【書籍化決定】種付けおじさんIN戦国 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
「栗……滅茶苦茶立派に育ってきたな……」
植えてから1年と半年ほど。
桃栗3年というが1年半で俺の精子を振り撒き、すくすくと成長した栗はもう俺の背丈を超えて、今年中には実を付けそうである。
「まぁ黄金に光ったりしなければ良いか」
そう思っていたが、俺の植えた栗の木々……実を年に3回つけるようになる。
春に1回、夏に1回、秋に1回……冬以外にはほぼ栗の実が実る様になり、俺は明らかにおかしいが、まぁ栗がほぼ1年中食べられるから良いか……と達観してしまう。
これが美濃加茂に伝わる三度栗伝説の始まりであった。
年が明けて1月半ば、出産シーズンとなった家の嫁さん達は相変わらず大きなお腹に力を込めて出産をしていた。
子供の数も40人を超えて、一番大きな子達は数え年で6歳……来年には現代だったら小学校に通うような年齢である。
ちなみに俺が孤児として拾ってきた子供達は今数え年で12から15歳。
小学校高学年から中学2年生くらいにまで成長し、少年連中は俺が元服を済ませてやった。
まぁ俺自身が数え年で18歳になったばかりなので、年齢差はそこまで無いが……。
嫁連中も高校生から大学生くらいの年齢になったため、もう魅力が爆発している。
20超えたら行き遅れってこの時代の人々は言うが、20歳を超えた玉や紅姉妹はメートルおっぱいも相まって、着物を着れば多くの男が振り向く美女に進化していたし、雫の母親の望もそろそろアラフォーとなるが、俺から精気を注入されまくった結果、25歳くらいの若々しさを保っていた。
「むう、皆胸滅茶苦茶大きくなっているのに私だけ胸じゃなくて下半身に肉が付く!」
「いいじゃん。女性の魅力は胸だけじゃないぞ」
「授乳の時に胸がそこまで大きくないのに赤ちゃんが滅茶苦茶吸うから毎回敏感になるくらい腫れ上がるの! それを毎晩毎晩いじくってくる悪い亭主が居るから……」
「なんだ? 気に入ってたんじゃないのか? 乳首つねったら毎回逝きまくっていたじゃん」
「あれは……その! えっと!」
「はい論破ー」
「むきいいい!」
「子供達の前で痴話喧嘩するのは相変わらずですね……」
そうツッコミを入れたのは里子であった。
「里子は出産してから体の調子はどうだ?」
「絶好調です。今ならくノ一としての技量も冴え渡りそうですよ!」
「房中術が凄そうだな……まぁ他の男ではもう満足できない体に開発してしまったがな」
「いやん……実際、もうくノ一としては廃業ですが、子供達に技術の伝授は進めたいと思います」
「うん、頼む」
「だぁ……京の情勢がとっ散らかっておって何から処理していけばよいかわからん」
「おいたわしや信長様……」
いつものように寝室に呼ばれて夜戦をした後のピロートークとして、今回は京の情勢についての会話らしい。
足利義輝暗殺から約半年……世間では永禄の変と呼ばれるようになった事件から畿内はまだ混乱から立ち直っていなかった。
まず暗殺を実行した実質畿内の支配者である三好勢力は当主含めて一族の多くが暗殺実行前に亡くなったり不審死が相次いでおり、勢いは完全に死んでいた。
そこに今回の暴挙を起こしたのが三好の重臣達であったことで、三好は勢力の立て直しどころか、自ら基盤を崩すような事をしてしまう。
この時に別系統の足利一門の方を傀儡将軍として担ぎ出したが良いが、傀儡が出来るほどの体調をしておらず、京に入ることすら出来ていないグダグダっぷり。
