【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

29 / 202
エジプトではナイル川に王様が精液を撒くという伝説がありまして……

 モッサァ……。

 

 俺の目の前には秋に蒔いた小麦が1つの畝だけ、異様にもっさりしていた。

 

 予想できるように俺の精子を薄めて撒いたところである。

 

 まぁ温泉の水を撒いたところや、カルシウム豊富な卵の殻製の液体肥料を撒いたところも他の村人の畑と比べると大豊作の部類であるが、それがだいたい他のに比べて3倍程の収穫量とすると、精子を薄めた液体を撒いたところは10倍じゃ利かない量が実っていた。

 

 というか品種自体が違うように見える。

 

 小麦って先端から5センチから10センチ程の穂が実っているが、俺の精子を撒いたところは50センチくらいまで穂が実っている……。

 

 明らかに異常である。

 

「小麦って種付けおじさん的な逸話あったっけか?」

 

 俺はこの時知らなかったが、実はこれ逸話があったりする。

 

 古代エジプトの種付けお兄さん(王様)達ことファラオ達はナイル川流域の農作物がよく育つ様に川に精子を放出するという公開オナニーをして豊作を祈っていた逸話がある。

 

 今回作物が異様な成長をしたのはこれのお陰であったりする。

 

 その事を知らない俺は何か種付けおじさんの能力で農作物が凄いことになると考え、試しに種籾も精液を混ぜた液体に浸して発芽を促す浸種の時にやってみることにした。

 

 米の準備も程々に、まずは小麦の収穫。

 

 子供達や家臣総出で村の小麦畑を収穫していく。

 

「な、なんだあれは!」

 

「り、領主様の収穫がすごい速度だ!」

 

「分身しているぐらい速い!」

 

 年齢も今年で18歳(数え年)……種付け少年から種付けお兄さんに成長した俺の肉体スペックは更に上がり、重労働な収穫作業も素早く、丁寧にやっていった。

 

「領主様の畑の小麦は出来がすごいですね」

 

「穂の部分が他に比べて凄まじいだぎゃ!」

 

「来年は種籾としてこれは使いましょう。もしかしたら収穫量が多い品種になるかもしれませんし」

 

「く、配ってくださるのですか!」

 

「勿論、領民の皆さんを飢えさせないだけでは統治者としては二流、一流の統治者は皆さんを豊かにさせなければなりませんからなぁ」

 

「「「おぉ!」」」

 

 領民達や家臣達から尊敬の眼差しを一身に受け、雰囲気的に好感度が上がった気がする。

 

 さて、収穫が終われば脱穀したり、製粉する作業が待っている。

 

 この製粉をするために、冬のうちに俺は水車の建設を済ませておいた。

 

 小麦やそばは製粉するのに、パーツを組み替えれば米の精米をするのにも使えるようにしてある。

 

 あとは裏作で作った小麦も勿論課税対象で、俺も心苦しいが、五公五民の織田家で決められた税率に従い、収穫した一部を織田家に納めなければならない。

 

 領地を持っていても、直臣の場合、収穫の一部は主君である織田家に納めることになるのである。

 

 まぁ大半は領主である俺の懐に入るのであるが……。

 

 領主と言っても城持ちではなく、立場も足軽大将……まだ半農半士の領域である。

 

「領主様! 脱穀した麦、袋に詰めました!」

 

「そうか、売る分はすぐに商人に売ってしまおう。残りは蔵で保管だ」

 

「はーい!」

 

 そんな感じで小麦の収穫を終えたらすぐに畑を今度は田んぼに変える作業に取り掛かる。

 

 藁の一部は牛や馬の餌にするが、残りは燃やして焼畑をし、土に栄養の還元をしていく。

 

 そこに牛糞、馬糞、豚の糞、人糞などで作った肥料を土に混ぜて、土を整えたり、あぜの整備をしていく。

 

「いけー牛馬軍団! 畑を耕せー」

 

 ヒヒーン

 

 モォー

 

 とすっかり数が増えた牛と馬達に田んぼを耕して土をかき混ぜてもらう。

 

 ここで深く耕せるかどうかで、収穫量だったり、風での転倒確率が大きく変わってくる。

 

 あとは俺を崇拝している忍びの家臣達に精子で漬けた種籾を配り、納屋で発芽させて苗にしてから植えるやり方や正条植えの利点を説明していく。

 

 それを理解した忍び達はすぐに村人達にも農法を広めていく。

 

 というわけで田んぼに水を張っていくが、俺は夜にこっそり川に精子を垂れ流して田んぼに水が行き渡るようにした。

 

 これでどの様な効果が起こるかの実験である。

 

 そんな事をしながら、田んぼに苗を植える時となり、水を張ってから苗を集団で植えていく。

 

「きちぃ……」

 

「腰にくる……」

 

「こんなキツイことせんでもええんじゃないか?」

 

「でも領主様はやってるだぎゃ!」

 

「領主様が育てた麦は豊作だった……米もきっとこのやり方なら豊作になるんじゃないか?」

 

 半信半疑であるが、俺だけでなく、俺の妻達(元姫様)も含めて田植えをしているので、文句は言うが、辞めようという人は出てこずに、田植えをやりきった。

 

 まぁ川から水が引ける距離が限られているので、他のところは畑としてまた小麦を蒔いたり、野菜の種を蒔いていく。

 

 大豆なんかも蒔いて、落ち着いたのが梅雨が始まったくらいで、俺が川に精子を撒いたせいか、それとも種籾を精子漬けにしたせいか分からないが、明らかに生育が良い。

 

