【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

24 / 202
信長一行慰安の会

「ふむ、いい湯だ。馬よくやった」

 

「ありがとうございます」

 

 この日、信長様は家臣達を連れて俺が掘り起こした温泉に入りに来ていた。

 

 メンバーは森可成様、丹羽長秀様、柴田のオヤジ殿、村井貞勝様、林秀貞の俺と仲の良い重臣メンバーである。

 

 あと利家と佐々成政殿も護衛として来ていたが、入浴している。

 

「湯が白いがどんな理由だ? 仙湯の類か?」

 

「オヤジ殿、多分火山にある悪臭の原因の硫黄という成分が湯に溶け出して白く濁っているかと……あ、飲んでも大丈夫ですし、水源近くだと更に熱湯なので、卵を茹でたり、蒸気で蒸し物を作ったりしていますので」

 

「ほほぉ、馬よ、それらは勿論食べられるのであろうな?」

 

「はい、準備しております」

 

 それを聞いた信長様は上機嫌である。

 

「しっかし、湯に浸かるというのは気持ちいいものですな。日ごろの疲れが吹き飛びまする」

 

「おや、林殿もですか、私も時々痛む腰痛が湯に入ったとたん消え去りましてな。湯治という治療法があるように、温泉に入ると体の不調が良くなるのですかね」

 

 村井様と林様の文官コンビも温泉の効能に満足しているらしい。

 

 一方で丹羽長秀様と佐々成政殿は俺のイチモツを見て、あまりの大きさに噂は本当であったかと仰天していた。

 

「いやぁ見事な三本足ですなぁ」

 

「良いなぁ又兵衛は、それほどの大きさであれば嫁達も大満足だろう! 何か大きくするコツとかあるのか?」

 

 あそこが小さいことにコンプレックスがある成政殿が聞いてきたので、俺が作った精力剤を飲み続ければ大きくなるかもしれませんと、後でプレゼントすることを約束した。

 

「又兵衛、蒸し風呂は無いのか!」

 

「勿論ありますよオヤジ殿」

 

「おお! そうかそうか!」

 

 柴田のオヤジ殿が蒸し風呂に行きたいと言うと、文官2人を除いた他のメンバーも蒸し風呂に入りたいと言い出し、全裸で蒸し風呂に直行。

 

 湯源近くに蒸し風呂用の小屋があり、その中に皆入っていった。

 

「おお! あっついな!」

 

「ジトッとして汗が噴き出すこの感じ……実に心地よい」

 

「皆様、もし良ければ顔に泥を塗りませんか?」

 

「泥とな?」

 

「はい、異国では薬効のある泥を作り、顔に塗り込むことで顔の汚れや悪臭を取り除く効果があるとされていまして」

 

「なるほど……」

 

 信長様はそう言うと、桶に盛られていた泥を手に取り、顔に着けた。

 

「顔全体に伸ばしてみてください」

 

「こうか?」

 

「そうです」

 

 信長様がやるので、他の人達も泥パックを試していき、そのまま腰掛けていく。

 

「やはり普通の水でやる蒸し風呂より、湯源を使った蒸し風呂だと温度が一定で心地よいな」

 

「全身から汗が滴りますなぁ」

 

「ではそろそろ出ますか」

 

 各々小屋から出ると俺が桶を渡して顔を洗って見るように勧める。

 

 泥を水で洗い流すと、皆スッキリした顔をしていた。

 

「権六、お主の髭が随分綺麗になったな!」

 

「ありがとうございます信長様!」

 

「いや、実に良い、顔が引き締まる!」

 

 皆汚れが落ちて満足らしく、俺はそのまま水風呂に入ることを勧め、水風呂で体を冷やしてから、椅子に腰掛ける。

 

「「ふぉぉぉぉ!? なんだこれは!」」

 

 利家と成政はサウナ、水風呂、そして外気浴による整うを体験して強烈な脳内麻薬に支配されているっぽい。

 

 他の人達も水風呂から上がり、椅子に腰掛けて脱力すると、目がガンギマリになって凄いことになっていた。

 

「うぉぉぉぉ! き、気持ちいい!」

 

「なんという極楽!」

 

「蒸し風呂で体を温め、水風呂で冷やしてから椅子に座って脱力するとこんなにも気持ちが良いのか」

 

 他の皆さんも満足したみたいで、信長様なんかは

 

「馬! もう一度だ! あの気持ちよさ癖になる!」

 

 ともう一度蒸し風呂に入りに行ってしまうのであった。

 

 

