 そのために他の地域から逃げ出してきた流民を津田家は越後で吸収し、その人達が山賊化する前に仕事と住む場所、食事を与え、次々に取り込んでいき、開拓速度は更に加速。

 

 こうして川の流れを落ち着かせて、氾濫を起きにくくしたら、次は乾田へと土壌を整える作業だ。

 

 乾田直播という方法も現代だったらあるのだが、これは肥料を使えること、トラクター等の重機で田んぼを一気に耕せる事が前提条件としてあり、戦国時代の日ノ本では収穫量が落ちてしまうため、俺の言う乾田とは水を張って最初は育て、途中で水路を用いて水を抜き、乾田にすることで稲の根を良く生えさせて稲穂が実っても風や自重で倒れにくくする農業方法である。

 

 なので必要なのは用水路、排水路の整備。

 

 ここで俺は種付けおじさんの力を使って整備を早くさせる事が出来ないか考えた。

 

「種付けおじさんなら産道をイチモツで掘り起こして開発するよな。そして子宮まで道を整える事を考えると……」

 

 俺はスコップを手に持ち、種付けおじさんの力を体に行き渡らせてから盛大にスコップで地面を掘り起こす。

 

 すると数十メートル先まで地割れの様に地面が裂けると、黒く変色して固まっていった。

 

 超常現象に慣れている家臣は拍手し、初めて見た越後の農民達は腰を抜かすか拝み始めていた。

 

「黒くなるのは女性器が黒くなるのと似た感じか? ……となると、地面が湿気っている湿地は女性器が濡れているのと同じ……固い地面はまだ初心ということ……それを男根に見立てたスコップで掘り起こせば……せい!」

 

 再び地割れの様に地面が掘り返され、綺麗な水路が整備されていく。

 

「俺が水路を整備するから皆の者後に続け!」

 

「「「おぉ!」」」

 

 その様子を歌った民謡が残されている。

 

 

 

 

 

 

 津田の殿様 掘らなきゃ 損損

 

 一つ振られば 地面が割れる

 

 二つ振られば 壁ができー

 

 三つ振られば 水が流れる

 

 後に続くは人だかりー

 

 田畑作れろ 越後の湿地

 

 津田の殿様 大黒天

 

 神仏生き神ガブリエル〜♪ 

 

 ちなみに作詞は高山右近が作って、最後にガブリエル教の宣伝を入れるプロパガンダみたいな歌に仕上がるのであった。

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