【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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越後の特産品 2

「畳以外にも越後の民を裕福にさせられる物を考えなければ……」

 

「畳だけでもすごいと思うけどのぉ」

 

「だな」

 

 別の日にも、俺はマリアと銀子と集まって、越後の特産品になりうる物を考えていた。

 

 俺の中のイメージで越後……新潟と言えば白い物が特産品や名物として多かったはず。

 

 まず米、次に日本酒、雪景色の白というイメージが強い。

 

「日本酒の作り方は教えるとして……まだ越後湿地を平野化するにはまだまだ時間がかかるからな。ただあそこが米所として開墾できれば……今の津田米を使えば数百万石の米を収穫できる一大田園になるはず……」

 

 戦国時代基準の米の約6倍から8倍程米だけで収穫量が高まる津田米……これを使えば越後平野が開墾されれば約200万石分の田畑ができると計算されているので、そこから6倍から8倍掛ける事が出来る。

 

 すると数百万どころか千数百万石にもなる可能性が高い。

 

 そうなれば越後平野だけでも日ノ本の住民が食べていける米を作り出せることにも繋がるであろう。

 

 もっとも、津田家領内ではベビーブームが到来しているため、人口もここからどんどん多くなっていくだろうけど。

 

「米だけでも食っていけはするだろうが、米だけに頼ると米の価格で農民達の生活が決まってしまうのも良くは無い。だから越後に複数の特産品があるのが理想だな」

 

「統治者というのはそこまで考える者なのか……」

 

「銀子、ここまで民の事を思う統治者は少ないと思うぞ」

 

 銀子がなるほどと思っているところにマリアが突っ込みを入れる。

 

 最近銀子がボケて、マリアが突っ込むのが日常になりつつあるな。

 

「のぉ又兵衛、お主の力で水路を多く整えたのであろう。ならばその水路に水車を使って色々な物を作ればよいのではないか?」

 

「水車か……確かに」

 

 越前でも水車を使って職人達の工房の動力源にしていたり、醤油や味噌等の加工食品を作る際の動力として活用されていた。

 

「水車を動力として自動紡績機とかも作れたりは……難しいよなぁ」

 

「水車からなぜ織物の話になるんじゃ?」

 

「水車は歯車を回すことでさまざまな動力として使うことができるだろ。その一定の回転する動作を糸紡ぎとかに活用することができるんじゃないかと思ってな」

 

「ふむ……発想は面白いが、なかなか難しいと思うぞ」

 

「だよなー」

 

 これで俺が歴史に強かったり、紡績機について知っていたら職人達にアドバイスをして色々作ってもらったりもしただろうが、生憎そこまでの知識は俺には無い。

 

 ただ水車の回転を糸紡ぎに使えるというアイデアは職人に伝えたほうが良いだろう。

 

 とりあえず、それは職人達に投げて、お願いするとして、他には何か無いか……。

 

「佐渡島……あそこがあったな」

 

「佐渡……本間の所領だな」

 

 日本有数の金山があることで有名な佐渡島。

 

 越後を制圧した現在でも上杉に従属していた本間氏が佐渡島にて抵抗を続けており、越後の海運を考えると武力制圧よりも和議を結んでなんとか従属化させたいと考えていた。

 

 銀子からも本間の一族は佐渡島ではあまり米が育てられないため、金貸しとかの商業が強い傾向があり、上杉の文官育成に大いに役立っていたとも話された。

 

 金山経営を委託したり、佐渡島は上質な赤土が産出し、焼き物造りも現代では活発に行われていたことを思い出し、佐渡島に焼き物技術を教え、佐渡金山開発とそれに伴う鉱山街の整備をしていけば自ずと金になるのではないかと思いついたのである。

 

「やってみる価値は十分にあるな」

 

 ただこれも本間氏を説得してからであり、直ぐに始められるようなことでは無い。

 

 本間氏との交渉は当面続くとして、他に越後の特産品になりそうな物……。

 

「新発田の土地は田畑にはしにくいが、牛の育成が積極的に行われていたな」

 

「それだ!」

 

 米が多く収穫できるということは牛の餌になる稲ワラの生産量も大いことに繋がる。

 

 今は米の生産量的に牛の数を急速に増やす……ということはできないだろうが、将来的には加賀で育てられている乳牛達を越後でも育てて、最近織田領内で需要が増えつつあるチーズ生産を行っても良いかもしれない。

 

 織田領内では信長様や織田家のご子息の皆様がチーズが大好物であり、よく家臣達との食事でも振る舞われ、家臣や臨席した商人、失伝しつつあった蘇に通じる物として貴族社会にも受け入れられ、美濃、越前、加賀で俺が技術監督をして作られたチーズが各所で出回っていたのである。

 

 もう少し時代が進めば、よりチーズを口にする人も増えて、乳牛の頭数も増やさなければならないと思っていたので、新発田に牛飼いが多いのであれば、是非とも津田家の乳牛を導入してもらおうではないか。

 

「あとは……漁業の発展か」

 

 漁業に関しては越前と加賀の国境付近が俺が種を撒いた結果ヤバいことになっていたが、越後は海老やノドグロといった魚が獲れることでも有名だったはず……。

 

「思ったよりも潜在能力が高いな……越後は」

 

 近現代になって時の首相が日本列島改造論で日本海側に鉄道や高速道路をバンバン建てて、太平洋側に比べて経済的に劣っていた日本海側の各県を救済した……という話を耳にしたことがあったが、色々考え出してみると、北陸の4県のポテンシャルは凄い物があると考えざる得ない。

 

 更に銀子によれば山脈地帯は果樹園に向いていそうな土地も多く、梨や桃といった果実を植えるのにはうってつけ。

 

 北海道に次ぐ農業規模の大きな県が新潟であり、それの前身である越後の開発のやり甲斐はとても大きかった。

 

「とりあえず今越前に集中している職人達の弟子を越後に送って、工芸品とかも生産させよう。ガラスの原材料になる石英も産出する場所があるらしいからな……うん、やることは多いぞ」

 

 俺は生き生きとしながら家臣達に指示を出すのであった。




種付けおじさんIN戦国発売日になります!

1ヶ月間続けてきた毎日投稿も今日で終了となります!

次回は5月6日を予定していますのでよろしくお願いします!
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