 

 

 

「いやぁ、大満足! 馬! よくやった」

 

「ありがとうございます」

 

 サウナ道ことサ道に通じることをやって蒸し風呂組も満足したらしく、湯船に浸かっていた文官組と合流し、脱衣所にて体を拭いて、浴衣に着替えてもらい、休憩所に移動。

 

 そこで俺は皆さんにとある飲み物をお出しした。

 

「湯上がりの一杯として満足いくものを用意しましたので皆さん飲んでもらえますか?」

 

 そう言って出したのはコーヒー牛乳。

 

 勿論色々違っており、コーヒー豆ではなくたんぽぽコーヒーを使い、コーヒー風味にし、熱殺菌した牛乳に蜂蜜で甘さをつけたなんちゃってコーヒー牛乳である。

 

「茶色く濁っているが、これが飲み物か?」

 

「未知の味を体験できます。味の良さは保証しますよ」

 

「どれ!」

 

 新しい物好きな信長様は俺の説明の前にグイッと飲んでいった。

 

 家臣の皆さんが信長様に注目が集まる。

 

 すると、信長様は眼孔を開き、美味! と叫ぶ。

 

「これは余の好きな牛乳であるな! それに甘さは蜂蜜か……ただ少し遅れて来る苦味……これが分からぬ。分からぬが……苦味がより甘さを引き立てる! 美味である!」

 

「皆さんも探ってみてはいかがですか?」

 

 と俺が言うと飲み始め、確かに美味いとか甘さの中に上品さを感じると好感触。

 

「又兵衛、もったいぶってないで教えろ」

 

 柴田のオヤジ殿に言われて俺はたんぽぽであることを伝える。

 

 たんぽぽの根を掘り起こし、灰汁抜きをし、細かく刻んで乾燥させ、煎って風味を引き出し、煮出すことで完成するお茶の一種であると説明する。

 

「苦味の正体はたんぽぽであるか」

 

「ほぉ、たんぽぽの茶は聞いたことがありませんな」

 

「効能としては牛乳は熱で沸かしてから冷やすことで腹を下しにくくし、適切に飲めば腹の調子を整える効果があります。たんぽぽは便秘の改善、二日酔いの予防にもなり、蜂蜜は体調不良を治す効果があります」

 

「薬の一種ということか」

 

「はい、ただ病気になってから飲むというより病気になる前……健康な時に飲むことで予防に繋がる意味合いの方が強いです」

 

「又兵衛、よくそんな知識があるな」

 

「忍びの里や旅をした時に泊まった寺にて色々勉強いたしました……ささ、喉が潤ったところで本日の料理になります」

 

 そこに出されたのはざるそば、蒸し饅頭(塩餡)、豚汁である。

 

「これは何だ?」

 

 信長様より質問され、俺は

 

「ざるそばというもので、小麦粉とそば粉を混ぜて麺にし、湯がいた物です。醤油という大豆から作ったタレにわさびとネギを入れてお食べください」

 

 俺も知らなかったが戦国時代には麺のそばがない。

 

 蕎麦がきというそば粉を熱湯で練って作る物はあったが、それ以外のそばの活用法が雑穀に混ぜて食べる以上は無かった。

 

 あとは袋に詰めて枕にするとか……。

 

 あまり武士達は好んで食べる食べ物ではないという認識である。

 

 せっかく農民達が救荒食物として育てているので、そばを広めようと俺が率先して食べ方を伝えていた。

 

「「「!?」」」

 

 ジュルリとざるそばを啜るとそばの粉を使っていると聞いて不安がっていた面々も驚愕し、ツルツルとそばをすすっていく。

 

 柴田のオヤジはわさびを入れすぎたのか泣きながら食べている。

 

「そばの粉を使った飯がこれほど美味いとは……」

 

 塩饅頭も好評で、塩餡が食欲をそそると美味しそうに食べている。

 

 そして具だくさんの豚汁も食べ終わり、利家なんかはご飯を3杯もおかわりして、皆に笑われる一幕もあったが、大満足な温泉堪能会であった。

 

「馬、定期的に来ることになろう。空き地に余の別荘を手配するから土地を作っておけ」

 

「は、はい!」

 

 居座る気満々の信長様であった……。

 

 なお、今回来なかった俺のことを農民出と馬鹿にしていたため呼ばれなかった筆頭家老の佐久間信盛は行けば良かったと悔しがり、小姓頭の加藤は出世してもなお信長様との距離が近い俺の引き剥がしに躍起になるのであった。

 

 

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