【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「信道、これは何の真似だ!」
「信孝兄さん、貴方が徳川と繋がっているのが悪いのですよ。殺しはしませんが、また動くようであれば……」
信道率いる明智、羽柴連合軍こと織田軍は美濃付近まで進出してきていた徳川軍を一蹴。
というよりも羽柴秀頼が呂布の如き活躍と羽柴と明智の若手衆が大活躍し、徳川の軍勢を美濃から撃退し、一気に奪われていた尾張に侵入したのである。
その途中というか、清洲城の留守を任されていた信孝を電撃戦で織田軍が拘束。
仲の悪い信雄なんかは信孝を処刑するべきだって騒いでいたが、徳川と内通していた信孝に後々責任を取らせるために今は生き残ってもらわなければならない。
「さて、尾張は片付いたので、三河へ攻め込みますが……又兵衛は大丈夫ですかね……」
信道が俺の心配をしている頃に、俺率いる津田軍は自転車や馬に乗って信濃に向かっていた。
「信長様は信道の方に行かなくてよかったのですか?」
「アヤツに着いて行っても邪魔に成るだろう。だったら権六の顔を見たほうがマシだ」
「なるほど」
俺は津田家が育てた大型でスタミナ豊富な馬に跨って、信長様を支えながら移動する。
信長様も馬(俺)の育てた軍馬は質が高いなと褒めていたが……。
あとは自転車部隊も結構シュール。
馬と自転車が並走しているのはここだけでしか見られない光景だろう。
安土城から越前から北陸経由で信濃を目指す。
距離的には美濃から信濃を目指した方が近いのであるが、街道が整備されている北陸経由の方が結果的に早いのだ。
「霧丸、徳川は信濃のどこらへんまで侵入しているのだ?」
「は! 現在諏訪付近まで侵攻していると調べております。今の津田軍の進行速度ですと、信濃に到着するのに1週間ほどは掛かるかと」
「ふむ……」
美濃経由だと途中で飛騨山脈を越えなければならないので時間がかかる。
これが正しいと分かっているが……。
(柴田のオヤジ殿……どうかご無事で……)
強行軍で進んでいくが、津田軍は常備兵……厳しい訓練を受けてきた精鋭中の精鋭である。
そのため、速度が落ちることなく越前を通過し加賀に入っていくのであるが、途中で、謙信こと銀子と、松永久秀ことマリアも合流して、賑やかになっていた。
「お主らが生きているとな……久秀に謙信も」
「信長も女になってはお終いじゃな。お市が信長が討たれたと知って悲しんでおったがな……この戦が終わったら顔を出してやれよ」
「女になった余を市はうけいれてくれるかのぉ……」
「そんな軟な女ではないだろうお市は。あれでも8人も子を産んだ母親だぞ」
「母親は強いぞ信長!」
女になったことで気さくに喋るマリアと銀子であるが、信長様は距離感が近い2人の男としてのイメージがあるのか若干困惑していた。
「なに、乱が終われば信長も又兵衛に抱かれてみればわかるのじゃ。男同士よりも男女の方が快感は強いぞ。子供も産めるしのぉ!」
マリアがそんな事をいうが、信長様も満更でも無さそうである。
そんな会話をしながら、越前を抜けて、加賀、越中へと抜けていく。
情報が逐一更新されていくが、柴田のオヤジは北条軍との決戦に大勝して、信濃に向かっているという情報も入ってきた。
これで、徳川は信道様率いる織田本軍と津田軍、柴田軍の2方向から攻められることが確定したし、北条軍の援軍も期待できなくなった。
「詰みだな」
信長様はそう呟いたが、俺もそう思う。
そして今回の乱の最終局面へと移行していく。
「お待ちしておりました。津田殿」
「真田昌幸殿だったか……よく信濃戦線を持ちこたえてくれた」
「いえ、これくらい徳川家康が率いていない徳川家など造作もありません」
「どういうことだ?」
信濃入りした俺は、柴田のオヤジ殿よりも先に前線で戦っていた信濃防衛軍と合流し、それを率いていた真田昌幸殿から徳川家康が既に死んでいることが伝えられた。
真田昌幸殿が今回の乱を整理したところ、首謀者は佐久間信盛こと天海が全体絵図を描き、織田家との関係性を考慮していた徳川信康(家康の長男)と徳川家臣を上手いことコントロールし、更に織田家と繋がり深い水野家残党に徳川家康を暗殺させることで、徳川家臣を反織田で統一。
佐久間信盛と関係深かった塙直政や徳川の忍び衆を使って反織田の残党を集め、本能寺を襲撃。
混乱の中、徳川家は織田家中枢である尾張、美濃、信濃を奪取することで、織田家を機能不全にしつつ、戦力差を埋め、北条、毛利、四国の長宗我部といった勢力を動かして、第四次織田包囲網を組もうと考えていたらしい。
結果、既に包囲網は崩壊しつつあるが……。
「家康が死んだ……だと……」
それを聞いていた信長様は何度目かの衝撃を受けていたが、気持ちを切り替え、最終局面の詰める盤面を見据える。
「信濃に侵攻してきている徳川軍を潰してしまえば、徳川家は崩壊します。柴田様を待つというのは愚策。津田軍と私が率いている信濃の兵で片付けられます」
「策はあるのか? 昌幸殿」
「ありまする!」
いよいよ乱の終わりが近づいている。