 田んぼが緑色の絨毯の様になり、しかも川で釣りをすると拳より大きくなったサワガニだったり、巨大スッポン、大きな鯉やウナギ、ナマズが捕れる様になっていた。

 

 村人達は豊作の前触れであると喜んでいたが、こんな事が起こったのが、川に精子を振り撒いてからなので、俺は俺のチートが想像以上に凄いのではないか、もしくはチートが成長していると感じることになる。

 

 農作業が落ち着けば別の種付けシーズンが到来し、10人の嫁達への種付けを行い、無事に全員懐妊。

 

 恐らく年を越して2月ごろに出産シーズンを迎えるであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 パンパン

 

 俺はでっかく育った馬の尻を手で叩く。

 

「おー、お前さんも随分でっかくなってきたなー」

 

 桶狭間で拾ってきた初代から見て3代目に当たる牝馬であるが、現在1歳ながら馬体重480キロ近くあり、将来的には550キロを超えそうである。

 

 俺が能力で産ませているが、牛も馬も世代を重ねることにどんどん肉付きが良くなり、より大型になっている気がする。

 

「よっこらしょっと……今日も小牧山城まで頼むな」

 

 ヒヒーン

 

 頭も良く、最近ではすっかりこいつに乗って移動するようになっていた。

 

 本来馬は2歳以降から乗馬出来るようになるが、この子は1歳でも古馬顔負けで雄大な姿を醸し出していた。

 

 牝馬ではあるが……。

 

 走ること40分……小牧山城に到着し、馬番に馬を預けて登城する。

 

「又兵衛、随分と立派な馬だな」

 

「あ、利家。うちで繁殖させた馬だ。人懐っこくて賢く、それでいて力強い走りをするぞ」

 

「へぇ……良いなぁ」

 

「今乗ってきたのは譲れねぇが、今年産まれた姉妹の仔馬も素質十分だが、もし良ければ譲ろうか?」

 

「え! いいのか!」

 

「利家には世話になってるし、今後の付き合いを考えたらの投資だよ投資。もう少し大きくなってから譲ることになるが、それでいいか?」

 

「ああ、勿論! いやぁ、いい馬はなかなか手に入らないからな! ありがてえ!」

 

 そんな会話をしながら政務をする場所に移動して、政務に取り掛かる。

 

「信長様と言えば火縄銃ってイメージがあるけど……火縄銃ってこんなに高いのか……」

 

 最近俺は火縄銃の訓練をするための物資の調達を任されていた。

 

 火縄銃はこの頃1丁10貫……現代換算で120万近くであり、超高級品。

 

 しかも1発発射するのに現代換算で5000円から1万円近くの弾薬を消費してしまう。

 

 それを信長様は現状1000丁近く保有しており、有力家臣達に鉄砲が使えるようにと訓練をするように推奨していた。

 

 俺の場合鉄砲撃つよりも弓で射った方が速いし確実に相手を殺せるのであるが、鉄砲の勉強もしていた。

 

 やっぱりというか、銃は俺のマグナムが火を吹くみたいに言うように、種付けおじさんのチートに適応し、的には100発100中であった。

 

 しかし、有効射程距離が100メートルというのが気に食わない。

 

 弓であれば400メートルが有効射程であるからである。

 

「そうは言っても時代は鉄砲だよ!」

 

 そう言うのは橋本道一という武将である。

 

 元々この人の父親が信長様に鉄砲を売り込んだり、技術を教えた師匠で、その息子の橋本道一殿は儀長城と一色城という2つの城を持っている織田家でも有数の家臣なのであるが……なんというか……影が薄い人物である。

 

「僕織田家で上位に位置する城持ちの家臣だと思うんだけど……信長様から毎回名前を間違えられたり、他の家臣の方達からも名前を忘れられたりするんだけど酷くない?」

 

「い、いやぁ……私にそう言われても……」

 

「又兵衛は僕の名前を間違えないから好きだよ! でも弓の方が得意なのは見逃せないなぁ……」

 

「いや、鉄砲の有用性は理解しているつもりですよ……弓より訓練時間が少なくて、一定以上の練度があれば敵兵を殺せないって事もないですし……」

 

「そうだよね! そうだよね!」

 

「でもお値段が……」

 

「うぐ! それを言われるとなぁ……」

 

 威力はあるのだが、やはり値段がネック。

 

 火薬も輸入しなければならないから高いし……。

 

「又兵衛、何とか火薬の値段だけでも安くならないかなー」

 

「そんな俺は打ち出の小槌じゃないから出来ない物は出来ませんって……」

 

「うーん……忍びの人達は火薬の製造が出来るって聞いたことあるんだけどなぁ……」

 

「分かりました。忍びの知り合いに聞いてみますよ」

 

 というわけで、家臣の忍び達に火薬の製造方法は知っているか聞くと、それは忍の里の秘伝だから流石に持ち出しは難しいかと……と言われてしまう。

 

 駄目元で伊賀の里に居るはじめの親父さんに会いに行き、直接聞いてみると

 

「ええよ!」

 

 と普通に教えてくれた。

 

 まぁ交換条件として信長様が伊賀周辺に進出してくるようなら正規雇用で雇ってくださいというのだったので、信長様に確認したら、火薬の製造方法が知れるなら安いと許可を出され、俺は火薬の製法を学ぶのであった。

 

 

 

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