で、こういう時に他の足利一門を担ぎ出そうという勢力が出てきそうであるが、これが不思議なことに近場は憤慨していたが、自ら京に入り政務をしてやるぜーという勢力は一切現れず、遠方だと上杉謙信が足利義輝と仲良かったのでブチギレて三好殺すと殺害宣言を毘沙門天の神様に誓っているのが、織田領内にも聞こえてくるほど切れ散らかしていたが、武田信玄や北条一門による反上杉運動が活発化して全方位敵となっていた。
で、動けそうなのが美濃を押せ押せしている信長様くらいなのだが、現状足利一門の誰からも京に来て欲しいなーという要請を受けていないので動こうにも動けない。
「あ~、誰か京の情勢を詳しく調べてはくれないかなー」
チラッチラッと俺を見ているので、要は京で情報収集してこいってことである。
「畿内情勢を調べてくればよろしいのですよね?」
「そうだなー、後畿内の詳しい地図とかもあると嬉しいなー」
「分かりました。嫁達には言っておきますので、入浴する際には一応家臣の方とお願いします」
「頼んだぞ馬よ!」
「どっこいしょっと」
俺は信長様の命令を受けて、京の情勢を調べるために色々な物を箱に詰め込み、籠を背負って出発した。
行き方は伊勢の街道を通り、津の港から伊賀に続く道に進み、伊賀の里のはじめの親父さんのところで一泊。
そこから大和国経由で奈良に入り、奈良から京へと向かう。
おおよそ徒歩で3日はかかるだろう。
(ちなみにこのルート207キロあるので、3日で行くとなると1日69キロ走ることになる)
籠に荷物を背負いながら走り始め、馬並みの速さで進んでいく。
ちなみに馬を潰さないで走るとなると時速7から10キロ程度となり、普通の馬は1日で30キロから45キロが走れる距離となっている。
なので俺が伊賀に到着するためには更に速度を上げる必要があり、無尽蔵の体力で馬よりも速く進んでいく。
時速にすると12キロペースで進んでいった。
休むこと無く走り続けて約8時間、普通に関所破りをして堂々と突破していき、日が暮れる前に伊賀の里に到着した。
「又兵衛、お前……1日で美濃から来たのか!?」
「おう、義父さん、主命で畿内の様子を調べてこいと」
流石の俺の足の速さに上忍である義父も若干引いていた。
「なるほどなぁ……畿内は相変わらず混乱しているよ。うちの草の者達も探っているが……混沌という言葉がよく似合う。御所は炎上するわ、京の中にも人攫いや野盗の類が住み着くわ、公家(貴族)の方々も被害を受けているらしい」
「なるほど……付け入るならそこですかね」
「なーんか企んでいるな」
「ええ、まぁ誰にも損はさせませんよ」
「それならば良いが……ところで家の前に置かれた猪は……」
「ああ! ここに来る途中で仕留めました。1夜泊めてもらう駄賃だと思ってください」
「義息なのだから対価は要らぬのに……相変わらず律儀だなぁ……」
「いえいえ」
その日はぼたん鍋で義父さん達と1杯やり、早朝、伊賀越えを実行。
伊賀から京に続く道は難所が多く、普通の人だと良くて迷うか、運が悪いと谷底に転落する場合もある。
俺はそれを軽々と踏破して、大和の国に入る。
「民の顔色は良いな……ここの領主はさぞ裁量に優れた方なのだろう」
俺は大和……現代だと奈良県にてここでも一泊していくことにするのだった。
宿にて1泊するが、広間にて商人や領民達が集まって色々情報交換をしていたので混ぜてもらった。
どうやらここの領主は三好家の重臣である松永久秀という人物が治める土地で、世間では極悪人と呼ばれているらしい。
「領民には優しい名主なんだが、悪行は凄いぞ……この前の将軍暗殺を手引きしたり、三好一族の死に関わっているという噂もちらほら聞く。しかも三好の嫡男であった人の毒殺にも関与しているとのこと」
「それは……凄いな……」
それらの話が本当であれば大悪人であるが、実際はどうなのか……。
俺は松永久秀という人物に興味を持ち、彼に会えないか模索してみることにするのだった。