【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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今後の治世を考える

 丹羽長秀殿指揮の元、長年建設されていた安土城の天守閣が遂に完成し、お披露目会が5月中頃開かれていた。

 

「どうじゃ馬よ、立派な天守だろ」

 

「おお、これほどまでの高さは市を救った際に城から飛び降りて空を飛んだ時以来かもしれません!」

 

「そんなこともあったな……」

 

 今日は明から密貿易で仕入れた砂糖を使い、小豆の餡と混ぜ合わせ、もち米を水と混ぜて薄く伸ばし、焼き上げた皮の中に餡を入れた最中を信長様と外を見ながら食べていた。

 

「馬! 食い過ぎだ! 余の分が無くなる!」

 

「信長様安心してください。まだまだ沢山あるので」

 

「ほほぉ! まだ数あるのか!」

 

「ええ、砂糖さえ手に入れば、あとは周りにある材料で作れますので……料理番にも伝えておきましたので」

 

「うむ、流石馬じゃな! 余の好みをよく覚えておる!」

 

「ただ食べ過ぎには気をつけてください。虫歯になりますからね」

 

「う、うむ……前に抜歯したのは痛かったからな。医者から歯磨きをするようにも言われておるから安心せい」

 

「それならいいのですが……今信長様に何かが起これば、織田政権が崩れかねませんからね」

 

「それは大丈夫じゃろ。強敵であった武田、上杉両家も馬や皆の活躍で倒した。北条、毛利も昔ほどの力は無く、防戦一方。四国も長宗我部が余に媚を売ってきてるが、四国全土は与えるつもりは無い。安土築城が終わり空いた丹羽長秀に四国征伐をやらせる」

 

「石山も今年中には落とせそうですか」

 

「うむ、昨年海戦に勝った影響は大きく、門徒を養っていくにも限界が来たのであろう。朝廷を動かし和議願いを出してきおった。本願寺の息の根も今年で終わりになるであろう」

 

 信長様曰く、石山本願寺は石山の土地から退去させ、空いた石山に畿内に睨みをつけるため安土城には及ばないが大きめの城を築城するのだとか。

 

「摂津が混乱の極みであったからな……状況が変わった。信道を大坂城主にして摂津を任せようと思うのだがどうか?」

 

「越前はいかがするのですか?」

 

「津田家の分家の毛受家に任せる。草(忍び)から馬の一族を領主から外せば一揆必至だと。慕われておるのぉ馬よ」

 

「あまりに手を入れすぎましたかね?」

 

「いや、朝倉の色をこの短い期間で消しされたのだ。上出来であろう。馬は越前、加賀、越後の三国領有か。クク、織田家随一の領主となったな」

 

「天下が安定すればそれだけ大領を持っていれば治世者から目をつけられて大乱を呼びかけませんかね?」

 

「その時はその時じゃな。血の繋がりで縛り付けるか、改易するか……それは余が考えることでは無い。よくやってくれた馬よ」

 

「ありがとうございます」

 

「そうそう、馬もう少し上の官位にせぬか?」

 

「いえ、既に従四位をいただいているのですが……」

 

「朝廷が余を正二位の右大臣に推すのだと。毛利におる将軍が将軍職を返上しない故に面倒な事が起こった」

 

 現在信長様は正三位だが、それだと征夷大将軍でもギリギリ成れる官位であるため、一応足利義昭は従三位で格は信長様が上回っているが、征夷大将軍職を任官できていないので幕府を開くことができていなかったのである。

 

 信長様は幕府にこだわってなかったが、家臣達は新しい幕府を立ち上げ、功臣として名を刻みたい……という思いから、信長様の代では無理でも現在当主である信忠様の代で幕府を開府してほしいと願い出ていた。

 

「朝廷を権威として押し上げてしまい、実権を織田家が掌握した新政権を樹立すればよいのでは? 他国では立憲君主制と呼ぶらしいのですが」

 

「ふむ、詳しく聞こうか」

 

 中華では皇帝が絶対的な権力を握っており、日ノ本では帝に成り替わる様なことをしなければならないのでそれをしてしまうと、数千年続いた天皇家の否定になってしまうので、これはやりたくない。

 

 信長様も帝は神聖なものであるとしていじりたくはないし、現在の織田政権の権威を担保してくれているのも帝含めた朝廷なので、できれば上層部の貴族もいじりたくは無く、箔だけのお飾りにして、国政は織田家が牛耳る様にしたい……

 

「結局は幕府の体制が一番近いですが、そうなると帝の下に法を置き、更に下に国政を動かす織田家がいるような体制を作ればいいのですよ」

 

「法を余の上に置くのか?」

 

「治世者が法を守る姿を見て臣下や民はようやく法を守るのですよ。これから信長様がやるべきことは鎌倉や室町の様な杜撰な法ではなく、百箇条以上の国の根幹となる法典を作ることにあります。私も一緒に考えるので、信長様が思う理想の国を作り上げていきましょう」

 

「うむ、そうだな。そして馬や宣教師共が見せてくれた地球儀……あれを見て思う。日ノ本は小さい。故に外を見なければと」

 

「はい! 天下が治まれば、次は外界ですかね?」

 

「うむ、馬は大陸に挑めば勝てると思うか?」

 

「それをやると国が崩壊しますので、簡単な場所から攻め落として力を蓄えましょう」

 

 信長様と地球儀を引っ張り出して語り合った。

 

 九州を制圧し、琉球まで行き、琉球から台湾、そして東南アジアへと領地を広げる。

 

 北は蝦夷から樺太、千島列島を通りアラスカへ。

 

 地球儀で描かれてない部分は俺が継ぎ足して、世界を広げていく。

 

 その日から1ヶ月俺は安土に留まり続け、信長様と毎晩床を共にしながら、今後のことを語り合うのであった。

 

 そんな日々の崩壊がもうすぐそこまで来ているとは知らずに……

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