【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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石山本願寺の崩壊

 1579年10月……長年続いていた石山本願寺が事実上降伏となる朝廷との和議が織田家と成立した。

 

 本案件は織田家から当主である信忠様名義で記載され、信長様は書簡にサインを入れる事は無かったが、約9年間の戦いがこれにて決着。

 

 石山本願寺は石山の地から退去を朝廷から命じられ、本願寺は京に監視付きで存続を許され、石山に集まっていた門徒は武装解除の上で解散させる……という条件であったのだが、石山本願寺はここにきて内部分裂を開始。

 

 現門主である顕如は和平に応じる為石山を先立って退去したのだが、その嫡男である教如が事実上の降伏となる和議を認めないとして抗戦派の僧達を巻き込んで、武装解除に応じず、抗戦の構えを解かなかった。

 

 これに驚いたのは塙直政である。

 

 彼は長らく石山方面軍として石山の包囲に尽力していたのだが、武装解除の失敗により、石山に中途半端に踏み入ってしまうことになり、配下に多大な損害を受けたのである。

 

 これにはようやく石山が決着し、四国攻めを考えていた信長様は西国を攻めるスケジュールが大幅に狂うとして塙直政を他の家臣達の前で叱責し、何度も扇子で頭を叩きつけるという、信長様らしくもなく、酷く激怒していたのである。

 

 この時信長様の近くで新しい国作りに向けて法典を整備していた俺も叱責される塙直政殿を見ていたが、屈辱故か、それとも自身の至らなさからか、酷く顔を歪めていたのが印象的であった。

 

 石山本願寺の武装解除失敗により、塙直政殿は影響力を落とし、信長様は塙直政殿を石山方面軍から降格人事を行い、代わって石山方面軍を任されることになったのは滝川一益殿であった。

 

「勘弁してください信長様……私もう体のあちこちにガタが来ていますし、紀伊国の安定化が完全に済んだとは言い切れないのですが……」

 

「馬でも良いが、ここで石山を降伏させたともなれば功績が大きく成りすぎる。馬はこの性格故に問題は起きんが、馬の派閥が大きくなりすぎれば信忠の時に害になる可能性が出てくる」

 

「滝川殿、申し訳ないのですが、自分も織田家中心の国作りの法典を作る作業や占領したばかりの越後統治、更には奥州の睨みと幾つも並行していて、ここに石山攻めまでやらされたら体が足りないので……」

 

「四国攻めに整備していた米五郎左(丹羽長秀)も副官に付ける。お主ら2人であれば下手を打つことはないだろう」

 

「丹羽長秀殿を副官に就けてくれるのであれば……まぁ……」

 

「悪いな一益。詫びにお主が欲しがっていた茶器を幾つかやるから」

 

「俺からも取っておきの茶器を譲るので」

 

「……信長様と又兵衛にそう言われたら仕方がありませんね……わかりました。最後の奉公として頑張ります。ただこれが終わったら隠居させてください。俺は柴田殿とは違い生涯現役は無理なので」

 

「うむ、権六(柴田のオヤジ殿)はあやつも60過ぎてるのに子供作ってるくらい人外に片足突っ込んでおるからな。あやつは戦場がある限り働くって言っておったし、まぁ使えるうちは使い続けるが……余も流石にあの年で現場仕事はしたくは無いが……」

 

「あと明智殿もそろそろ隠退させてやっては? 前に戦で大怪我負ってから明確に老け込んできましたし」

 

「うむ、金柑(明智光秀のこと)もそろそろ隠居させねばな……余と同年代が次々に隠居していく……」

 

「信長様は精力的に活動されてますが、一応家督を譲って半隠居みたいなものなので、大殿……いや、大御所様とお呼びした方がいいですかね?」

 

「まだ余は50歳にもなっておらんからまだ完全隠居は先じゃ! 日ノ本を統一するまでは安心して信忠に任せられんし、信忠の息子は産まれたばかり……信忠も信忠で武田の姫君にゾッコンで、あやつが奥方の統率できているか不安なのじゃがな……」

 

 武田が滅亡した際、信忠様の命令で武田の姫君で長年手紙のやり取りを続けていた松姫に惚れ込んでおり、武田滅亡の際に救出して、信忠様の奥方の1人として愛されていたのだが、家中では亡国の姫というのと、武田の裏切りによって一度婚約が破棄されての復縁という形なので、一応信忠様は彼女を正室として扱っていたが、他の織田家家臣や奥方からは白い目をされていたのである。

 

 しかし、彼女はそんな目にも負けずに信忠様から俺に気を注入してくれとの懇願もあり、姫君の松姫と信忠様にそれぞれ気を注入して、3年前に待望の男子を授かっていた。

 

 家臣達は武田の血が入った事にモニョモニョしていたが、信長様自身も自身の初孫を可愛がっており、後継者順位を孫を第二位に就けていた。

 

 現在織田家は家督が信忠様にあるが、信忠様に何かあれば正室の子である信道様に家督継承が行われることになっており、その下の松姫と信忠様の子……吉法師様は10歳で元服を迎えられ次第後継者順位を繰り上げるという事を織田家華族間で決められていた。

 

 ただ信道様の兄でもある信雄様と信孝様は凄い複雑そうな顔をしていたが……。

 

 現状その信雄様や信孝様は失敗もしてなければ大きな功績も無いので継承順位が信道様の下になっていることに少々腹を立てている感じが見て取れる。

 

 このまま何事もなく、吉法師様に繋げられると良いのだけど……。

 

 そういう訳で、滝川一益殿は塙直政殿の軍を引き継いで石山再包囲を行い、後々丹羽長秀殿が合流。

 

 塙直政殿は領地にて蟄居を命じられるのであった。

 

 意図せず朝廷の和議を反故してしまった本願寺の講和派や顕如は、時の天皇を怒らせてしまい、信長様が存命のうちは本願寺の復興は許されず、京にある本願寺派の寺に幽閉されることになる。

 

 そう、信長様存命の間は……。

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