【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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新愛刀 肉刀

「うーむ……どうしたものか……」

 

 俺は悩んでいた。

 

 というのも、愛用していた太刀が度重なる戦により少々ガタが来ていたのである。

 

「鍛え直すのは無論だけど、今まで頑張ってもらって出世にも貢献してくれた愛刀故に、家宝として大切に保管するべきだよなぁ……」

 

 一応刀のストックは幾つかある。

 

 越前の職人が作ってくれたやつだったり、信長様が褒美として下賜してくださった刀だったり……。

 

 信長様の刀は実践向きだけど、褒美として下賜された物故に折ることは無いと思うが、万が一折れたらきまずいということもあり使っていなかった。

 

 信長様の性格的に気にしないとは思うが……。

 

 越前の職人が作ってくれたのは、宝刀とも言うべき芸術作品の刀で、とても実用的ではない。

 

「職人に頼んで実用的な太刀を作ってもらうしかねーな」

 

 というわけで、俺は材料の選定から始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 種付けおじさんの直感を頼りに俺はとある山に来ていた。

 

 こう何かしたい時には直感を頼れば大抵上手く事が運ぶのである。

 

 すると山の中に湖があり、俺は噴火口が湖になったのかな……と思ったが、種付けおじさんの力で地脈を読むと、どうやらそうではない様子。

 

「んん? じゃぁ何でこんなところに湖があるんだ?」

 

 山の中にある湖……自然にできるとは思えない場所である。

 

 俺は湖の中に何かあるのではと思い、湖を泳いでみると、中央付近に、明らか他の石とは違う不思議なパワーを感じ取れる石がそこにあったのである。

 

 引っ張り上げてみると……それは隕石だった。

 

「何で種付けおじさんの力が隕石に反応していたんだ? ……隕石……隕石……隠の堰……言葉遊びかよ!」

 

 いんって付く言葉なら何でも反応するんじゃないか……と思いながらも、ずっしりと重たい金属の塊である隕石を背負って、俺は一乗谷に住む刀鍛冶の職人を訪ねるのであった。

 

 

 

 

「へぇ……普通の石ではありませんね……これは」

 

「ああ、隕石だと思う。はるか上空から降ってきた石だ」

 

「そんな物が……これで刀を造れと?」

 

「ああ、できるか?」

 

「やってみましょう。職人の腕の見せ所ってやつでっさい!」

 

 職人も気合い十分。

 

 一応隕石に俺の気をたっぷり注入してから製作を依頼するのだった。

 

 

 

 

 職人は刀の細工に関わる職人達も呼んで、隕石で殿様(又兵衛)の刀を作ることになったと説明し、協力を依頼した。

 

「なに水くさいこと言ってるんだ! 幾つもの刀を造ってきた俺達にできない事はねぇ!」

 

「「「そうだそうだ!」」」

 

「それに殿様が使う刀ってことは、それだけ箔が付くってもんよ……立派な太刀にしてやんねぇと」

 

「それなんだが、津田の殿様はこの一塊の隕石で造れるだけ刀を造ってほしいのだとよ」

 

 目の前にある隕石の重さは約60キロ前後、米俵2俵分はあり、刀を造るとなるとここから不純物を取り除いたりしたとしても50振り以上は造れそうである。

 

「津田の殿様は予算に制限はつけないって言ってくださったから、俺達はとにかく現状できる最高の物を造ろうって話だ」

 

「なるほど……じゃったら儂らの作品が後世でも語り継がれる物へとしようぞ!」

 

 集まった刀鍛冶、研師、白銀師、鞘師、染師達がそれぞれ自身の弟子達も総動員して今できる最高傑作を造ろうと決まった。

 

 まず刀身造りには又兵衛様が見つけなさった燃える石(石炭)をふんだんに使い、隕石を加工しやすい隕鉄へと姿を変えていく。

 

「こりゃ普通の温度じゃ上手く鉄にはならねぇな。砂鉄も混ぜて粘り気を出さねぇと」

 

 色々工夫をして隕鉄を玉鋼へと変え、それを使って本格的に刀身を形成していく。

 

「えいや!」

 

「ほいさ!」

 

「えいや!」

 

「ほいさ!」

 

 真っ赤になった刀身を叩いて鍛えていく。

 

 この工程を行うと、刀身はより折れにくく、そして研いだ時に斬れ味が増すのである。

 

 鍛え終えたら特殊な粉末を刀身全体にまぶして乾燥させたら再び熱して焼き入れを行い、焼き終えたら水に付けて急速に冷やす。

 

 こうすることで刀に美しい刃文が浮き上がるのであるのだが。

 

「し、師匠! 刀身が黒色へと変わり、そして光り輝いています」

 

「おお! 神が宿った! これは素晴らしい逸品に仕上がったぞ!」

 

 最後に刀鍛冶の名前を柄で隠れる部分に刻印し、刀身が完成。

 

 続いて研師、白銀師と順々に己のできる技術で刀の完成度を高めていく。

 

 数振り失敗してしまったが、合計40振りが完成し、鞘に収めていないと常に光り輝いている代物になってしまった。

 

「これじゃあ夜戦では目立つな……」

 

 又兵衛様はそう呟くのだった。

 

 

 

 

 俺は刀鍛冶達から受け取った刀を手に持つと、先ほどまで淡い光りを放っていたのに、いきなり七色に光り出したではないか。

 

 ゲーミングカラーじゃねぇか! 

 

 確かに男根を七色に光らせる遊びとかあったよ……七色にしてモザイクの代わりにするのとか……黒光りしてるからって更に七色に光らせる必要はねーだろ! 

 

 俺は突っ込まずにはいられない。

 

 で、試し斬りを竹林で行う。

 

 職人達や見物客、家臣達も固唾を飲んで見守る。

 

 ゆっくりと竹に刃を入れて、スッと斜めに振り下ろす。

 

 俺の動きは流れる水の様に、滑らかに、無駄のない動きをしたはずだ。

 

 竹に刃を入れたが、斬れている様子はない。

 

 不思議に思った家臣の1人が斬った竹に触れると、時間差で竹が斜めに落ちて、地面に突き刺さった。

 

 周りに居た者達は拍手喝采である。

 

 ちなみに今も七色に光り輝いていはいる。

 

「うむ、実に見事な刀を作ってくれた。褒美として関わった者1人1人に500貫をだそう」

 

 俺はこの刀にそれだけの価値があるとして職人達に褒美を与えるのであった。

 

 

 

 

 なお名刀収集をしている信長様にも数振り黒色の刀身に光り輝く隕鉄刀を贈ったところたいそう喜び、感状と金塊が送られてくるのであった。

 

 

 

 ちなみにこの刀の殆どは現代にも残り、光り輝き続けながら博物館にて保管され、学者達がなぜ光り輝き続けるのか首を捻ることになるのだった。

 

 あと戦国物のゲームで津田隕鉄刀や又兵衛が愛刀にしたとされる肉刀という名前で収録され、身につけると武力のステータスが15から20上がったり、刀を擬人化するゲームではガチムチマッチョの明らかに日本人じゃないだろっていう黒人の外国の方が何故かキャラデザされることになるのだった。

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